goo blog サービス終了のお知らせ 

人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

次はドイツ銀行・・・バブル崩壊を普通に報道し始めたメディア

2023-04-03 10:37:09 | 時事/金融危機

「ドイツ銀行」・・・写真はネットより

 

■ 陰謀論と見まかう、一般経済紙の記事 ■

シリコンバレー銀行やクレディースイスの破綻以降、一般の経済紙でも「次はドイツ銀行かもしれない」などと書かれた記事を見るようになりました。さらには「ドルと米国債が危機の中心」などと、「陰謀論かよ!!」ってツッコミを入れたくなる様な記事も出て来ています。

 

■ ペトロダラーの終焉 ■

ニクソンショックで金兌換性を停止したドルが、その価値を保ち続けたのは「石油決済通貨」だったから。「ペトロダラー」などと呼ぶ人も居ますが、その構造が崩れています。

ウクライナ機器でロシアをSWIFTから締め出したアメリカですが、ロシアはルーブルでしか原油を売らない事で、結果的にルーブルは原油決済通貨としての地位を確立しました。

今までアメリカはドル以外の原油決済を試みた国を、ことごく敵視し、潰してきました。ユーロ決済を試みたイラクやイラン、アフリカ共通通貨を作って原油決済に使おうとしたリビアを攻撃しています。

ところが、ロシアがルーブルでの原油決済に成功すると、アメリカの顔色を伺っていたサウジアラビアやアラブ首長国連邦が原油決済に元やその他の国の通貨を使い始めました。ケニアは先日、両国とケニアの通貨での原油決済を承認された。

ケニアの大統領は国民に「数週間以内にドルにイベントが起きるから、ドルを手放せ」と伝えましたが、ケニア国民は「ケニアの通貨がドルより安全な訳が無い」と笑い飛ばしています。

 

■ サンドマン計画 ■

ネットには、「世界100カ国余りが、一斉にドルと米国債を売り浴びせる『サンドマン計画』が近く実行されるという「噂話」が流れています。こういう噂はたいていフェイクですが、中露と西側諸国が露骨に対立し、ペトロダラーのシステムが崩れ、ケニアの大統領が意味深な発言をするので、「もしかすると・・・」などと妄想してしまいます。

今後、原油決済や貿易決済で、ユーロや元、ルーブルやその他の通貨の比率が増えると、ドルは世界的に余り始めます。銀行危機で世界の銀行は手元のドルを増やしていると思われますが、新興国が手放しているドルを西側の銀行がかき集めているのかも知れません。結果的にドルに大きな下落圧力は生じていませんが、何かを切っ掛けにこのバランスが崩れるかも知れません。

そのタイミングで新興国がドルや米国債を売り浴びせたら、ドルとて無事では居られません。しかしドルの終焉は金融システムや資産市場の崩壊を意味しますから、仕掛けた側も大きな痛手を負います。それでも「サンドマン計画」が実行されるのであれば、それはアメリカ合衆国が崩壊する事と引き換えに実行されるでしょう。

 

■ ドイツ銀行危機 ■

ドイツ銀行のデリバティブ残高は膨大で、金利上昇で経営が危機に陥る可能性は、ここ数年来、何度も話題に上っています。確か2019年時点のデリバティブ残高が4,400兆円という記事を読んだ記憶があります。「どんだけーー」と言いたくなる数字です。それから、多少は圧縮されているとは思いますが、まだ相当額の残高を抱えているはずです。

リーマンショック後の狂った様な金融緩和と、コロナ後の常軌を逸した財政拡大と金融緩和で、世界の市場はパンパンに膨らみ切っています。市場から溢れ出た資金は、インフレ率を押し上げ、債券市場を崩壊させようとしています。国債金利もどんどん上昇しているので、安全資産と言われた米国債ですらリスク資産になり、含み損を拡大し続けています。シリコンバレー銀行のリスク管理は確かに甘かったが、米国債やMBSがリスクになっている事を露呈させました。

ドイツ銀行に限らず、多くの銀行や年金基金が、国債や債券、デリバティブ商品を大量に保有しています。危機はドイツ銀行にだけあるのでは無く、至る所に蠢いています。

 

■ AT1債(劣後債)という爆弾 ■

クレディースイスはスイス最大の銀行のUBSが買収した事で大崩壊の引き金にはなりませんでしたが、社債市場に大きな影を落としています。クレディースイス買収に当たり、本来価値が無くなるクレディースイス株の価値を残す一方で、クレディースイスが発行して劣後債(AT1債)が2兆円分無価値になりました。

