一月、温暖化が嘘のように、後々 “ 29豪雪 ” なんて語られるのかも知れないほど降ったようです。
とは言え、水仙や沈丁花が咲き、椿や梅の蕾は綻び、花の界には春の装いが届きはじめているようです。
吾妹子(わぎもこ)が植ゑし梅の樹(き)見るごとに こころ咽(む)せつつ涙し流る (万葉集三巻453)
梅と言えば菅原道真公でしょうが、<酒仙>大伴旅人さんも悲しい歌を残しています。
天離(あまさか)る鄙(ひな)大宰府へと赴いたものの、大宰師に就いて暫く、最愛の妻大伴郎女(いらつめ)さんを亡くしてしまいます。
漸く三年、任期を終えて<悲しみ>のうちに都に戻ったのですが、赴く前に妻が植えた庭の梅の木、蕾が膨らんでいます。
その花を見る度に、この花を見たらさぞ喜んだであろうに・・・と、愛しい妻が思い出されて胸が一杯になってしまうのです。
都に戻った翌年、この歌が最後の歌になったそうです、突然の病を得て旅人さんもまたこの世を去ってしまいます。
三年余でしょうか、愛する妻のもとへ旅立ってしまったのですが、これも<残されし者>にとっては、よかったのかも知れません。
ところで旅人さん、“ 故人を思(しの)ひ恋ふる歌三首 ” を詠んでいますが、その一首で、
愛(うつく)しき人のまきてし敷妙(しきたえ)の 吾が手枕(たまくら)をまく人あらめや (万葉集三巻438)
愛しい人が手枕とした私の腕(かいな)を枕とする人はもういない、と嘆いています。
馥郁とした梅の香が漂う如月・二月がきましたが、何だか侘し・・・く、想われる酔狂なのであります。
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1252
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます