■ 日本のタンカーが攻撃される? ■
<asahi.com から引用 http://www.asahi.com/international/update/0728/TKY201007280400.html>
商船三井に入った連絡によると、ペルシャ湾の入り口にあたるホルムズ海峡西側のオマーン領海で28日午前0時半(日本時間同5時半)ごろ、航行中の同社所有の大型原油タンカー、エム・スター(マーシャル諸島船籍、約16万トン)の右舷後部で爆発があり、乗組員1人が軽傷を負った。外部からの攻撃によるとみられる。船は自力航行できる状態で、損傷状況を確認するために同日夕、オマーンの隣国アラブ首長国連邦(UAE)のフジャイラ港に入港した。
同社と国土交通省によると、同船の乗組員は船長を含むインド人15人とフィリピン人16人の計31人。負傷したのはインド人の男性乗組員で、爆発によって割れたガラスで右腕を切ったという。発生が深夜だったため船体の損傷や甲板の被害などの状況は詳しく把握できていないが、居住区のある船橋(ブリッジ)の窓ガラスが割れ、金属製の扉が吹き飛んだり、壁がへこんだりしたという。しかし、積み荷の原油が流出した形跡はないとしている。
同社によると、爆発で損傷したのは、船体後方にある船橋と、その右舷側に取り付けられた救命艇の間の辺り。直前に当直の乗組員の1人が水平線上に光が走るのを目撃していたという。船体後部に原油などの爆発物は積まれていないことから、同社は外部から何者かに攻撃を受けた可能性が高いとみている。
同省によると、ホルムズ海峡ではこれまで日本関係の船が襲われる海賊事件が起きたことはなく、爆発前後に船に近づいたり侵入を試みたりした不審者などは確認されていない。同省はテロや軍事演習の誤射の可能性もあるとみて、外務省などとともに情報収集を急いでいる。
米海軍の第5艦隊司令部(バーレーン)も在ドバイの英国海軍情報機関のUKMTOを通じて情報を把握。「ホルムズ海峡は安全であり、航路は事件の影響を受けていない」としつつ、状況の監視を続けるとの声明を発表した。
現場がオマーン領海のため日本側に捜査権はないが、日本の海上保安庁は船が日本に入港した後、任意の立ち入り検査に乗り出す方針だ。入港は2~3週間後になる見通し。
同船は27日午前にUAEのダスアイランド港で原油27万トンを積んで出港し、8月中旬に千葉港に到着する予定だった。
現場は、中東から日本に原油や液化天然ガスを運ぶタンカーが必ず通る海域。日本船主協会によると、2009年に同海峡を通った日本の海運会社所有の船舶約3400隻のうち、4割にあたる1400隻が原油タンカーという。
<引用終わり>
現時点では、攻撃なのか? 事故なのか? 海賊なのか? どこかの軍や諜報機関の攻撃なのか? 全く分かりません。
ちなみに、海賊が出没しているソマリアは1000Km程南に位置しています。
上の写真はタンカーの破損部です。原因を「地震による波」とする海外の報道もある様ですが、火薬の反応は直ぐに確認出来ますので、事故か攻撃かの結論は直ぐに分かる事でしょう。但し、事の重大性をから、「事故」として処理される可能性も十分あります。
■ 不自然に煽られるイラン危機 ■
イランの核開発疑惑に絡み、アメリカかイスラエルによるイランへの空爆が敢行されるのではないかという憶測が飛び交っています。
実際には、ロシアや中国、トルコなどの国がイランとの関係を深める中で、アメリカによるイラン空爆は自殺行為と言えます。核開発の根拠も希薄のまま攻撃に踏み切れば、イラク戦争の再現とばかりに、国際世論はアメリカを非難し、アメリカ国債を中国などの国が売り始めれば、アメリカ国債の暴落からドル暴落へと事態は進展する可能性も無視出来ません。
一方、イスラエルはイランまで往復で2000Km程離れており、直接空爆する事が出来あません。さらに、空爆の為にはシリアやトルコやサウジアラビアの上空を通過する事になり、これらの国の支持無くしては空爆は不可能です。
一説にはイスラエルはイラン北部のアゼルバイジャンに解体した爆撃機を持ち込んで空爆の準備をしているとの情報もある様ですが、ウワサの域を出ません。
いずれにしてもイラン危機は不自然に煽られ続けています。
日本経済新聞の記事からして、下記の様な内容を報道しています。
<7月29日付け 日本経済新聞 ネット版 http://www.nikkei.com/biz/world/article/g=96958A9C93819499E0EBE2E38A8DE1E2E2E4E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E3E7E2E0E0E2E3E2E6E1E0E0 より引用 >