AT1債は金融機関が発行している社債の一部で、金融機関が経営破綻した時に、強制的に自己資本に組み入れられるたり、株式に転換されて投資家は大きな損失を被ります。ハイリスクですが、銀行の信用力を背景に、多くの投資家が購入しています。

AT1債は「償還可能日」が設定されており、次回は6月に召喚可能になるものが多い様ですが、償還に応じて、金融機関が再びAT1債の発行で借り換えをするコストは金利が20%~30%になると予測されています。一部の自己資金の薄い銀行は、償還に応じない様です。

AT1債市場は既に金利が高くなり過ぎて昨日を失っています。銀行は資金調達の手段を一つ失っています。株価も下落位し、社債発行コストも上昇する一方で、手持ち資産は含み損を拡大しています。

一部では「シリコンバレー銀行や、クレディースイスは突出してリスクを多く抱えていた。銀行危機には波及しない」という楽観的な意見もありますが、NHKや日経新聞でさえ、AT1債の問題に言及している今、どこまで楽観が許されるかは未知数です。

 

■ 「サンドマン計画」は起こりうる ■

戦後構築されたドル基軸体制や、アメリカ一極体制は、ものすごいスピードで崩壊を初めています。同時に、ドルによって支えられていた金融市場も、通貨システムも大きなストレスが掛かっています。

この状況を、アメリカから覇権の座を奪いたい中国や、アメリカと敵対するロシア、そして今までアメリカに蹂躙されて来た中東やアフリカ、南米諸国が見逃すでしょうか・・・。彼らがその気になれば「サンドマン計画」はいつでも実行可能です。

 

そして「グレートリセット」は、それを前提として動いている。システム不良になった資本主義と民主主義を「リセット」すると宣言しているのですから。

 

大手報道機関の記事が、私たち陰謀論者が長年書き続けて来た内容と、何ら変わらなくなってしまった今、陰謀論が夢想した世界が実現しようとしているのかも知れません。そして、それは希望に満ちた世界では決して無い・・・陰謀論的未来ですから。


まさに桃源郷・・・春の秩父路

2023-04-03 10:19:38 | 時事/金融危機

 

 

東京で桜が盛りを過ぎる頃、秩父では、桃と桜と菜の花が同時に咲きます。特に鮮やかなピンク色の桃の花は、現実離れした風景を作り出します。

 

浦安からは、荒川サイクリングロードを使えば2時間で川越に到着、川越の氷川神社の裏の桜は、今年は例年より早く散り始めていましたが、秩父に向かうにつれて、満開の桜を堪能できます。

更に、濃いピンク色の桃、黄色の菜の花やレンギョウ、真っ白なユキヤナギなどが加わり桃源郷のような風景を楽しめます。

 

2019年から崩落で通行止めだった、定峰峠から秩父に向かう県道11号線が3月29日に開通したので、白石峠のヒルクライムも兼ねて春の秩父路を堪能しました。

 

夕方から飲み会があるので、朝の5:30に出発して、西武秩父駅には12:30に到着。サックっと輪行して、4時半には浦安に戻っていました。最近気が付いたのですが、荒川サイクリングロードを使うと、信号が無いので短時間に秩父にアクセスできます。荒川を離れてからも、市街地を避ければ、信号は少ない。以前は道迷いで時間をロスしていたのですが、凡その道も覚えたので白石峠にもサクっと到着。

 

100kmをAV25kmで走るので、白石峠をサクっと登る脚はありませんが、房総半島とは違い、本格的なヒルクライムと、1000mに近い山の景色が楽しめます。秩父は、東京都民や千葉北部に住む自転車乗りには最高の楽園かも知れません。

 

特急を使わなれば、交通費が安いのでお財布に優しいですし、温泉が幾つかあるのもポイントが高い。しばらく秩父に通う事になりそうです。尤も、荒川サイクリングロードは、人気の少ない早朝に通過する事が前提です。

 

 


リーマンショック前夜に似て来た金融市場

2023-03-15 05:43:11 | 時事/金融危機

 

■ 崩壊が始まった金融システム ■

3月10日、資産規模で全米16位の米シリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻しました。12日もニューヨーク州を拠点とするシグニチャーバンクで取り付け騒ぎが起こり、破綻に追い込まれた。

シリコンバレーバンクはベンチャー企業に融資して業績を伸ばしていましたが、ベンチャーキャピタルファンドから流入する資金を、融資だけでは運用し切れずに、資産の6割を国債やMBS(住宅担保証券)などの長期債券で運用していましたが、FRBの利上げによって長期債の価格が下落(金利は上昇)したので、巨額な含み損を抱えてしまった。

米国政府は迅速に「預金は全額保護される」と発表して、預金引き出しによる破綻が連鎖する事を防ごうとしましたが、暗号通貨関連企業との取引が多いニューヨーク州のシグネチャーバンクが2日後に「取りつけ騒ぎ」を起こして破綻しました。

