■ 不安な時代だからこそ・・WE NEED ROCK !! ■
民主党代表選から為替介入と、ミエミエな政治茶番劇が繰り広げられるので、ムシャクシャします。
こういう時だからこそ、WE NEED ROCK !!
ステレオのボリュームを上げて、ラウドなROCKを一発・・・って、ご近所様にご迷惑ですよね。
そこでお勧めなのがこの映画、「BECK」
■ シンプルなバンドストーリにスリルが加わり ■
「ハロルド作石」原作の「BECK」。アニメ化もされていて若い方にはファンも多いと思います。
アメリカ帰りのバンド青年の竜介が、理想のバンドを仲間と共に作り出すシンプルなストーリー。ベースの平(タイラ)、ラッパーの千葉を中心に、高校生ドラマーのサクと、ギター初心者のコユキを従えて、グレイトフル・サウンドのステージを目指します。
竜介の手にするギターは伝説のギターの「ルシール」。伝説のブルースマンが弾丸に倒れた時に手にしていた、銃痕の生々しいレスポール。NYでヤンチャだった竜介が親友のエディーと車上荒らしをして偶然手に入れた「ルシール」の持ち主は、かなりヤバイ音楽プロデューサーのレオン・サイクス。彼はインターネットで目にした竜介のルシールを追って日本にやって来ます。そして竜介を拘束し、彼の命もバンドの運命も絶望的かと思われますが、レオンは竜介を殺す事すらしません。・・・「殺す価値も無い」と切り捨てます。
さらに、夏のROCKフェステバルの出場も取り消され、竜介は失意に打ちひしがれます。しかし彼はバンドと彼の夢の為に、レオンに直談判してグレートフル・サウンドへの出場を約束させます。その時竜介がレオンと交わした約束とは・・・・。
物語のもう一人の主人公はコユキ。気弱な普通の高校生の彼は、竜介と知り合う事でギターと出会います。彼はギターに夢中になりますが、彼の技術など初心者同然。しかしコユキには素晴らしい才能が潜んでいました。・・彼の歌声は聞く者の心を鷲掴みにして魂を揺さぶります。グレートフルサウンドの当日、バンドの解散の危機に見舞われながらも一人でステージに立つコユキの歌声が奇跡を呼び起こします。
■ 今が旬な若手俳優達が生み出したBECK ■
原作もアニメのそこそこに楽しめますが、ちょっとダラダラとした所もあり、バンド物特有の「内輪のぬるま湯感」に支配されている感じもします。
しかし映画は、原作10巻を2時間程度に凝縮。無駄を捨て去る事で、スピード感を手に入れています。
さらには若手の俳優陣が素晴らしい。
「仮面ライダー電王」以来の弱気キャラを演じた佐藤健は、原作のコユキのイメージを完全のぶち壊して、つくずく煮え切らない弱気男子を演じています。これが実にそこら辺に居そうな感じで、ともするとオーバーになりがちなストーリーの適度なブレーキになっています。
水島ヒロの竜介は、原作よりも人間臭くてGOOD。好きな俳優ではなかったのですが、見直しました。
「学校では教えてくれない」で好演していた中村葵は、今回もそのホモっぽい掴みどころの無いクニャクニャな笑顔で、これまた好演。
我が家ではNHKドラマ「二人のスピカ」以来の注目株の向井理も、いつもの無気力演技とは別の一面を見せています。
そして、誰よりも素晴らしいのが桐谷健太。私は彼をサンボ・マスターの「ラブソング」のPVで見かけてから、一押ししていますが、とにかく存在自体が千葉クンそのもの。熱く、直情的で、それでいて憎めないキャラクターを見事に演じています。そして、そのラップの素晴らしい事。プロ顔負けです。
■ 全て千葉クンの存在によって許される ■
実は、私はBECKを見に行くつもりはありませんでした。実写で、この派手なキャストで原作やアニメを越える事は不可能だと思っていました。
しかし、娘も息子も家内までもが大絶賛するので、ダメモトで見に行きました。
はじめは、外したと思いました。最初の5分で劇場を出ようと思いましたが、桐谷健太の千葉クンが登場した途端、スクリーンに現実のBECKのメンバーが現れたような錯覚に陥り、後は2時間をハラハラ、ドキドキしながら一気に見てしまいました。
息子の感想の「千葉君がすごく千葉君」というのが、最も的確な表現です。全て千葉君の存在で許される映画です。
■ こんな時代だから、WE NEED ROCK ■
BECKのもう一つの楽しみは、映画館の音響で味わえるライブ。ヘビーでタイトで、それでいてROCKファンのツボにど真ん中ストライクの楽曲の数々で、ROCK好きにはたまりません。
原作など全然知らない、ヘビーなROCKなんて全然聞かない家内ですら大喜びしていまいた。
■ デトロイト・メタル・シティーがセットなら尚楽しい ■
ちなみに家内はデトロイト・メタル・シティーの大ファンです。
デトロイト・メタル・シテーとは、渋谷系のお洒落ポップで音楽デビューを志す田舎育ちの主人公が、何故かデスメタル・バンドのデトロイト・メタル・シティーのボーカルのクラウザーさんとして、カルト的な人気を得てしまうというギャグ漫画。
私があまりのバカらしい表紙で衝動買いしたデトロイト・メタル・シティーを家内と娘が一番喜んで読んでいます。もちろん映画館にも飛んで行きました。
正統派ROCKを楽しみたい方は、BECKを見に映画館へGO。
腹の底から笑って、ストレスを発散したい方は、デトロイト・メタル・シティーの下品でトホホなギャグで大笑いして下さい。
いずれにしても、私達日本人は幸せです。