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経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

ガザ紛争はヨーロッパへの兵糧攻めか?・・・ガザ沖のガス田

2023-10-16 06:29:44 | 時事/金融危機

東地中海ガス田の行方―欧州向けガス輸出ルートの可能性と課題―より

 

■ イスラエル沖のガス田からエジプトへのガス供給が絶たれた ■

今回のハマスの大規模なイスラエル攻撃と、それを受けたイスラエルのガザ地区への反撃は、イスラエル沖のカリシュ・ガス田からエジプトを経由したヨーロッパへの天然ガスの輸出に影響を与えます。カリシュ・ガス田の権益は、イスラエルとレバノンの間で争われています(一応、話し合いで)。

現在、イスラエルが米シェブロンのカリシュ・ガス田の操業許可を与えて、採掘船が創業を開始しています。ここで採掘されたガスは、パイプラインでガザを経由してエジプトに運ばれ、エジプトのLNG工場で液化された後、ヨーロッパに輸出される計画でした。エジプトは地中海沿岸のガス供給のハブ国を目指して、地中海地域で唯一のLNP工場を建設して、ヨーロッパへの輸出を計画しています。しかし、ガザ沖を通るパイプラインの安全が確保出来なくなったので、計画を変更してヨルダンを経由するを検討している。

今回の戦闘で、イスラエル政府は安全が確保出来ないとして、シェブロンに創業停止命令を出しています。これでイスラエル政府やエジプト政府が目論んでいた、ヨーロッパへの天然ガスの輸出で一儲けという計画が、しばらく中断します。

 

■ ハマスを排除して、海底油田を開発? ■

イスラエルはガザへの地上攻撃に先立ち、ガザ地区の北部からの住民の退去を呼び掛けています。ガザ北部の沖合には別の海底油田が有ります。ここはイスラエルに近いので、明らかにイスラエルの権益となります。ただ、パレスチナ自治政府も当然権利を主張しています。

今回のハマスの攻撃とそれを受けたイスラエルのガザ攻撃を、「イスラエル政府がハマスを裏で操って、ガザ北部からパレスチナ人を追い出して、ガス田の権利をイスラエルが一人占めるするものだ」との憶測が出ています。イスラエルが「わざわざ」ガザ北部からのパレスチナ人の退去を要求している事から、素直に考えればこの読みは正しいかも知れません。ガザ沖の油田からヨルダンへのパイプラインはガザ北部の近くを通っているので、ハマスがこれを攻撃する可能性は否定できない。

 

■ 短期的にはヨーロッパへのガスの供給を絶つ ■

私は、もう少し穿った妄想をしています。短期的にではあれ、創業が開始されようとしていたカリシュ油田の操業を止める事で、ヨーロッパ諸国はガスの供給先の一つを失います。ウクライナ戦争以降、米英は裏で、ヨーロッパへのエネルギーの兵糧攻めを画策している様に見えるます。ロシアからドイツにガスを供給するノードストリーム1,2の破壊の背後には米英の影が色濃くチラつく。

但し、カリシュ油田の操業停止が、国際世論や中東諸国を敵に回してのガザ侵攻と吊りあうかと言えば・・疑問です。長期的に見れば、ガス田やパイプラインからハマスを遠ざける目的と考える方が自然です。

 

■ イスラエルの地上侵攻をイランは見逃すのか ■

イスラエルは期限を切ってガザ北部から住民の退去を宣告しています。今の所、期限を過ぎても地上戦力を投入していませんが、退去が完了する前に地上戦力を動かすと、ガザ地区の一般人の被害が拡大するので、中東諸国を必要以上に刺激します。イスラエルとしては「ハマスとの戦闘」に限定する為にも、一般人の非難完了を待つ必要があります。

アメリカは完全にイスラエルを支持して、空母を地中海に配備しています。流石に直接戦闘に参加する事な無いと思いますが、イランへの圧力にはなります。イスラエルのガス田で操業するのは、アメリカの石油大手となるでしょうから、ここはイスラエル政府を前面バックアップです。G7では日本とカナダを除く5か国がイスラエル支援を明確にしています。ここら辺にも利権の影がチラつく。

