ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ルドン(2) ‐ オルセー美術館(14)

2012年07月25日 |  ∟フランスの美術館

 象徴派の詩人たちと交遊、神秘的な題材、花や女性などを幻想的な色彩で描いたオディロン・ルドン(1840-1916 / フランス・象徴主義)。
 版画、木炭画、油彩の他に多くのパステル画を描き、その秀作の多くをオルセー美術館が収蔵している。

 展示室が分からず、少しウロウロとさせられた。
 パステル画は、固着力が極端に悪く、触ると絵具が剥がれるなど保存が極めて難しいという。
 ルドンやドガのそれは、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの「ダ・ヴィンチ・カルトン」と同じように、太陽光を遮った薄暗い展示室で、ガラス入りの額の中に手厚く保護されていた。

 そのルドンのパステル、制作年順に二回に分けて書く。

 11880 11895 218951900 

「刺繍するルドン夫人の肖像」(1880/パステル) 彼とカミーユの結婚式が行なわれた年に描かれた
「血の花」(1895年/パステル) 腰を洗う水面と光輪を帯びた星が輝く夜の背景は「仏陀」にも見て取れる
「赤い衣の女」(1895-1900/パステル) 彼が死ぬまでアトリエの壁にかけられたままだったとされる

 コンテ・クレヨンの赤褐色・サンギーヌは、柔らかく顔と髪に影をつけ、パステルによる補彩は衣服を際立たせている「<左向きのルドン夫人の肖像>」。
 稀にみる質を備え、その慎みと優美さは対象のルドン夫人の様々な美質を反映しているとされている。

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「ジャンヌダルク」(1900/パステル) 女性の横顔の主題を巡って彼が描いた様々な絵の中でも、最も美しいとされる絵のひとつ
「ステンドグラスの窓」(1904/木炭とパステル) ぼんやりとしたステンドグラスの両側に柱、右下に天使がひとり頭蓋骨のようなものをもっている
「左向きのルドン夫人の肖像」(1905/サンギーヌとパステル) まったく無駄のない一本の線が横顔と胸部の輪郭線を画している

 1878年、ルーヴル美術館のアポロンの間にドラクロワが描いた天井画の主題について彼は、“ その大いなる表現、主特徴は如何なるものであろうか・・・。それこそは夜と暗闇の悲しみに対する真昼の喜びであり、苦悶の後にやってくる心地よい感情の喜びのようなもの ” と分析している。

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「仏陀」(1906-07/パステル) 彼にとって仏陀は精神性によって輝き、晴朗な自然に包み込まれ、そこでは大地もそしてまた空もこの夜のものならぬ花々となって広がってゆく
「アポロンの馬車」(1909-10/油彩とパステル) 1905年頃より好んで「アポロン」の主題を描いた
「冠」(1910/木炭とパステル) 第一次大戦前夜ベルリンでの国際展に出品、トルコ青のきらきらした背景に枝の冠の緑が際立つ

 オディロン・ルドンのパステル画、実に素晴らしいものだった。
 Peter & Catherine’s Travel Tour No.492

 ※ 絵と制作年次はオルセー美術館の公式HP、解説はロズリーヌ・バクー著「オディロン・ルドン」(美術出版社刊・本江邦夫訳)を参考にしました。

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