※ オランダ ‐ アムステルダム/ゴッホ美術館編(4)‐ ベネルクス美術館絵画名作選(25)
遅れて来た画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890/オランダ/後期印象派)、じゃないが、“ ゴッホ美術館編 ”、少し急ぐ。
1888年10月、アルルでともに暮らし始めたポール・ゴーギャン(1848-1903/フランス/後期印象派・象徴主義)と、対象の捉え方、アプローチの違いなどから激しい諍いが始まったとされる。
その頃に描かれたのが、黄色い家でゴーギャンが使っていた「ゴーギャンの椅子」(1888年/91x73cm)。
ゴーギャンとの関係に決定的な亀裂が入る直前に描かれた本作、赤と緑の肘掛け椅子の上には2冊の小説と蝋燭が置いてある。
炎が灯された蝋燭は画家としての人生の光明と儚さを象徴し、壁のランプが夜の場面であることを示唆しているという。
ところでゴッホ、時期を同じくして本作と対画をなす「ゴッホの椅子」(1888年/93x74cm/ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵)も描いている。
黄色い家で使っていた藺草で編まれた木製の椅子、昼間を示す壁を背景に赤いタイルの上にあり、パイプと煙草の小袋が置かれている。
背後には、自然の成長を示唆する発芽した球根が描かれているのが暗示的であると同時に、ふたつの作品の時間的な対比を連想させている。
共同生活は、自ら剃刀で耳を切り落とし娼婦ラシェルのもとへ届け、翌日入院、あっけなくも二月足らずで終わる。
そんな共同生活の中で彼が描いた「ゴッホの椅子」、そこには別の貌も隠されていると言う。
それは、17世紀のオランダ絵画においてパイプの煙は儚さを象徴し、同時に牧師であった父に倣って聖職者を志したこともあるゴッホが、親しんでいた聖書がそれを示唆しているという。
“ 主よ、私の祈りを聞いて下さい、私の生涯は煙となって消え去るのですから” (詩編102)と。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1527
アムステルダムの美術館巡り
有難うございますございます☆
いろいろ学ばせていただきました。
ベルギー編も楽しみです!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
今日もどうぞ
素敵な時をお過ごしくださいませ☺️
真鹿子 拝