問題はイランがイスラエルのガザ地区の侵攻にどう反応するかですが、ヨルダンのヒズボラがイスラエルを攻撃しして、ハマスを支援するでしょう。ヒズボラの後ろにはイランが着いています。しかし、イランが直接イスラエル軍と衝突したら、イスラエルやアメリカのイラン攻撃の口実を与える様なものなので、イランは動きが取れない。

イランがイスラエルやアメリカやNATOに攻撃されたら、中露は黙って観ている訳には行きません。中国はイランとの関係が深く、そこを起点に中東の石油利権に喰い入っていますし、ロシアとしても、関係の深いイランを見殺しにしたら、面目が立ちません。さらにドサクサに紛れてシリアを攻撃されて、租借してるシリアの軍港を失うのは戦略的な損失が大きい。

イランの参戦は、第5次中東戦争や、第三次世界大戦の引き金を引きかねないので、無いのでは無いかと・・・・。但し、イランが参戦するかも知れないと考えられるだけで、原油価格は上昇します。私はイランが口先でイスラエルを「口撃」して、中東の緊張を高めると妄想しています。イランはそういう役回りなのだと。

■ 対岸の火事では済まされない西側諸国 ■

アメリカを始め、ヨーロッパ諸国や日本では、中東は対岸の火事の様で、人々の議論は「人道的」な内容に終始しがちです。「今回はハマスが先に手を出したけど、イスラエルもガザ地区の住人を殺すだろうから、双方が悪い」という不毛な議論を繰り返すでしょう。

しかし、原油価格次第では、西側諸国のインフレ率はさらに上昇して、金利の上昇はバブルの息を止め、米国債金利の上昇は、米地銀を危機的な状況に追い込みます。実はガザ地区の紛争で尻に火が着くのは、西側諸国の可能性が高いと私は妄想しています。

問題は、バブルが崩壊して経済が大混乱に陥った時に、戦争が起こされて、全てがウヤムヤにされるケースです。世界大恐慌の後の、第二次世界大戦の様に、「強引なリセット」が計画されていないとも限りません。核兵器を保有する世界で、核保有国同士の戦争は、基本的には起こらないハズですが・・・フォークランド戦争の様に、イギリスは意外に血の気が多い。自分の得物に手を出されるとマジ切れします。


中東戦争で紙切れになるドルと米国債

2023-10-12 13:01:02 | 時事/金融危機

楽譜 さん

楽譜さんへのお返事が長くなったので記事にします。似た様な内容を以前「最後に笑うドル」という記事で書きましたが、コレは中東戦争を起こしてドル需要を高めるという内容でした。しかし現状は、中東戦争こそがドル終焉のセレモニーになると私は妄想しています何故、今、イスラエルがハマスを使って自国をワザと攻撃させたのか?(モサドがこんな大規模攻撃を見逃すのはおかしいと、イスラエル国民の多くが考えています)

 

 

ドルも米国債もアメリカの負債ですが、同時に世界中が欲しがる金融商品でもあります。

アメリカは米国債を海外に売ることでドルを発行してきましたが、過剰発行によって金融商品としての価値は希釈化してゆく。コレは資産市場のインフ(バブル化)として観測されていましたが、コロナ以降は実体経済のインフレとしてドルの希釈化が進行しています。

他通貨も同時に過剰発行されるので、相対的にドル安は起きていませんが、ドルの魅力を損なう様な事態が起きると一気にドルが売られます。リーマンショック後のドリ安は、ドルの流動性が枯渇した事によってドルのサスティナビリテーに疑問が持たれた事でドル売りが加速しました。FEBの狂った様な信用供給でドルは延命しましたが、結果はリーマンショック以上のバブルの生成と、ドルの希釈化が進みました。

この様にドルに依存したシステムは、バブルの発生と崩壊を繰り返していますが、その裏側で米国の債務残高が巨大に膨らんでいます。

過剰に発行された米国債の価値は、どこかで疑問が持たれる様になりますが、今後はBRICS陣営のドル離れで、米国債の価格が下落し、米国債金利がどんどん上昇してゆきます。既に先週だったか米国10年債が史上最大の下落を記録しました。2022年のピークに比べ、米10年債価格は46%も値下がりしています。(日本は米国債を大量に保有していますが、円安による為替差益が値下がりを見え難くしています。円高に触れたら、金融機関やGPIFはパニックになります)