戦争の足音近づくイラン周辺 元CIA情報員が明かす状況証拠
前略
そうした中でオバマ政権は、空母トルーマンを中心とする海軍の第10空母打撃群の派遣を皮切りに、ペルシャ湾に配備する米軍部隊の大幅な増強を指示した。6月18日には米国とイスラエルの軍艦12隻以上が、エジプトによる厳戒態勢が敷かれる中、スエズ運河を通過した。艦隊は紅海を目指し、そこからさらにペルシャ湾に向かう。さらに4隻の軍艦が同地に向かい、第10空母打撃群に合流する予定だ。米軍の指揮の下、仏軍、英軍と空と海からの攻撃を想定した合同軍事演習も実施した。ドイツも軍艦を派遣する予定で、米軍の指揮下に入る。
イスラエルと米国は核武装した潜水艦をペルシャ湾地域に配備済み。イスラエルは戦争ぼっ発に備えて、国民を守るためのミサイル防衛システムの試験を繰り返している。両国は特殊部隊をイラン国内に送り込み、潜在的な攻撃目標を調査するほか、イラン国民の体制転覆に対する意欲を測っている。従来イラン政府の主な後ろ盾となってきたロシアもこのほど、イランに対する「S300」対空ミサイルの売却を凍結すると発表。ウラジーミル・プーチン首相自身も6月中旬にそれを明言した。
後略
<引用終わり>
■ ドル防衛の最終手段・・・中東危機 ■
国際金融資本がドル暴落を着々と準備する一方、ドルを防衛してアメリカの覇権を維持したい勢力も存在します。軍産複合体とその親玉のロックフェラーです。
ニクソンショックによって金兌換という価値の後ろ盾を失ったドルですが、石油の決済通貨として「原油」を価値の後ろ盾にして延命を図り、アメリカはその後も繁栄を謳歌してきました。これを「修正ブレトンウッズ体勢」と言います。
イラクがアメリカに理不尽な攻撃を受けたのも、原油の決済通貨をドルからユーロに切り替えようとした事が最大の原因だと言われています。
原油の決済通貨がドルである限り、原油が値上がりすれば、ドルの需要は高まります。現在世界に過剰に流通するドルはドル安圧力となっていますが、いざ中東有事となれば原油価格は高騰し、世界の国々はドルをかき集める事でしょう。
いざ有事となれば、ユーロが頓挫した現在、世界最強の通貨はやはりドルという事になります。
■ 中東有事でも結果は同じ ■
しかし、1970年代であれば中東有事でドルの価値は保持できましたが、現在はドルの死期を早めるだけの結果に終わるかもしれません。
何故なら、金融機関と国家が抱え込んだ負債は、現在持続可能な水準を超えています。中東有事の様な大規模な危機が発生すれば、金融機関はリーマンショック以上に過剰反応を起こして、レバレッジの大逆転が発生します。6京円というデリバティブ残高が一気に市場に襲い掛かり、金融市場が崩壊する事は必死となります。
限界以上に負債が積みあがっている国債市場も道連れで暴落し、結局、ドルとアメリカも崩壊を免れる事は出来ません。
■ 「しょうがない」と誰もが思える原因が必要 ■
ロックフェラーとて現在のアメリカが大規模な有事に耐えられない事は理解していますから、韓国の哨戒艇を沈めてみたり、イラン空爆を臭わせる程度で、世界を牽制しながらも、結局は大規模な戦乱の引き金を引くことはありません。何故なら、世界経済の崩壊の引き金を自ら引きたくないからです。
一方国債金融資本家達は、巧妙です。
サブプライムローン危機からリーマンショック。ギリシャ危機からユーロ危機。最後はアメリカの経済の二番底から、さらなる金融危機を誘発して、世界経済の崩壊が不可避であるように演出しています。
国債金融資本家達は市場に引き金を引かせる事で、自らの責任を隠蔽するでしょう。
だれもが「しょうがない」と思える状況を着々と準備しているのです。
■ 崩壊の材料に使われる有事 ■
もし中東有事や極東有事があるとしたら、経済の危機が極大に達した時の、ちょっとしたきっかけとして使われるのでしょう。
実際に軍事侵攻が行われなくても、危機の高まりを過剰に演出するだけで、世界経済は崩壊するかもしれません。
世界に喧伝される「イラン危機」や「北朝鮮危機」は、いつでも効力を発揮できるように、絶えず小さな危機を積み上げる必要があります。
今回のホルムズ海峡の日本タンカーの事件も、その一部なのかもしれません。
数日後にアメリカ政府がイランを非難し始めたら、「やっぱり」と思うと同時に、私達は経済崩壊に備えて準備をす必要がありそうです。