※ オーストリア/ウィーン美術史美術館編 ‐ 中欧美術館絵画名作選(43)
美術館の公式HP、 “ 古代ギリシャから18世紀末までの芸術作品の数々は、ハプスブルグ家の皇帝や大公たちの収集にかけた情熱の証、とりわけブリューゲル・コレクションは世界最大 ” とある。
そのブリューゲル(1525-1569)が、農民画家の本領を発揮した 「婚礼の宴会」(1567-68年/114×163㎝)。
当時、 “ ネーデルランドの農民の婚礼は納屋で行われた ” らしく、花嫁は、稲藁が架る壁の織物を背に慎ましやかに腰かけているが、所在なさげといえばそうかも知れない。
一方、婿殿は<カナの婚礼>よろしく水差しに酒を注いでいる男か、はたまた赤い帽子を被って皿を配る若者か?
どちらにしても、嬉しくてじっと座ってられないのか、それとも婿殿が先んじてもてなすことが風習だったのか。
前景で大人の帽子を被った子供が皿まで舐めている場面を描き、この場の雰囲気を楽しいものにしている。
とは言え右上隅では、規律や戒律を重んじる修道士と村の長らしき剣を帯びた男が、密かに話をする様子が描かれてい、“ このような宴を苦々しく思っているであろうことを示唆している ” とされている。
もう一枚 「農民の踊り」(1567-68年/114×164㎝)も架る。
ブリューゲルは、 “ 大市がたったり婚礼が行われたりすると、変装してこっそりその場に潜り込み、農民らが飲み喰らい踊り跳ね廻る様をつぶさに観察した ” という。
で、本作では、右端の木に貼られた聖母マリアの絵には見向きもせず、踊り喰らい情欲に走る農民の姿を道徳的な戒めとして描いている。
それは、「婚礼の宴会」と通底するモチーフともされ、研究者の間には、 ほぼ同時期に同サイズで制作されていることから、これらふたつの作品は一対であったとする説もあるようだ。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1183
※ 「美術史美術館(24) ‐ ブリューゲル(5)」へは、<コチラ>からも入れます。
朝晩だけだけど、だいぶ涼しくなってホットしています。
ペトロさんもお元気で旅を続けられている様子、安心しながら拝見しています。
そろそろ夏の疲れが出る頃です、食事と睡眠、しっかりとって下さいね。