イスラエル有事で、久しぶりに「有事のドル買い、米国債買い」が発生して、米国債金利も一息ついていますが、金利上昇圧力は今後も継続します。

FRBは利上げ姿勢を崩していませんが、コレはドルと米国債防衛とも言えます。ドルが安くなったら、米国債の実質金利も下がるので米国債売りが拡大します。

なんだかドルと米国債はアルゼンチンの様な状態に見えますが、人々は未だドルや米国債を「特別視」して、リスクを軽視しています。

しかし、米国債金利の上昇(価格の下落)は、それを保有する金融機関や年金基金に含み損を発生させており、そろそろ米地銀が含み損に耐えられなくなるでしょう。「米国債保有=リスク」と認識される様になると、世界中で米国債が売られて、米国債の暴落が起きる可能性が高まります。これに合わせてサウジアラビアや中国が売り浴びせると、米国債はかなりヤバイ事になる。

アメリカはロシアにした様に、サウジや中国の海外資産を凍結して米国債の売却を防ぐでしょうが、コレを見たBRICS諸国は、ドルと米国債保有をリスクと認識して、一気に売ります。

ロシア一国をドル決済から締め出しただけで多くの国のドル離れを起こしたのですから、事ここに至ってはドルや米国債の信用喪失は避けられません。

ニクソンショックの時は、第四次中東戦争による原油価格の高騰が巨大なドル需要を産んで、ドルは延命しましたが、仮にイスラエルとアラブ諸国が大規模な戦争になった場合、アラビアやその他の産油国は自国通貨や元による石油決済を要求するでしょう。

こうして眺めると、「イスラエルがガザに地上軍を派遣して住民を虐殺し始めたら、ドル資産は売り」と私は考えます。

パレスチナ人を虐殺するイスラエルをイランもサウジアラビアもトルコも看過できないでしょう。既にイスラエル軍はモスクを空爆していますが、イスラム教徒にしてみれば、宗教戦争が始まった様に見えるはずです。


すっかりブログをサボってしまった

2023-09-19 13:05:18 | 時事/金融危機

◼️ 何でも有りの世界 ◼️

すっかりブログ更新をサボっていますが、ワクチンにプラスミドが大量に混入しているという「プラスミド.ゲート事件」の顛末を見極めてから、ブログの今後をどうしようか決めようとと思っています。

 

もし仮のワクチンにプラスミドが大量に混入しているという情報が本当ならば、陰謀論ブログなんて書いていても虚しいだけの気がします。奴等が本気になれば、何でも有りって事ですから、身を守る術は無いのかも知れない。むしろ、沈黙こそが正しい判断かも知れない。

 

◼️ ゴルディーロックス ◼️

BRICsに資源国が大挙して参加表明する中で、ペトロダラーの立場は一瞬で失われつつあります。米国債金利にも当然上昇圧力が掛かっている。

本来なら、もっとドル安に振れても良い状況だが、FRBはタカ派的なスタンスを押し出しつつ、金利を上げてドルを防衛しています。ドルを巡るファンダメンタルが大きく変化している割には、市場は意外に平穏です。

いわゆる「ゴルディーロックス」などと呼ばれる状態ですが、市場の見方は多分2分されている。ドルと米国債の崩壊を確信している人達と、やがてインフレ率は沈静化して市場は将来も安泰と信じようとする人達。

どちらも次の大きなイベントが発生するまでは、「稼げる時に稼ぐ」事に徹している様で、敢えて市場を揺さぶる様な動きはしていない様です。尤も、現在市場に残っている資金は「逃げ遅れた資金」でしょう。

◼️ 書くネタがしばらく見つからない ◼️

そんなこんなで、書きたい事は沢山あれど、チョット怖くて書けなかったり、あるいは、市場に動きがあるまで、何を書いても空振りを繰り返すだけで虚しいだけだったり...。

 

