※ オーストリア/ウィーン美術史美術館編 ‐ 中欧美術館絵画名作選(52)
初期ネーデルランド絵画の巨匠ブリューゲル(1525-1569)とともに、美術史美術館が誇る北方の名画三作品から出発した今回の旅。
その初回は、オランダ絵画黄金期をフェルメール(1632-1675)とともに担い、光と影の魔術師とも称されたレンブラント・ファン・レイン(1606-1669)の「<自画像 ‐ 職人の装い>」だった。
このウィーン美術史美術館編を締め括るのは、やはり、そのレンブラントこそ相応しいと思う。
ところで、母というのは、何時まで経っても忘れられないもの。
むくつけき男(お)の子にしても、母は優しく甘酸っぱく、幾つになっても甘えたいと思う存在でもある。
それは、この巨匠にしても同じだったよう、母を度々描いている。
老人の顔が描けてこそ一人前、との信念を持っていたともされるレンブラント、傑作「<ゼウクシスとしての自画像 - 笑う自画像>」(ケルン/ヴァルラフ=リヒャルツ美術館蔵)をはじめ自画像や宗教画に多くの老いたる容姿を描いている。
話しはそれたが、彼は幼い頃、母の膝で母の語る聖書物語を子守唄として育ったとされ、母を描いた場合の多くに宗教的意味合を持たせたともされている。
そんな篤信の母が彼にして描かせたのが「母の像」(上/1639年)。
本作は、ヨセフとマリアが<キリストの神殿奉献>のためエルサレムの神殿に行ったとき、“ 近づいて来て神を賛美し、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に、幼子のことを語りきかせたアンナという年老いた女預言者 ”(ルカ2章) の姿だとされている。
レンブラント、八年ほども前にも初期の傑作のひとつとされる「母の像」(下/1631年/アムステルダム国立美術館蔵)を描いてい、これらの作品からも母への深い情愛が見て取れるのである。
花の終わる頃から半年、34回に綴った美術史美術館編、厭きずお付き合いを頂き感謝いたします。
ドレスデン、ウィーンと巡った中欧美術館の旅、また何処かの美術館で会えるのを楽しみに・・・。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1201
※ 「美術史美術館(33) ‐ ブリューゲル(14)」へは<コチラ>から入れます。
次は何所の美術館で会えるのか?それも意表を突かれるのかな、楽しみです。