※ オーストリア/ウィーン美術史美術館編 ‐ 中欧美術館絵画名作選(26)
<ルーヴル美術館>同様、広い展示室に圧倒する大きな作品を並べさせたのは、王の画家にして画家の王と呼ばれたピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640/フランドル/バロック)。
その彼の 「聖フランシスコ・ザビエルの奇蹟」と 「聖イグナティウス・ディ・ロヨラの奇蹟」が今回の作品。
いきなり話はそれるが、ローマのほぼ真ん中、クイリナーレの丘を南に下ったヴェネツィア広場に、観光客には余り知られていない教会がある。
そのジェズ教会、16世紀にローマ法王の承認を得た後、“ 反宗教改革運動 ” を推進したイエズス修道会の威光を示すマザー教会として建てられたという。
ラテン十字型の両側に礼拝堂が並ぶ単廊式のジェズ教会。
中でも主祭壇をも凌ぐ左側の “ 聖イグナティウス・ディ・ロヨラ ” と右側の “ 聖フランシスコ・ザビエル ” のふたつの礼拝堂が際立つ。
話を戻して、アントウェルペンのイエズス会の注文で、二聖人、ロヨラとザビエルが聖人に列せられる前の1617年頃に描かれたとされるふたつの大作(535×395cm )、交互に主祭壇に架けられたのだとか。
まずはその 「聖フランシスコ・ザビエルの奇蹟」(上)から。
主題は、イエズス会修道士のひとりで東アジアを中心に宣教、日本でも馴染み深いフランシスコ・ザビエルがなした様々な奇蹟。
青年僧を従え台座に立ったザビエルが、今まさに奇蹟を起こす瞬間を切り取っている。
上部では、天使が舞い降りながら父なる神の威光によって異教の神殿の像が破壊され異教徒を駆逐している。
また、聖人と対角線上に描かれた左下部分では埋葬されようとする死人が甦り、聖人の足下には目や足の不自由な人々が治癒を求める姿など、聖人の行いに応えるかのように画面いたる所でそれら奇蹟が示され、それを目撃し驚愕する民衆の姿も劇的に描いているとされている。
もう一枚の 「聖イグナティウス・ディ・ロヨラの奇蹟」(下)。
ザビエルや福者ピエール・ファーヴルなど六人の同士とともに、神に生涯を捧げる誓い、世に言う “ モンマルトルの誓い ” をたて1540年にイエズス会を創設したイグナティウス・ディ・ロヨラ。
その行動するイエズス会の初代総会長だった彼は、教え子の中から37人の聖人、聖人に次ぐ<福者>135人を輩出したとされている。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1140
※ 「美術史美術館(7) ‐ 続・デューラー」へは、<コチラ>からも入れます。
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