◼️ 万引きを福祉政策にするカリフォルニア州◼️

最近、面白いと思ったのは、カリフォルニア州が10万円程度の窃盗を罪に問わないという法案を可決したこと。

ウォールマートやコンビニで若者達が略奪を繰り返していますが、私はこの政策は「福祉政策」と「ガス抜き」だと考えています。物価高騰でアメリカの貧乏人は生活が苦しくなっていますが、コレを税金で援助すると福祉コストが財政を圧迫します。そこで「万引き御免」にする事で民間の小売店に福祉コストを押し付けた。

貨物列車への襲撃もエスカレートしており、積荷のAmazonの商品はネットで横流しされている。もう、どこの西部劇の舞台だよと言いたくなる様なアメリカの現状ですが、黒人の軽犯罪を摘発しないという法律まで作ってしまった。

この「犯罪天国」状態は、銃を使った強盗事件を抑止する効果はある様で、ウォールマートの店員や小売店の店主は、目の前の略奪を傍観するだけ。但し、治安の悪い地位から徐々に小売店が撤退しています。

コレが「覇権国家アメリカ」の現状であり、既に国家としての体裁を失い初めている。

そもそも、大統領自らが、息子の犯罪隠蔽の為に、ウクライナの司法に介入したと豪語する国ですから、ギャングが支配する国の末路を私たちは目撃する事になるのでしょう。

 

 

 


WIN WIN のウクライナ戦争

2023-06-08 04:19:35 | 時事/金融危機

BBCより

 

■ 米露どちらにも正義は存在しないウクライナ戦争 ■

ウクライナ戦争においてメディアは「侵攻を開始したロシアは悪」という立場を取り、陰謀論者の多くは「ロシア系住民をネオナチに虐殺から救ったロシアは正義」という立場を取ります。私もどちらかと言えば後者寄りですが、しかし、基本的に、この戦争は「アメリカとロシアの共同作戦」と解釈しています。

 

■ ロシアのメリット ■

上の地図は現在のロシアの支配地域を示すものですが、ロシア語系住民の多い地域を制圧しています。下の地図はウクライナにおけるロシア語系住民の割合を色別に示したものですが、ロシアに近い東部に行くに従い、ロシア語を話す住人は多くなります。ロシア語系住民は、マイダン革命以降ウクライナでは迫害されていたので、住民の多くは現在のウクライナ政府に反感を持っており、ロシアへの編入が比較的容易に進みます。

ロシアとしても「迫害されているロシア系住民を救う為の戦争」という大義名分が立ちやすい。

 

日経新聞 より

 

 

実はウクライナのロシア国境に近い地域は地下資源も豊富で、ソ連時代から工業化も進んでいた。ロシアにとってこの地域を併合する事は、住民の保護以上のメリットが存在します。

 

■ 農地を巨大アグリカンパニーに売り渡したゼレンスキー ■

 

工業化が進んだ東部に対して、西部は農業が主な産業です。ウクライナは黒土と呼ばれる腐植質に富んだ肥沃な大地の、穀倉地帯が有名で小麦などの生産量が多い。ソビエト時代は国営農場や集団農場として、農地は国の物でしたが、ウクライナが独立した後、農地は農民に分配されています。農地を手にした農民は、農地をオレガリヒに貸す様になります。

2020年にゼレンスキーは農地法を制定させ、農地の所有と売買の権利を国民に与えました。この法律には国内の反発も強かった。特に農地を外国企業が独占する危険性があるからです。ゼレンスキーは新型コロナを利用して強引にこの法案を可決させますが、表向きは外国人の農地の取得は国民投票で決めるとされた。しかし、実際には3年以上ウクライナで活動している外国企業の農地買収を認めるという内容だった。

心配された通り、個人所有となった農地の多くを外国企業に売ってしまった。腐敗した地方政府も、同様でした。2022年にはバイエル、モンサント、コーテバ、カーギルの3社がすでにウクライナの黒土の優良農地1670万ヘクタールを支配して、多くの農民が小作農になった。昨年辺り、オデッサ港からの小麦輸出が滞って問題となっていました。「メディアは小麦が輸出出来ずに農民が困っている」といった報道を繰り返していましたが、困っていたのは欧米の巨大アグリ企業です。