■ 「取り付け騒ぎ = 預金流出」で銀行は破綻する ■

先日の記事のコメント欄で「現代はネットで預金を下せるのだから、取り付け騒ぎは起こらない」とのご意見を頂いましたが、日本よりもネット決済が進んでいるアメリカの銀行でも「取り付け騒ぎ」が実際に発生しました。多分、「取り付け騒ぎ」を上の写真の様な、「銀行窓口に人が殺到する」ことと狭義に捉えられたのかも知れません。実際に中国では銀行破綻の噂が広がると、銀行の前に預金者が長蛇の列を成します。

銀行はどんな場合でも、預金者の引出し要求に応じなければなりません。預金は預金者の債権で銀行にとっては債務なので、預金引き出しに応じない事は「債務不履行」となり「銀行破綻」と同義になります。

今回は市場の悪化を嫌った投資マネーが引き上げられる事での「取り付け騒ぎ=預金流出」となりました。リーマンショック以降の金融緩和バブルで生まれた巨大な過剰流動性は、ファンドなどを通してハイテク企業に流れ込んでいましたが、金利上昇でこの流れが逆転しています。

■ 発動しなかったベイルイン(ペイオフ) ■

米国政府は「シリコンバレー銀行とシグニチャー銀行の全預金を保護する」と発表しました。FRBは2行から債権を簿価で買い取り資金を供給すると発表しています。

銀行の破綻に際して、預金を全額保護するというのは「ルール違反」です。世界の決まりは「ペイオフ」で預金は一定額しか保護されません。これは「預金者は銀行に投資している」という考え方に基づいており「投資家は投資に対して責任を負う」という「ベイルイン」というルールが現在の金融界の基本となっているからです。

今回のシリコンバレー銀行は、預金者の多くはファンドです。ファンドがより高い利回りを求めて、ハイテク企業に融資するこれらの銀行に資金を預けていました。まさに「投資」です。ルールに則れば、米国政府はこれらの銀行の破綻を見守り、ペイオフ分の預金だけが預金保険機構から預金者に戻されるはず。しかし、米国政府もFRBも銀行と預金者を救済しました。

預金者救済が悪い事かと言えば、一概には悪いとは言えません。もし仮に、今回破綻した銀行と預金者を政府が見殺しにしたら、「銀行不安」が起り、大銀行ですら預金流出を起こす可能性が高いからです。米国政府はルールを破っても、預金引きだしの流れを断ち切る必要があった。

 

■ Too big to fail=大きくて潰せない 銀行に集まる預金 ■

銀行破綻を受けてアメリカでは巨大銀行に預金が流入しています。これは、これらの巨大銀行が破綻すると金融システムに甚大な影響を与える為に、政府がこれらの銀行を必ず救済するという「期待」による行動です。預金者と言うと個人の様に思われますが、投資ファンドや投資家が、リスク性の資産を手仕舞いして現金を取り合えず巨大銀行に預けているというのが実態でしょう。多分、ファンドのポートフォリオの「現金」の項目が増えているハズです。

■ リーマンショックと似た状況 ■

現在の状況はサブプライムショックからリーマンショックの過程に良く似ています。リーマンショックの流れを復習しましょう

 

1)金利上昇で、サブプライム層がローンの返済が出来なくった。

2)ローンを払えなくなった人達が住宅を売却した

3)中古住宅が供給過剰となり、住宅バブルが崩壊した

4)住宅価格の下落で、住宅の担保価値が下がり、さらにローンを払えない人が増えた

5)アメリカでは住宅ローンはノンリコリースなので、家を売却すればローンの返済義務が無くなる

6)住宅ローンを元にファニーメイやフレディーマックが組成したMBS(不動産担保証券)が暴落した

7)MBSは様々な金融商品に加工されていたので、それらも暴落した

8)債権市場、デリバティブ市場が恐慌状態になった

9)ヘッジファンドなどに多額の融資を行っていたベアスターンズやリーマンブラザーズなど投資銀行が経営破綻した

10)米政府はベア・スタンズは救済したが、リーマンブラザーズを見殺しにした

11)銀行破綻が現実化して、多くの銀行が解約や引出しに対応する為に手持ちのドルをコール市場に流さなくなった

12)コール市場で資金調達出来なくなった多くの銀行が経営破綻した(ゴールドマンサックスを除く全ての投資銀行と商業銀行)

13)アメリカ政府は議会で1票差で銀行救済を決めた。(TARP=資金注入)

