旅中の遠足<ピサ>からフィレンツェに戻った遅い午後のこと。
ホテルの部屋のバルコニーから、西に傾く日を背に影絵のように浮かぶサンタ・マリア・ノヴェッラ教会(写真上)を眺めた。
カタリナ に、「覗いてみようか?」と誘うと、「その後、リッカルディ宮へも行こうよ」となった。
ドミニコ派のこの教会、訪ねるのはこの日で三回目。
最初に訪れた99年は、大聖年を前にしての工事であえなく門前払い。
翌大聖年、教会の巡礼で、グループから離れ教会付属の薬房でコロンを求めた道すがら訪ねた折には、入堂はできたものの堂内いたるところ工事中、「聖三位一体」などの祭壇画はパネル化のためか殆どがシートで覆われていて悔しい思いをさせられた。
三度目の正直と訪れた02年、聖堂正面の扉は固く閉じられている。
またもやと思いきや、右手の中庭に通じる門が開いてい、その糸杉の中庭の中ほどに新たに入り口が設けられていた。
この教会、隣接する付属博物館と同様に有料になっていたが、その代わりに、かつてのあの喧騒は何処へ?と驚くばかりの静けさ。
ちなみに、この教会の修道院に、三部作 「<サン・ロマーノの戦い>」を描いたパオロ・ウッチェッロなどが、「創世記」をテーマに描いた<緑の回廊>あることは書いた。
初期ルネサンス、フィレンツェ派を代表する画家<マサッチョ>の 「聖三位一体」(写真中)は、主祭壇に向かって左手の中ほどにあった。
本作は、カトリックの根本的教義である、“ 父なる神、神の子イエス、そして聖霊の三位は本質において同一とする三位一体 ” を主題とし、初期ルネサンスを代表するに相応しい絵として広く認められている。
絵には、聖母マリア、洗礼者ヨハネ、寄進者のドメニコ・レンツィ夫妻も描かれ、祭壇画下部の層・プレデッラ(写真下)には、石棺に横たわる骸骨の全身像が細密に描かれている。
だまし絵的に三次元の空間処理がされ、遠近法を最初に駆使した作品とされる 「聖三位一体」。
美術書などと違って納まるべきところにあるフレスコ画は、四年越しにようやく対面が叶ったこともあって、実に素晴らしいものだった。
Peter & Catherine’s Travel Tour No.370
※ 「続・ノヴェッラ教会 ‐ フィレンツェ」へは、<コチラ>からも入れます。
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