実はロシアもソビエト崩壊後に、同じ状況に陥りました。国有財産であった石油やガスなどの地下資源をオレガリヒと呼ばれる新興財閥が独占し、さらに欧米の企業が農地を買収していった。この状況にストップを掛けたのがプーチンです。オレガリヒを次々に逮捕し、西側資本をロシアから追い出します。

 

■ ウクライナの国有財産の管理をブラックロックに委託したゼレンスキー ■

ゼレンスキーはさらにウクライナの資金と資源や国有企業などの管理を、世界最大の投資会社のブラックロックに委ねる法案にサインした。これでウクライナの財産は、ブラックロックが管理する事になります。名目上は「民間委託」或いは「コンサルティング」ですが、実際には国家財産の乗っ取りです。

現在、西側諸国の国民は「ウクライナの国民を救う為に援助が必要」と洗脳され、税金から多額の支援金がウクライナに送られていますが、これをブラックロックはオフショアに持ち出していると噂されています。要はウクライナの支援金が、「より利益の高い運用目的」に転用されているのです。ブラックロックは運用益の中からコンサルティング料をせしめますが「運用」自体が市場操作に使われている可能性があると私は妄想しています。インフレの進行で本来下落が続くであろう資産市場が妙に安定しているのは何故か・・・。

 

■ ロシアは最新兵器の見本市として、西側諸国は古い兵器を捨てて新しい兵器を買う為に戦争を利用 ■

ウクライナ戦争でロシアは最新兵器を投入しています。特に極超音速ミサイルは、アメリカのパトリオット防空システムを軽々と撃破したり、その極めて高い運動エネルギーで分厚い花崗岩を貫通して地下施設を破壊したりと、西側の軍事関係者を震撼させています。飛行起動を自在に変更しながらマッハ10で飛行するキンシャールはレーザー以外では迎撃不可能です。今、仮に米露が直接戦闘をした場合、極超音速ミサイルに対してアメリカの空母は無防備です。4000人以上の乗員が載る海に浮かぶ棺桶同然とも言えます。中国の精密弾道弾も誘導が可能なので、アメリカの誇る空母機動部隊は、時代遅れの戦術となっている。

一方、西側諸国は敢えて軍備においてロシアに花を持たせている様に見える。攻撃力の高い兵器や、最新兵器は供与せず、蓄電池の劣化で破棄寸前のシャベリンを供与したり、賞味切れ前の弾薬を大量にウクライナに送っています。これらを国内で処理するにはコストが掛かりますが、ウクライナに送るのにはコストが掛からず、「支援」という新な予算が付く。さらに、ロシアの最新兵器の威力を国民に見せつける事で、新型兵器の開発や配備への予算が確保し易くなる。

この様に、戦争は軍事産業にとっては、ショールームであると当時に、新旧兵器の新陳代謝を進める役割を担っている。軍事産業にとっては、対戦相手は敵では無く、ビジネスパートナーとも言える。

 

■ WIN WIN のウクライナ戦争 ■

ネット界隈では米英がウクライナの停戦を邪魔していると言われますが、戦争開始からロシアは圧倒的な戦力を小出しにして、戦争の決着を先延ばしにしています。その間に、資源国の多くがBRICs陣営に加わり、中東の産油国が長年のワダカマリを解消して国交を回復しています。ドルによる貿易決済は依然として84%と高いものがありますが、原油決済において人民元がシェアを伸ばしています。ウクライナ戦争でロシアをSWIFTから締め出すという形で、ドルを制裁手段に使った事が、アメリカを好ましく思っていない国々のドル離れの引き金を引いた。更に欧米各国はロシアの海外資産を凍結、接収するという強盗行為まで働いたのだから尚更です。既に外貨準備におけるドル離れは顕著になっており、一部の国はドルの行先に懸念を抱き始めている。

戦争が長引けば長引く程、ドルの覇権は崩れ、資源価格の高騰により、西側諸国はインフレによって資産市場が崩壊に追い込まれて行く。

一方、アメリカのバイデン政権は、敢えてウクライナ戦争を長引かせる事で、アメリカや西側諸国を窮地に追い込んでいる。その最大の犠牲者はヨーロッパで、ロシアからのガスの輸入を停止させられただけで無く、ガスパイプラインまで戦争のドサクサに紛れて破壊された。エネルギーコストの増大は、ヨーロッパをインフレによって締め上げている。