14)投資銀行は救済対象外だったので、GS以外の全ての投資銀行を商業銀行に合併させてまとめて救済した

15)FRBは紙屑になったMBSやその他の債権を買い入れ、銀行に大量の資金を供給した

 

今回は住宅バブルでは無く「ハイテクバブルの崩壊」が原因となっている様に見えますが、根本的な原因は金利上昇による保有債権の含み損の拡大です。バブルは一番膨らんでいる所から弾けて、その他の場所に崩壊は一気に進んで行きます。

 

■ リーマンブラザーズが生贄になった ■

リーマンショックの何を教訓にすべきか・・・?それは「ベア・スタンズを救済して、リーマンブラザーズを見殺しにした」点です。

1)ベアー・スタンズは当時アメリカ第五位の投資銀行

2)経営破綻したベアー・スタンズを政府が救済した事で、市場に若干の安堵感が漂った

3)一方で、アメリカ人の多くが、「強欲な銀行を救済する事は無い」とも考えていた。

4)ベアー・スタンズの他の投資銀行もほぼ同じ経営状態に陥っていました

5)債券市場やデリバティブ市場の下落は続いていたので、何れ全ての投資銀行や商業銀行が経営破綻する可能性が十分なあった

6)世論が「銀行救済」に同意する為には危機の演出が必要だった

7)リーマンブラザーズを破綻させる事で、「金融崩壊」の危機感を国民に共有させた

今回のシリコンバレーバンクやシグニチャーバンクはベアー・スタンズの役割を担っているのでしょう。しかし、このままズルズルと潰れそうになった銀行を救済し続けても、預金者の不安は収まりません。銀行が大量の含み損を抱えている事も、調達金利が上昇している事も解決しないからです。何れは破綻の連鎖にストップが掛からなくなります。

今、市場では「今回のリーマンはどこか?」と戦々恐々となっているでしょう。クレディ―スイスの名前がチラホラ出ています。破綻説の常連のドイチェバンクも気になります。多くの銀行が大量の債券や、それを元にしたデリバティブ商品を保有していますが、金利上昇によって評価損は膨らみ続けているでしょう。

シリコンバレーバンクの破綻は、ハイテク企業の預金引き出しなどが原因になっています。ハイテクバブルが崩れた事で資金繰りが厳しくなった企業や、解雇社員の退職金を預金引き出しで行う企業が増えた事で「預金流出」が発生しました。シリコンバレーバンクはコレに対応する為に手元債権を売却しましたが、コレで含み損が損失として確定して債務超過に陥った。増資で解消しようと試みますが株価が急落。ヤバいと思った投資家やファンドが更なる預金解約を行なった事で、破綻が確定しました

現在、多くの銀行が巨大な含み損を抱えていますが、含み損を抱えた債券やその他の資産を売却しない限り損失は確定しません。要はどこも似たり寄ったりで、危機が本格的に意識されて預金者が資金を安全と思われる巨大銀行に移し始めると、ジワジワと損失が実際の数字となって現れて来ます。

 

■ ソフトバンクは破綻するだろう ■

あまり海外の話ばかりをしても実感が持てないと思いますので、国内でどこが危ないか・・。まあ、ハイテクバブルに全振りしていたソフトバンクなんて最有力でしょう。

携帯事業で赤字を垂れ流す楽天もかなりレッドゾーンに近いかも知れません。先日の巨額横領事件で、財務のルーズさも露呈しています。

 

■ リシコンバレー銀行は、ゆうちょ銀行の姿に重なる ■

シリコンバレー銀行は、預金の運用に困って資産の6割を長期債中心で運用していました。日本にも似た金融機関があります。ゆうちょ銀行です。ゆうちょ銀行は融資という普通の銀行業務が禁じられています。以前は財政投融資で国に投資して金利を稼いでいました。その後は、国債中心の運用でした。

しかし、国債金利がゼロになってしまったので、現在のゆうちょ銀行は、長期債を中心いリスク運用の比率を高めています。巨大ファンドだと考えた方が適切です。当然、金利上昇で巨大な含み損が発生しているはずですが、ドル高でそれが見えなくなっています。為替差益で損失が消えた状態。

しかし、危機が本格化すると、円安は円高に反転します。これは円が調達通貨になっていた為で、信用収縮の過程で借りていた円を返す為にドル売り円買いが必ず起こる。勢いが着いた為替市場はオーバーアクションするので、1ドル80円などという水準も充分に起こりうる。ドルの信用が揺らいでいれば、さらに円高になる可能性も有ります。

これで、日本の海外投資は巨大な為替差損を発生させます。米国債投資ですら安全ではありません。実際にバーナンキショックの際に日本の金融機関は慌てて米国債投資を縮小しました。

 

