ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

「オレのカレー」

2011-04-01 11:48:34 | 第1紀 生きる
どうも、いかん。
この閉塞感を打ち破らにゃ、いかん。
初心に戻るんや。。。

「初心」ってなんや。
そう、初(うぶ)なハートや。
そやったら、オレの場合はカレーや!!

なんし、子供の頃からカレーが大好きな平均的日本人やった。
なんで好きやったかと考えたら、やはり「戦後」の終わりきれない時代の田舎の食事情の中で、このカレーだけは「お肉」が入っていたからか。
その頃、冷蔵庫があったかどうだかは記憶にないが、母が「豚小間切れ」ってやつを買ってくると、その日はカレーやった。
北東北は、豚肉なのである。
けっして譲れない豚肉。
子供心に「豚小間切れ」ってのは食材の最高峰に思えた。
「豚バラブロック」というごつい奴にその座を奪われるまで、スーパーの肉売場に「豚小間切れ」の文字が印刷しているパックを見ると、いい大人になってからも胸がキュンとした。
ひょっとして、オレの初恋の相手は「豚小間切れ」か「ハウスバーモントカレー」だったのかもしれない。

だから、思いっきり話を戻すと、オレの初心はカレーや。
だって、就職難の学生時代、馴れぬスーツを着て確か東京駅を歩いていたとき、そのカレーを作っている会社の説明会場があり、「ああ、オレの求めているものがここにある」と確信して飛び込み、そのまま東大阪本社の関西弁が社内標準語の会社に入社したのも「カレー心」があったから。
オレの人生の1/3は、だからカレー会社勤務のカレーのおかげで成り立ったのだ。

いや待て、ホルモンもいい。
石鳥谷の三平に心を奪われ、とうとうホルモン屋を開いたのだけど、まあ、楽しい。
ホルモンも奥深く、そしてホルモン好きの客に悪い人はいないから、働いていてなんの苦痛も無い。

だが、日本経済はバブル崩壊以後、いまだに立ち直らず、そしてリーマンショック、天災、原発と大きな難題を抱え、その影響が、ささやかながらも、小さなさ小さなオレの店にも足音を忍ばせてやってくる。

初心だ、うぶごころだ。
今こそ、現状を打開すべく、カレーに戻ろう。
大好きなカレーにもう一度打ち込もう。
よしっ、カレー屋さんになるんだ!!!

そうとなれば、まずはメニューだ。
初心に帰るオレは、勝手気ままにオレの好きなカレーを出す。

一つは子供心のカレー。
嗚呼、子供のとき楽しみにしていたカレー。
ジャガイモごろごろ、我慢して食べなきゃいかんニンジン(もっと小さく切ってくれればいいのに、ねぇ、かあさん)、なぜかカレーに入ると甘いタマネギ、そして、あっあった、小間切れの豚肉さん、こんにちは、あなたがカレーの主役なのよ、福神漬けもらっきょも助さん格さんみたいな脇役で、水戸の黄門様、これが見えないか~~~の豚小間切れさん。
そんな、かあさんの作った田舎カレー。
少し大人版の「田舎カレー」は既に大通店で好評であるから、レシピはこのまま使おう。
豚肉は小間切れではなく、さらに王様の豚バラ肉なのだから、もう毎日食べても飽きないわけだ。

そして、もう一つは大好きな新宿中村屋のチキンカレー。
ラス・ビハリ・ボースが伝えたという純印度式カレー。



実は今の店をやる前に、この中村屋に近い、ほぼ満足できるチキンカレーを作った。
レシピはある。
どこが純印度式カレーなのか、ガンジス川のほとりで本場のカレーを食べたい気もするが、まあ中村屋のレトルトカレーをコントロール品にして、遜色ないものを出そう。

最後に話題作りのカレーだ。
今の世で話題をとるのは、大盛り(テラ盛りとか)、食べ放題、とてつもなく辛いとか硬いとかそういう類の極端な奴、同様に思いっきり安いとか目の飛び出るような高いのとか提供数量限定とか、なんだか体に良さそうなものとか・・・・
実は、十数年のカレー会社勤めの最後の方で新製品開発を担ったのだが、そのときの研究所の担当者(なぜか彼は今、故郷鳥取で砂丘の研究をしている)がインドの山奥に自生する超辛い、そう普通の奴の800倍の辛さの唐辛子の種を手に入れ、少し分けてくれたのだ。
何年か前に思い出し、花巻の自宅の庭に植えたのだが、インドから数千㎞離れたこの地で、彼は夢から目覚め芽を吹き出したのだ。
ナス科トウガラシ属の秘宝、辛さ800倍の「クヤピッハ草」が。
これを使おう。
とびっきり辛いキーマカレーを作ろう。

そして店の場所は大通店の地下2階と決めた。
  (ここで、ふむと首を傾げた方は古い読者だ)
このエリアは岩手公園の近くにあり、風俗営業ができないのに東京の業者が密やかに営んでいたというピンクの跡地で、ビルのオーナーも不動産屋もここなら破格の値段でいいよと貸してくれた。

外装、内装にかける金はないが、幸いなことにホルモンが大好きという変わったインド人のネエチャンがいて、学校に合間にアルバイトできるというから雰囲気だけは醸しだせそうだ。

店の名は、そういうわけだから「オレのカレー」。
なに? パクリかって?
まぁいいじゃないか、一番気持ちが伝わりそうだから許してくれ。

開店は今日、「4月1日」。
開店記念の目玉はこの800倍の超激辛キーマカレーのテラ盛りを3分8秒以内で食べた方には、インド旅行の往復券を差し上げようというものだ。
もちろん、いろいろなものがプカプカ浮かぶというガンジス川の特設川端/プライベートビーチでの10日間の沐浴付きだ。

ただ、カレーの好きな人にだけ来て欲しいから看板の無い会員制の店にしたい。
地下2階の店に行くには1階の大通店に来て、ワタシに合言葉を告げてほしい。
小声で「ガンダ~ラ」というと店の鍵をお渡しすることにしよう。

じゃあ、

PS:合言葉は「ガンダ~ラ」。「カンタビレ」とか「ナンダ~ラ」とかいい間違えたら罰金ですよ。それとこの文章は読み終わったら三秒以内に破棄すること。決して読み返さないように。  

PS2:え~と、こういうご時世だから不謹慎かもしれないが、今日は許してもらえる日だったよね!!