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為替介入は株価対策?・・・景気の実態を隠す菅政権

2010-09-22 22:16:00 | 時事/金融危機



■ 誰もが気付きながらも言えない事 ■

I can not put my finger on it. 「言いたいけど言えない事」を英語ではこう表現すると何かで読んだことがあります。

現在、市場関係者が「言いたいけど言えない事」は、今回の為替介入の本当の目的では無いでしょうか?

・・・それは、ズバリ、四半期決算に向けた株価対策。

■ 為替介入は株価下落を止めた ■

「円高は輸出企業を苦しめる」と輸出大手が声高に主張しましたが、実は本当にヤバカッタのは銀行や生保など株式を大量保有する会社では無いでしょうか。

8月中旬には日経平均は9000円を割っていました。

① HFを中心に先物市場で円買いを行い円高相場を作る
② 円高になった所で日本株を売り、為替差益を確保する
③ 円高と株安が同時進行する

8月中旬以降、日経平均は9000円台を回復しています。小沢氏が民主党代表選に出馬した事も原因の一つですが、四半期決算を前に、金融機関を初め、郵貯マネーや年金マネーを総動員して株価を下支えしていたのでは無いでしょうか?

9月17日の為替介入で海外勢の日本株売りは小康状態となり、現在株価は9600円程度まで回復しています。

■ 株価が8000円では困る企業が続出 ■

円高が進行していれば、海外勢の日本株の売り圧力が増大し、日経平均8500円などという事態も起きていたかもしれません。

第2四半期決算を前に、株の含み損が増大しては、芳しくない業績を計上する企業も増えたはずです。ただでさえデフレの影響で企業業績が圧迫される中、株安が追い討ちを掛ければ、菅政権がどんなに経済対策をアピールしようが、国民は景気の二番底を意識せざるを得ません。

輸出企業の為替介入の大合唱は、産業界全体の声だったのかも知れません。尤も、金融機関などが株価是正を理由に為替介入を主張する訳には行きませんので、輸出企業に代弁させていたと見るのが妥当では無いでしょうか?

借りに何かのきっかけで、株価が8000円割れなどとオーバーシュートしていれば、それこそ生保の一つや二つ破綻する可能性もあります。

■ 円高よりも深刻なアメリカの貧困化 ■

フィナンシャル・タイムスが的を得た記事を載せていたので抜粋します。

輸出企業の業績悪化の原因は円高では無く、アメリカを始めとした富裕層の激減で、高付加価値の日本の製品の市場が急速の縮小した事にあると書かれています。

韓国のサムソンなどが高収益を上げている事からも、日本の輸出企業の低迷の原因は明らかに市場ともミスマッチにあると思われます。

<フィナンシャル・タイムスより引用>
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4503?page=3 

また、円相場の強さとは関係なく、日本の株式市場の重荷となってきた要因がほかにもある。企業経営者や政治家は円高の影響について不満を述べてきたが、日本を含む世界の投資家にとって重要な焦点となっているのは米国内の需要に対する懸念だ。

 一部のアナリストの見るところ、日本は国内企業が売っている高付加価値の資本財の優位性のせいで苦しんでいる面もある。

 「我々は、円のせいで日本の輸出が弱くなっているとは考えていない。原因はむしろ、日本企業が消費財および資本財のピラミッドの頂点に位置していることにある」とマグワイア氏は言う。「こうした分野でレバレッジ解消が起きると、価格は意味を持たなくなる。問題は、需要の欠如だからだ」


今年は新株発行が大幅に増加している(写真は東京証券取引所)〔AFPBB News〕
 株価の重荷となってきたもう1つの要因は、新株発行だ。ディーロジックの調べによると、日本企業(金融機関を除く)が今年株式市場から調達した資金は、61%増加して132億ドルに達している。

 一部のトレーダーや投資家は、新たに株式を発行する企業は既にバランスシートが強固で、新株発行が不要だったケースもあると指摘する。一方で、財務基盤が弱く、PBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っている企業による新株発行もあるという。

 継続的なデフレ環境下にあって、企業は債務を増やす意欲をなくしており、債務を返済するために新株を発行している企業もある。

 「ここでも、問題の一端はデフレの病にある」とタスカ氏。「企業はもはや、デフレからの脱却を確信していないし、当局がデフレ退治に真剣だとも考えていない」

 経済成長の勢いが衰える中、投資家は今後、政策が一段と心理を好転させ、それに伴い市場を押し上げてくれることをますます期待するようになるだろう。

<引用終わり>

いずれにしても、景気の実態から国民の目を逸らしたいのは、政府も企業も同様なようです。