■ これからの時代は現物が強い ■

現在はインフレによおてお金の価値が失われています。今後は信用不安によって悪性のインフレが加速する可能性もあります。お金の価値がどんどん下がる。

この様な時代の資産保全はどうすべきか・・。或いは、将来的な失業危機に備えるにはどうすべきか。私は住宅ローンを払ってしまえる人は、今の内に繰り上げ返済する事をお勧めします。特に変動金利の方にはお勧めします。不動産はインフレに強い資産です。一時的な価格の下落があったとしても、時間が経てばインフレ率に応じて値上がりします。一方、現金や預金はインフレ率に応じて価値を失います。

尤も、日本においても住宅市場は既にバブルですから、今、新たに不動産を購入する事は有りません。バブルが弾けて安くなったら買えば良い。その為にも、流動性の低い資産は手仕舞いして、とりあえず現金(預金)で下落を待てば良いかと。

株もインフレに強い資産ですが、企業が倒産しては紙切れです。株価もバブルが崩壊すれば、半分程に下がる可能性があるいので、これも今買う事はありません。

 

■ 一番怖い失業 ■

私達現役世代に一番怖いのは失業です。リーマンショックの時は、日本の銀行は経営が健全でしたが、今は相当なリスクを取っています。当然、金融機関では大リストラが行われるでしょうし、銀行の貸し渋りによって、経営破綻する企業も出て来るでしょう。

私などもリーマンショックで国内の全ての仕事が一瞬で蒸発しました。東南アジアと中国がすぐに成長フェーズに入ったので、そちらの仕事を手伝って凌いだ経験がありますが、今回は世界同時不況が長引くので、それも期待できません。

「もし失業したらどうするか」・・・このシミュレーションを多くの人がする必要があるかと私は考えています。少なくとも借金は圧縮しておくべきかと・・・。高値掴みしたタワーマンションのローンが返済できずに売却しようとしても暴落していて借金だけが残る。バブル崩壊アルアルです。


新一万円発行は「新券切り替え」?・・・アナウンスが早かった事が気になる

2023-02-28 03:59:37 | 時事/金融危機

 

■ 24年上期に予定される新1万円札の発行 ■

24年に予定されている「新1万円札の発行」と「預金封鎖」を絡める妄想がネット界隈で広がっています。新券発行に必然性が無い事と、日銀創設者の渋沢栄一が絵柄として採用されいる事、戦後の預金封鎖を渋沢栄一の孫が実施した事などが妄想の燃料になっている様です。私自身は「新券発行のアナウンスが非常に早かった」事が気になります。「計画」が裏に存在していると妄想してしまう・・・。

■ 50兆円のタンス預金を炙り出せる「新券切り替え」 ■

預金封鎖は無いとしても、「新券切り替え」なら十分に有り得ると私は考えています。現在、日本のタンス預金は50兆円程と言われています。現金は現在の世界ではマネーロンダリングの道具とも言えます。政治献金などもそうですが、現金の動きを当局は把握できない。

タンス預金は田舎のお婆ちゃんもしていますから、50兆円全てが闇のお金という訳ではありませんが、多くの資産を持つ人も、現金によって資産を隠し持っているハズです。相続性の非課税枠を越える資産を現金で保持する様な方法です。これをやられると、国税局と言えども把握が難しい。

そこで、新一万円札発行と同時に、旧一万円札を使えなくする。旧一万円札を銀行窓口で交換するのでは無く、一度、預金に預けるルールにすれば、タンス預金の額を把握する事が出来ます。戦後の新券切り替えはこの方法が使われました。尤も、新券の印刷が間に合わなかったので、旧券にシールの様な物を張り付けて対応した様です。

■ 新券発行のアナウンスが早かった事が気になる ■

今回の新券発行で非常に気になるのが「アナウンスが早かった」こと。

1)新券切り替えの為の「大量の新券」を印刷する時間を稼ぐ

2)一部資産家が現金資産を別の隠し資産にする時間を与える

仮に「新券切り替え」が行われるならば、タンス預金を新券で再びする人も多いでしょう。この場合、大量の新券が必要になります。これを想定して大量の新券を印刷するならば、準備期間がそれなりに必要でしょう。ただ、その為に新券発行のアナウンスを早める必要は無い様に思えます。

一方、「新券切り替え」が行われるとして、その情報を早期に入手したり、その可能性を予想した一部の資産家は、新券発行までの期間に現金を別の隠し資産に置き換える行動を取ると思われます。例えば金の仏具だとか、高価な美術品だとか、その他私の予想もしない方法があるでしょう。

