ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ティツィアーノ ‐ 駆け足ルーヴル(12)

2015年09月20日 |  ∟フランスの美術館

 ヴェロネーゼ(1528-1588)など盛期ルネッサンス・ヴェネツィア派の画家に大きな影響を与えたとされるティツィアーノ・ヴェチェッリオ(1488-1576)。

 色彩の錬金術師とも呼ばれるその彼の 「田園の奏楽」(上)、身なりの良い赤い衣服を纏う貴族の青年とおそらくはその従者であろう青年が、美を象徴する裸体のニンフらと音楽による会話をする様子を<官能的>に表現している。

 ちなみにニンフとは、ギリシア神話で女の姿をして、おもに川や泉の辺に出てくる精霊のこと。

 初期ルネッサンス・ヴェネツィア派の始祖であるヤコポ・ベッリーニ(1400-1471)の庶子のジョルジョーネ(1477-1510/盛期ルネッサンス・ヴェネツィア派)が制作途中で死去。
 弟弟子の若いティツィアーノが手を加え完成させたとされ、その辺から少しややこしい感じがしないでもない。

 美術書には、“ 古代ローマを代表する詩人ウェルギリウスの叙事詩 「牧歌」の寓意として描かれたとされ、その象徴である笛と注がれる水を、理想美をもって描かれたふたりの裸婦がそれぞれ手にしているのが特徴 ” とある。

 これら、“ 非現実の女性の姿は、彼女らに霊感を呼び起こされたふたりの男性の想像の中にのみ存在している ” とされてい、ややこしい。

 それは、“ 16世紀初頭のヴェネツィアで広まっていた、眼に見えるものと見えないものとを同時に表現することへの嗜好に適うもの ” でもあったらしい。

 本作は、印象派を代表する<マネ>(1832-1883 /フランス)の問題作 「草上の昼食」(オルセー美術館蔵/下)に、構図的インスピレーションを与え、良くも悪くもマネの名を一躍有名にしたことでも知られている。
 言わば本歌取り、むしろ、後者のそれがより知られる作品となったことも、また話をややこしくさせる。

 何れにしても、本ブログ再々登場のふたつの作品、ややこしい? とする謂われを書こうとして、少し長くしてしまった。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1033

 ※ 「駆け足ルーヴル(11) ‐ ヴェロネーゼ」へは、<コチラ>からも入れます。


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