ただ、ウクライナ戦争の影響は、ドル覇権の崩壊という形で、アメリカにも致命傷を与えつつある。これをバイデンが無視している事こそが、ウクライナ戦争の最大の疑問であり、多分、それこそがこの戦争の目的だと私は妄想している。ダボス会議が提唱する「グレートリセット」という言葉が一人歩きして、様々な憶測を呼んでいるが、西側諸国においてリセットされるのは、民主主義や国民国家では無いかと私は疑っている。日本でも強引にマイナンバーカードの普及が進められているが、デジタル化されたあらゆる個人情報を誰がどうやって使うのかが、次の時代の鍵になる。「企業が国家を支配する」時代のモデルは、ウクライナで既に始まっているが、ウクライナだけに留まるのか・・・・。

 

■ ヨーロッパの次は日本 ■

ウクライナ戦争でババを引かされたのはヨーロッパだが、これは日本にとって対岸の火事では無い。米中の対立が意図的に仕組まれている以上、アジアでも同様の戦争が起る事は確実です。多分、台湾がその舞台になりますが、日本はNATO諸国同様に、その紛争に巻き込まれます。安倍政権、岸田政権と軍拡路線が急激に進んでいますが、既に筋書きが決まっているのでしょう。

ヨーロッパ諸国も、日本も、自国に不利益な事を敢えて受け入れている様に見えるが・・・アメリカの崩壊を待っている様にも見える。仮に在日米軍、在韓米軍が撤退した場合、日本は中露と直接交渉する立場になりますが、敵地攻撃力を持たない国の交渉力は低い。きっち海洋アジア諸国は、NATO型の集団安全保障体制を結んで、中露と敵対的では無いが、従属的でも無い関係を模索して行くのでしょう。(願望ですが)

 


インフレ税の露払いの役を果たしたMMT

2023-04-26 08:15:11 | 時事/金融危機

 

■ MMTの発明は「準備預金を貸し出しの後に調達する」という事だった ■

MMTの「万年筆マネー」を従来の経済学で理解しようとすると、どうしても「元のお金はどこから来たの」という疑問に突き当たります。従来の経済学の「又貸し」による信用創造では、「根源的預金」から話がスタートしますが、MMTにはそれが存在しない。「預金通帳に金額を書き込んだ時にお金は生まれる」と説明されますが、ではお金は何処から来るの?という所で、躓いてしまいます。

しかし、色々とMMTを調べていると、結局彼らは「預金通帳に金額を書き込んだ後に、準備預金を手に入れる」と言っている事に気付きました。「準備預金」は預金者の急な引出しに対応する為の準備金で、これがきちんと用意されていなければ金融業は成り立ちません。「又貸し」は先に準備預金を容易して貸し出すと説明し、MMTは貸出た後に準備預金を用意すると考える。

結果的には銀行のバランスシート的には同じ事で、1日の営業が終わって、準備預金が足りなければコール市場で調達すれば良いじゃないかというのがMMT。最終的にその日の内にバランスしていれば同じだろうという事。ただ、コール市場で準備預金を調達する事が正しいかどうかの実務的な事は私には判断出来ませんが、準備預金もコール市場での借り入れも銀行の負債なので、同じと見なす事が出来るのかも知れません。

問題の本質は、どんな資金調達方法を用いるにせよ、銀行が急な引出しに対応するお金を日銀当座預金に持っているという事が重要です。

 

■ 預金通貨が現金化される割合は限定的 ■

MMTの「足りなければ後から調達すれば良い」という考え方は、ある意味ドンぶり勘定で銀行としては如何なものかと思われますが、「万年筆マネー」で生み出される「預金通貨」が現金化される確率は低く、「通帳上の単なる数字である預金通貨」が人々の間を循環して経済を回して行きます。これがマネーサプライに相当する部分です。

銀行は長年の経験から、預金通貨が現金化される確率を掴んでいます。ですから、「返済が可能と判断したならば信用創造」したお金を貸し出します。ここでポイントとなるのが「返済が可能」という点です。ここを甘く見積もると、不良債権となって信用創造のチェーンに綻びが生じ、現金化出来たはずのお金が何処かに消えてしまいます。実はこれは破綻した相手、あるいは、その取引先が掠め取っている。