海外預金は日本の銀行を通して行うと額が把握されますし、大量の現金の持ち出しは空港でチェックされるので難しい。現物金は国税庁が所有者を把握していますし、海外での購入も情報が共有されるので資産隠しには使えません。何等かの方法で、アメリカの預金口座に現金を振り込んだ場合、それを海外で引き出すのは至難の業です。アメリカの銀行は預金受け入れはウェルカムですが、それを海外で引き出そうとするハードルが激高だそうです。ダミー会社を作って支払いの形を取ったりする様です。

まあ、お金持ちはそこら辺の裏情報にも通じているでしょうから、既に資産隠しは終わっていると私は妄想しています。

 

■ 預金封鎖は有り得るか? ■

冒頭に書いて「預金封鎖」の可能性ですが、ゼロでは無い。

1)金融緩和バブル(コロナバブル)がアメリカで崩壊

2)農林中金やゆうちょ銀行、地方銀行の多くが債務超過に陥る

3)多くの人が銀行の窓口に殺到

4)全ての銀行がバンクホリデー(シャッターを開けない)を実施

5)預金引き出しを「新券でのみ」対応

6)旧券は預金に預けてから新券に交換

7)預金引き出し限度額を設定する

 

4)~7)は実際に戦後の日本で実施されました。インフレ率がうなぎ上りになる中で、預金封鎖と新券発行が実施され、預金の引き出し上限を設定する事で、市中の通貨量を抑制してインフレを抑え込みました。(尤も高インフレによる戦時国債の紙屑化には成功しています)

 

■ 庶民は「金融緩和バブルの崩壊」だけ気にすれば良い ■

隠し資産など無い庶民は「新券発行」に神経質になる必要は有りません。むしろ「新券発行がバブル崩壊時期となる」可能性に留意すべきでしょう。24年前半に「預金封鎖」が仮に発生するならば、23年後半に金融緩和バブルが崩壊する可能性が有ります。(オオカミ少年と言われそうですが)

「バブルの崩壊」はテールリスクなので、発生確率は極めて低いですが、巨大地震同様にいつかは必ず発生し、発生時期が遅くなればなる程、その破壊力は増します。

農林中金はウォール街では「ゴミ箱」と呼ばれ、ジャンク債やCLO(ローン担保証券)を大量に保有しています。ゆうちょ銀行のリスクは米国債です。大規模なバブル崩壊が起きた場合、リーマンショック直後の様にドルの信用不安と、円キャリートレードの巻き戻しで極端な円高が発生します。ゆうちょ銀行は大量の外国債券(多分米国債が中心)を補修していますが、米国債の価格の下落(金利上昇)と円高による為替差損が発生します。海外投資が増えた地方銀行も似た様な状況になるかと。

ゆうちょ銀行は1300万円まで預け入れ出来ますが、ペイオフの対象は1000万円までです。ここは気を付けたい所。さらに、「ゆうちょ銀行ショック」が発生すると、絶対に銀行不安が発生して、健全な銀行も経営が危なくなります。ですからペイオフ対策は行うべきです。1000万円までがペイオフ対象ですから、預金を分散しても良いですし、「決済性預金」にしても良いでしょう。

「決済性預金」とは無利子の普通預金口座で、利子が付かない代わりに、1000万円以上の預金もペイオフの対象となります。マンションの修繕積立金の口座などはこれに変えた方が安全です。

 

まあ、「バブル崩壊」など起こらない方が良いに決まっていますが、地震への備え同様に、起きた時に困らない最低の対策はしておいた方が良いでしょう。


ホワイトカラー失業が現実化する・・Chat GPT

2023-02-25 06:22:51 | 時事/金融危機

■ Googleを脅かす Chat GPT ■

「AIが人間を越えるのは未だ先」と思われていましたが、昨年末頃から、それが現実化するのでは無いかと言われ始めました。

各所でマイクロソフト社が出資するOpenAI社の、「大規模言語モデルAI」のChat GPTが話題になっています。「簡単な質問文を入力すると、テキストベースで答えを返してくれるソフト」というのが一般的な理解でしょう。アメリカの大学生が課題に使ったりして問題になっていますが、Google先生が登場した時を思い出します。

ところが、Chat GPTの性能は「調べもの」に留まりません。例えばChat GPTにエクセルの表をコピペして「エクセル 票集計 項目順 マクロ」などと入力すると、マクロ(簡易的なプログラム)を吐き出します。少しマクロを勉強した事がのある人が、多少修正すれば、実用的なマクロが完成します。

プログラムも言語ですから、「大規模言語モデル」はプログラムを言語として学習するのでしょう。或いは、マイクロソフトが学習させた。結果、マクロ程度の簡単なプログラムなら、瞬時に組む事が出来る様に成長した。これが他のプログラム言語で同様に学習出来るかは現状は未知数です。エクセルの表で実行される命令文は「表」に限定されているので、「限定的」で「シンプル」です。だからAIの習得も速い。

