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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

アベノミクスの真の姿・・・景気回復よりも低金利の継続

2013-08-01 08:38:00 | 時事/金融危機
 

■ 既に日本の財政は税収では支えられない ■

昨日の無限国債と日銀による「ステルス・ファイナンス」の妄想で、
アベノミクスの意外な姿が薄らと見えて来ました。

これは、アベノミクスというよりは財務省の長期戦略と言った方が良いでしょう。

1) 黒田異次元緩和は事実上の日銀による財政ファイナンス
2) 日銀の財政ファイナンスを隠す意味においてインフレターゲットを利用
3) 日銀による財政ファイナンスは低金利が継続する限り継続可能
4) 金利が2%を越えなければ、日本国債の延命が可能

但し、日銀のインフレターゲットは2%ですから、
10年債金利は3%程度になると思われます。

5) 少子高齢化という構造問題と輸出産業の長期的後退では2%のインフレ達成は無理
6) 財政を不用意に拡大させなければ、インフレ率の上昇は限定的

問題は、国際金利が2%に近付いたり、それを少し超えた時の国債市場の動向です

7) メガバンクは年限の短い国債にシフトして金利上昇の負担を軽減している
8) ゆうちょ銀行、地方銀行、信金、年金基金、生保などは年限の長い国債を保有
9) 2015年の会計法の変更で国債の時価評価が停止される
10) 国債金利の上昇による中長期債の時価評価による評価損の拡大が回避される

そででも年限の長い国債は金利上昇によって最終的な損失が出る可能性があります。
預金金利の上昇が、国債金利を追い抜くからです

11) 日銀の買い入れを年限の長い国債に集中して市場から低金利の中長期債を吸収する
12) ちゅうよ銀や年金や生保などは、新発の中長期債の安定的は購入者となる

メガバンク各社が国債を売却する一方で、
中小金融機関や年金や生保は国際を買い増しています。
既に日本は暗黙の内に「財政のステルス・ファイナンス」に突入しているのかも知れません。

■ 増税による経済の失速より現実的 ■

現在の日本の財政赤字は国民の預金総額に近付こうとしています。
日銀によるステルス・ファイナンスが無ければ消費税率30%などという大規模な増税が不可欠となります。

しかし、大規模な増税は経済活動の活性を大いに奪うので、
結局は税収が思った程には伸びず、財政崩壊を回避する事は難しい。
一方で、国民は重税に喘ぐ事になります。
これでは、労働者は納得出来ず、暴動すら起きかねません。

特に少子高齢化によって福祉コストが増大する日本では、
財政の大幅な削減は、高齢者や弱者の生活にダイレクトに影響します。

この場合、財政赤字は徐々に拡大して行きますが、
日銀のステルス・ファイナンスは国民に負担の少ない財政の延命方法です。

■ インフレ率のコントロールが難しい ■

問題は市場から国債を買って円を発行し続けるので、マネタリーベースが拡大し続けます。
市場に資金が潤沢に供給されるので、資産バブルが発生し易い状態になります。
一方で、国債発行額は利払いの上昇から徐々に拡大して行きます。

この状況で市場で新発国債を安定して消化する為には、
景気が程々に冷えていた方が良い。
要は、デフレ基調の方が、流動性の罠によってステルス・ファイナンスを継続し易い。

市場関係者の懸念もこの点にあって、
マネタリーベースが拡大した状況で、景気回復が始まると
マネーサプライの歯車が一気に廻り出して、インフレ率が急上昇する可能性があります。

但し、ここで中央銀行の真の力が発揮されます。
従来は金利を引き上げて、インフレを抑制しますが、金利引き上げはステルス・ファイナンスにはご法度です。

そこで、量的緩和の縮小を仄めかす事で、一気にマネーサプライの拡大にブレーキを掛けます。アレアレ、これって何処ぞの国が既に実行していますね。そうアメリカのFRBです。

■ 国土強靭化は選挙対策の見せかけ ■

安倍政権は「国土強靭化」など大規模な財政出動を掲げて衆議院選挙に勝利しています。
しかし、最近では大規模な公共事業の増発という発言はあまり聞かれません。

逆に、TPPの参加だとか、特区における雇用法の見直しだとか、構造改革や規制緩和に対して積極的な姿勢を示しています。

そして最近はプライマリーバランスが話題に上り始めています。
これは消費税増税とも密接に係る問題ですが、消費税増税を見送って、財政拡大をする事はありません。いくら不景気だとは言え、世界はやはり「ポーズ」を大切にします。

ですから、消費税も8%に引き上げられるでしょうし、公共事業の急拡大も有り得ません。
自民党は来年度予算で事務的経費などを削減して、その分を事業費に充てるケチケチぶり。
公共事業の大盤振る舞いに、はたして財務省は首を縦に振るのでしょうか・・・。

政府は、国の2014年度予算編成で、公共事業などの裁量的経費を13年度当初予算分の13・3兆円から10%程度カットする方針を固めた。

 年金や医療などにかかる費用が、高齢化の進展で1兆円前後増えると見込んでおり、削った分で賄う。医療の研究開発や農業を含めた成長戦略に関連する事業、子育て支援にも使う。こうした方針を14年度予算の大枠となる概算要求基準(シーリング)に盛り込み、来週中に決定する。

 政策に充てる経費は13年度当初で70・4兆円。このうち、人件費が中心の義務的経費や、年金・医療などにかかる費用、地方に配る地方交付税交付金を除いた分が裁量的経費となる。

 シーリングでは、この裁量的経費を10%削減することを各省庁に求める。義務的経費などについても「聖域なく見直す」としている。



私は良識的判断だと思います。

多分、財務省の意向が強く働いていると思われますが、自民党幹部達にも金利上昇の危険性のレクチャーがされたのだと思います。

結局、安倍政権はパンダ宜しく、財務省の日銀とアメリカの手のひらの上で踊らされているだけなのかも知れません。


もっとも、そうやって延命を図ったとしても、危機が遠のいた訳ではありません。
アメリカもステルス・ファイナンスを実行していますが、
そろそろその弊害としての、市場のバブルが過熱化しています。

出口戦略が度々取沙汰されていますが、「止める・・・イヤ延期だ、ヤッパ止めたい」と繰り返す内に、FRBは市場の信頼を失って行き、市場操作の能力が喪失します。

最後は市場が意味不明な動きをし出して不安定化して行くのでしょう。

その様な危機がアメリカや中国で発生した場合、日本とて無関係では居られません。
金利抑制としてプラスに働く事も考えられますが、極端なケースではドルや米国債の暴落に繋がるかも知れません。

何れにしても、低金利のデメリットとして、世界は低速運転が故にバランスを崩し易くなっています。

自転車は止まったら倒れてしまいます。
どこぞの誰かではありませんが、自転車操業の世界は、思い切りペダルを漕いで行きつく所まで行くしか無いのでしょう。

「財政ファイナンス、為替操作、それをいっちゃおしまいよ」
みずほ銀行 常務執行役員 高田 創

http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/today/rt130508.pdf


まあ、専門家も「ぶっちゃっけ、財政ファイナンスなんだよね」と言っていおるみたいで、その上で、「どうやって国債市場の体裁を保つか」というポーズこそが問題視される訳ですえね。だから増税も実行されるし、財政拡大も限定的にならざるを得ない。景気は回復するに越した事は無いが、それもホドホドでなければ、むしろ困った事になる・・・。



本日は、アベノミクスの真の姿を、勝手に妄想してみました。
ローゼン麻生に狙撃されそうな内容ですね.