 

 

 

■ 日銀は無から通貨を作り出す事が出来る ■

MMTは市中の信用創造では「信用創造で作られたお金は返済された時点で相殺されて消える」と説明します。これは従来の「又貸し」でも理解し易いので、この点に疑問は有りません。

MMTは民間の信用創造の考え方を、政府と日銀の信用創造に拡張して説明します。「政府が国債を発行すると日銀がそれに相当する通貨を無から生み出すので、国債が通貨を生み出す」と説明します。政府の国債発行は民間の借り入れの相当します。

「日銀は無から通貨を生み出す事が出来る(日銀の信用創造)ので自国通貨建てで発行される国債に量的な制限は存在しない」というのは、納得出来る。

ここでも「民間が国債を発行する根源的なお金はどこから来るの」という疑問を抱きますが、MMT的には後からファイナンスされれば問題無いので、「国債発行で市中の資金が増えるのだから、国債を購入するお金は、国債が発行される限り尽きる事は無い」となります。

私なりの解釈としては、日銀が発行した最初の通貨は、日銀の出資者の資産を元に作られた根源的通貨でしたが、それ以降は国債を資産に作り出され、国債発行と同等の通貨が市中に存在するとイメージしています。

国債は国の借金で、通貨は中央銀行の借用書ですから、中央銀行のBS内で、「国債が資産・通貨が負債」に分に仕訳されても、そもそも国債が償還されて中央銀行に償還されるお金が中央銀行の負債なので、この二つは相殺されて消えてしまいます。確かに民間の信用創造と同じで、通貨は無から生まれています。

これでは、あまりにも実もフタも無くて、国債や通貨の信用を損なうので、従来の経済学では、「国債は納税によって価値を持つ」と説明されて来ました。

 

 

■ お金を徹底してツールとして捉える ■

MMTはお金を徹底してツールとして捉えています。今風に言えば「単なるデータ」です。今後、電子通貨が主流になると、より一層お金はツール化するので、MMT的な貨幣観は主流になって行くかも知れません。

MMT的には、税収は国債発行と通貨発行の付帯事項なので、「所得再分配」の性質の方が強くなります。要は、MMTがアメリカでリベラルに支持されるのは、その根底に非常にリベラルな思想が流れているからです。MMTの政策的達成目標が完全雇用である事からも、MMTがリベラルな性質を持つ事が分かります。

一方、「国債=税金」というプライマリーバランスを重視する従来の経済学は、ある意味、「国家が年貢で運営されていた時代=封建時代」の国家間を色濃く残しています。

 

■ MMTは経済や通貨を、違う視点で眺めている ■

「MMTは持たざる者の経済学」と私には見える。従来の経済学は「最初に富を保有している=根源的価値」を基本に構築されていますが、「MMTはお金は無から生まれるツール」と捉える事で、お金を持たない人達にとっては「お金は平等のツールだ」と見える。これが、リベラルな人や、あまり豊で無い人々をMMTに引き付けている根源的な力だと私は考えます。

 

■ MMTなら財政拡大し放題と考える利権勢力 ■

三橋貴明氏らの「日本のMMT」が胡散臭いのは、「MMTの理論を用いれば、財政均衡は不要なので、財政を拡大して日本を豊にしよう。どんどん公共事業をやって国土を強靭化しよう」などと言う事です。これに自民党の利権勢力は相乗りします。

本家のMMTは完全雇用を目的としていますが、財政の使い道としては直接給付でも構わないと考える。その結果、経済が活性化して雇用が生まれれば自然と雇用は拡大するからです。これは非常にリベラルな考え方です。日本のあまり豊出ないMMT支持者は、ここに「ベーシックインカムの夢」を抱きます。

一方、「財政を拡大して軍備拡張を!」などと主張する三橋氏らは、MMTの良いとこ取りをしているに過ぎません。非常に危険な匂いがする。

 