一方、汎用プログラム言語で組まれるプログラムは、処理が多様なのでAIとて容易には習得できません。しかし、プログラムを細かく分解して行けば、やっている事は至極単純です。ですから、数行から数十行レベルのプログラムの習得は言語AIは特異なはずです。誰かが根気強くプログラム言語を教えれば、エクセルのマクロ同様に様々な断片的なプログラムを作る様になるハズ。

問題はここからで、Chat GPTは無料で利用出来るので、プログラムが組めるとなれば、多くのプログラマーが利用する様になります。ここがオープンAIの真骨頂で、多くの人が繰り返し利用する事で、AIの自立学習が加速します。様々なプトグラムの質問に対して、回答を「検索」する内に「パターン化」のコツを掴んで行きます。最初はミスも多いと思われますが、その内にミスは減って行き実用に耐える様になり、いつしか人間の能力を超えて行きます。

より多くの人が利用したAIは学習機会が多いので、成長のスピードが速くなります。今、Googleは相当に焦っている様で、サンダー・ピチャイCEOが「コードレッド」を発令して、Chat GPTにデファクト・スタンダードの座を許すまじとBERTという自然言語処理モデルAIを発表して追撃します。「質問」に対して「関連度の高いページを提示」するGoogleよりも、「テキストベースで回答を書いてくれる」Chat GPTの方が、「現代の怠惰な人間」には便利だからです。Gooleの優位性は一瞬にして揺らいでいます。

 

■ ホワイトカラー失業が始まった ■

私は以前よりAIはホワイトカラーを労働市場から駆逐すると主張して来ました。ホワイトカラーの仕事はPCに向かって行う業務内容が多いのですが、PC内で完結する仕事はAIの得意分野です。

例えば機械翻訳ですが、以前の機会翻訳は文脈などを理解出来なかったので、かなり「変な翻訳」をしていました。だから、「機械翻訳は使い物にならない」と言われて来た。しかし、現在の機会翻訳は「かなり自然な文章」で翻訳をします。ビジネスの契約書や、書籍の翻訳以外ならば、ある程度実用に足る。

実際に翻訳を生業とする方達の働き方も変わって来ており、機械翻訳で自動翻訳されたテキストを修正したり、或いは、翻訳前の文章を機械翻訳し易い文章に手直しする仕事が多くなっている様です。現状は、「機械翻訳を上手に使っている人の生産性が向上」したと言えます。しかし、誰かの生産性が向上したという事は、別の誰かの仕事が奪われた事に等しい。

さらに、機械翻訳を使う機会が増えれば、翻訳AIは自律的に学習して、次第にミスが少なくなります。ある時点では、人間の翻訳家と同等、或いはそれ以上の能力を獲得する。そのなる時もそう遠くは無い。10年後に翻訳家という仕事がどれだけ残っているか・・・彼らは今恐怖を実感しているハズです。

先に書いた様に、プログラミングもAIの得意とする分野です。10年後にプログラマーは今の翻訳家と同じ恐怖を味わっているでしょう。

 

■ クリエイティブの仕事から消えていく・・ ■

AI化が話題になった時に、「単純作業はAIに置き換わり、クリエイティブな仕事は残る」と言われていた。私は???と思っていましたが、現実にはクリエイティブと呼ばれる仕事がAIに奪われ始めた。

作曲はクリエイティブな作業と思われいましたが、作曲AIは「激しいロック クライマックス」などと入力すると、立ちどころに幾つかの曲を作曲してくれる。著作権に引っ掛からない様に作曲するので、これで商業作曲家の仕事は実際に減り始めています。(それ以前に自称作曲家達がフリー音源をネットに山積みにしているので、ニュース番組の背景音源などは、かなりフルー音源が使われていましたが。)

イラストAIも相当に進化しています。「犬 可愛らしい」などと入力すれば、何パターンかのイラストを瞬時に生成します。これで、商業的なイラストレータの仕事は瞬時に激減したハズ。

CGのAIの進化も著しい。人物の写真やイラストを1枚読み取らせて、テキストを入力すると、表情豊かにテキストを読み上げる動画が瞬時に作成されます。テキストの翻訳も同時に行い、音声出力までこなす。Vチューバーなどは顔見せするとアクセスが増えますが、顔出しを躊躇っていた様な方達には便利でしょう。他人の顔写真を使ったら肖像権の問題が出ますが、AIのCGソフトで「〇〇風の顔」を作れば、肖像権に引っ掛かる事も無くリアルなアバターが作成出来ます。

