メディチ家代々の菩提所である<サン・ロレンツォ教会>。
この教会、ローマ教皇レオⅩ世が、ミケランジェロにファサードの設計を委ねたが、大聖堂のクーポラの工事でその名を馳せたブルネッレスキの死によって工事が中断、ファサードは未完(写真上)のままとなっている。
ところで、7月の終わり頃だったろうか、朝日新聞がイタリア発の「ミケランジェロ構想の教会、実現目指す 伊で住民投票へ」という囲み記事を載せた。
記事の要旨は、“ ルネサンス期にミケランジェロが思い描きながら未完に終わった教会の姿が、500年の時を経て現実になるかもしれない ” というものだった。
ミケランジェロは、教会内部の設計や装飾に携わったが、正面部についても1515年、白い大理石で覆われた荘厳な図面(写真中)を描いたらしい。
ところが、大理石や貴石の細工で埋め尽くされた内装に比べ、正面部は今も質素な煉瓦組みのまま建設されずに未完に終わった。
記事は、フィレンツェの市長はこのほど、この教会の正面部の改築を目指して住民投票に諮る方針を示したとあり、住民の承認を得た上で、ミケランジェロの構想から500周年にあたる2015年に工事を完了させる方針と続いていた。
この記事を読んで、ローマのテルミニ駅前の共和国広場に建つ、サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会(写真下)を思い出した。
ミケランジェロが、時のローマ教皇ピオ4世の命で、古代ローマ時代のディオクレティアヌスの浴場跡を利用して設計をしたとされている。
彼は、古代ローマ文明に大きな敬意を払いオリジナルを重視した。
そのため外観はまるで廃墟のようで、正面の十字架と銘板がなければ、とても教会とは思えないような雰囲気。
ただ、内陣は紛れもなくサン・ピエトロ大聖堂>やサン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂など、ローマ4大パジリカに引けをとらぬ大伽藍だ。
話は戻って、サン・ロレンツォ教会、今さら当時の設計どおりに改装しなくともと思う。
何処の国でも、政治屋さんは何かしら蠢いていないと、利権のおこぼれとやらに与れないのだろなあ。
Peter & Catherine’s Travel Tour No.388
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