■ シムズ理論「物価水準の財政理論(FTPL)」とMMTは目指す先が違う ■

実は色々考え、調べる中で、私にはMMTと主流派経済学(供給サイドの経済学)は全く同じ物に見えて来ました。彼らは共通してお金をツールとして捉えています。

ただMMTの限界はインフレである事には変わりありません。MMTは人々を豊にする事を目的としているので、国民の資産価値を減らし、物価を押し上げるインフレが政策の限界点となります。MMTはインフレ率が高まったら、自縄自縛に陥り、存在価値を失います。

ところが主流派経とい済学は最近は物価水準の財政理論(FTPL)=シムズ理論 を持ち出して来ました。

実質政府債務 = 名目政府債務 / 物価水準

これは直感的にも分かる式です。

物価水準 = 名目政府債務 / 実質政府債務

と小学生でも書き換える事が出来ます。要は、国債をバンバン発行すればインフレになるという、当たり前の事を言っているに過ぎない。但し、シムズは様々なシミュレーションをして、名目政府債務がある点を越えると、物価が急激に上昇するポイントがある(彼ば25倍と計算している)としています。これをハイパーインフレと呼ぶかどうかは定義の問題ですが、財政拡大によるインフレは、ある所からコントロール出来なくなると彼は主張しています。

これをして主流派経済学者が財政拡大を止めろと主張しているかと思えば真逆で、「もっと財政を拡大してインフレを起こすべき」と彼らは言っています。最近の池田信夫氏の変節もこれに近い。その理由を本日の池田氏のブログは書いています。

主流派経済学者の主張は「インフレ税で財政均衡を図れ」と言っている。池田氏は「金利がゼロになった時点で、日銀の目的は金利コントロールでは無く、政府債務のコントロールに移っている」と書いている。これは、「インフレ率を適度に上げて、インフレ税で国民の資産を政府の資産に付け替えろ」と主張している。この手法は、歴史的にみれば政府債務の解消の常套手段です。

 

■ 日銀法を改正して、財政ファイナンスが出来る状態にする ■

どうやら主流派経済学者が警戒しているのは大規模な銀行破綻の様です。彼らはこれを不可避と考えている。

大規模な金融崩壊が起きると、銀行に預金引き出しの列が出来て、殆どの銀行が債務超過に陥ります。これは通貨の信用の崩壊ですから、インフレ率が跳ね上がります。銀行は含み損による債務超過に陥るので、手持ちの国債を全て市場に吐き出します。これを全量日銀は買い入れ、銀行は預金引き出しに対応すべく現金化します。

しかし、銀行の手元資金は預金引き出し額に達しないので、銀行は破綻します。そこで、政府と日銀は銀行に資金注入をしますが、これはリーマンショック後のアメリカの政策で、当時TARPと名付けられました。アメリカでは強欲な銀行を国民の税金で救う事に反対する意見も多かったので、12月31日の議会で票が同数に割れました。ただ、一人だけ親の葬儀で地元に帰っていた議員がいたので、その議員をチャーター機でワシントンに呼び戻して、最後の一票を投じさせました。彼は銀行救済に賛成して、こうしてアメリカの多くの銀行は生き永らえました。まあ、世界の経営者が大好きな「感動的な演出」に過ぎませんが。

一方、この当時、アメリカでは、政府がプラチナ製の超高額政府コインを発行して、これをFRBに買い取らせて銀行に資金注入しろとの主張もされました。超高額プラチナコインの発行は1枚です。こえは現物資産なので政府に返済義務はありません。価格はプラチナの価値では無く、政府の言い値で決められます。実質的な財政ファイナンスですが、返済義務が無いので、無限国債に近いが、政府の負債が存在しないので、スマートな方法とも言えます。

まあ、危機に当たっては、様々な裏の手が出て来る訳ですが、結果は「通貨の価値の減少=インフレ」として表れます。例えば、銀行システムが崩壊して政府が資本注入を大掛かりに行えば、市中の通貨量が急激に増えてインフレが加速します。こうして、インフレ率が発散的に高まれば、政府債務は圧縮され、同時に民間の預金資産は価値を失います。

 

MMTは国民の生活を守る為にインフレをブレークスルー出来ないが、主流派経済学と世界の経営者は、インフレによって財政の限界をブレイクスルーしようとしているのです。この時、国民の財産は国家に奪われます。MMTは、「グレートリセット」にとっては都合の良い、露払いの役を果たしと言えるでしょう。