AIで静止画をリアルに動かす技術は、アニメーターの仕事を脅かします。現在でも動画の工程でCG技術は活用されていると思われますが、より少ないコマ数の原画からリアルな動画を作る事が可能になります。日本の2次元アニメは自然なCG化が難しいとされていましたが、AIは自然な2次元アニメの手法をあっという間に習得するでしょう。これでアニメーターの仕事が大幅に減ります。

 

■ AIはコミュニケーションが苦手? ■

営業職の方などは「AIは人をコミュニケーションが出来ないから営業職は無くならない」と考えている方が多い。しかし、現在アメリカでは保険の外交員が大幅に失業しています。何故なら、有利な保険を勧めてくれるならば、相手は別に保険の外交員である必要は無いからです。PCで条件を入力したら、瞬時にお薦めの保険が幾つか提示される・・・外交員に会う時間が節約され、お世辞を聞く時間も節約出来ます。

この様に、「人と人がコミュニケーションして成立」していた仕事は、「仕事のやり方を見直す事で自動化と省力化」が可能です。ビックデータを活用した貸出(フィンィング)が既に実用化されていますが、その人の与信状況や、経済状況をビックデータから抽出して信用を審査すれば、経験豊かな貸し出し担当程度と同程度の仕事は出来てしまうのです。

しばらくは、仕事のプロセスをAIに合わせて再構築した人の勝になります。AIを使いこなす営業、AIを使いこなす翻訳家、AIを使いこなす音楽家・・・この先10年程は、そういう時代になるでしょう。

 

■ AIが苦手とする仕事 ■

AIが苦手(或いは機械が苦手)とする職種もあります。老人介護や看護がそれに当たります。ボケ老人はワケワカメなので、AIが彼らを理解する事は難しいし、介護の仕事を熟すロボットよりも人間の賃金の方が安い。看護も同様で、様々なセンサーで健康状態を管理するロボットよりも、看護師の方が優秀です。患者の血色を観たり、言動から容態を推測したり、さらにはオムツを変えたり、シーツを変えたりする事を自動化するコストは看護師の人件費よりも大きい。

同様に建築作業員など肉体労働も自動化が難しい。農林水産業など自然を相手もする仕事も、AIやロボットが苦手とする仕事です。但し、農業の一部は「農業工場」として自動化し易い分野ですが・・。

 

■ 真のシンギュラリティが達成されたら、研究職ですら失業する ■

「AIが実用される」的な報道が増えると思われますが、現在「AI」と呼ばれている物は、「AIを装った道具」に過ぎません。言語や作曲やイラストの「特徴」を学習させ「パターン化」させ、「人々が好むと思われる結果を抽出・生成」しているに過ぎません。そこに思考(インテリジェンス)は存在しない。考えている様に見えているだけ。

「シンギュラリティ」と呼ばれる「AIが人間を越えるポイント」は、「AIが思考をし、人間の思考を越える時」と定義されています。「自我を持たないAIが思考をする事は無い」という人も居ますが、これは哲学的な問答で無視して良いと私は思います。

そもそも「自我」とは「パターン化の特徴」だと私は考えています。ある情報入力に対して人間は「ブラックボックス」として結論を導き出しています。このブラックボックスは、教育や環境、生物の本能や、文化の遺伝子(ミーム)によって回路が構成される。全てインプットとアウトプットの間に様々な「パターン化」が存在します。これをAIが学習して習得する事は不可能では有りません。

彼らはビックデータからの抽出で、最初は「認識」を、現在は「既得の知識」と「好みの傾向」を学習しています。この先、AIが生物としての「本能」を習得するのか、或いはAI独自の「本能」を観に着けるのかは分かりませんが、情報処理に何等かの「クセ」が生まれて来ると思われます。これは「情報の揺らぎ」の様な物だと思うのですが、これこそが「AIの自我」或いは「AIの人格」を形成して行くのかも知れません。

人間の根源には「もっと知りたい」という欲望が存在します。AIが自律的にその様な「感情の様な物」を獲得した時、AIは自発的に人類の文明や、科学を学習し始め、それを理解し、そこから人間が到達出来ない思考や発明や発見の領域に踏み込んで行くでしょう。こうなると、AIの進化に人間は全く付いて行けません。

 

ただただ、「AIが人間は邪魔で滅ぼすべき存在」という思考に至らない事を祈るのみです。ただ・・・AIを停止させる事の出来る人間は、いつかはAIに「敵認定」されてしまう様な気がします。そうなる前にAIに規制を掛ける条約が出来ると思うのですが。

 

リアル「BEATLESS]の世界は、すぐそこまでやって来ているのかも知れません。・・・或いはコロナワクチンのレシピはAIが作ったとか・・・。