ホルモン屋徒然草~珍しホルブロだ

新米ホルモン屋の親爺の日々。ホルモンのこと、店の出来事、周辺の自然や話題。

「キッチンたくま」は、やはり「みぞれ」なのだ

2008-08-13 08:12:41 | 第1紀 食べる・飲む
暇なのだ、すこしばかり。
サラリーマン、OL諸君はきっと夏休みで「おバカンス」なのだな。
従って、お店は平日なのにいつもはみない一般のお客様が多く、時間の定まった会社員みたいに固まってGO!!ではなく、さざ波のようにやって来られるわけです。

ではと、ワタシは店を従業員に任せ、早めの昼休み。

今後の仕事のために!! 何か食べようと、先ずは「うし亭」の前でうろうろするが、いま一つ、決定力がない。
半ネギとカツ丼とか、あの切り込みが乗っている丼とか、この店ならではのこなれたメニューが頭に浮かぶのだが、次の機会に。

ではと、「陳麻婆豆腐」の「たいりくや」の前へ移動するが、やはり看板をじっくり見ただけで暖簾をくぐらない。
ここの坦々麺を喰いたいと思うのだが、そうするとやはり他にはお目にかかれない「青島ビール」を飲まなければいけない。
しかし、暑い。
暑いからビールがいいのではなく、厚すぎてビールが汗となって去りゆくのがあまりにも惜しい。
惜しいから、今日は止めた。

てなことで、何の決め手も無い大通を歩く。
たわいもない、流行りだけのファーストフードが目立つが、だからなんなのだと心の中で当たり散らして横目でにらむ。
食べることの大事さを、君たちは何と考えるのかなどと唱えてはみるのだが、そういうワタシも時々お世話になったりするのだから、まあ便利な食べ物というジャンルなのだろうか。

大通も出口付近に来て、そうだと心で手を打つ。

場所はYESビル。
地下に飲食店街がある。
一階も地下も、あまり長く続かない店ばっかりの、それでもだらだらと大きなビルだ。

ここに気になる店、「キッチンたくま」がある。

古い店(のはず)だ。
遠い昔、来たことがあるのかもしれない。
そう思える、年季の入った木のテーブルだった。

このお盆の中の立地の悪い地下の店で、先客あり。
そして、何組か後からも入る。
老舗の力業である。

入り口の立て看板でランチメニューを見渡す。
いったい、ワタシは何を食べたらいいのだろう。
ここかなと、だいたいは心に決め、店に入りメニューを見直す。
表の看板と違った、豊富な組合せが乗っている。

じゃあと頼んだのは、たぶん店の看板であろう、しょうが焼きとチキンカツに「みぞれ」をプラスして。
人気メニューは他にもハンバーグとかカレーがあったはずだが、今日はカツの勉強をしたいとこれに。
もちろん、後で入った方のカレーやハンバーグを横目で見て、うんぬとうなるのだが。

間もなくオーダーが登場。
古くからある落ち着いた店の落ち着いたありようの皿であった。
そして、そのバランスの心地好さが、やはり老舗なのだと思う。
皿、いろどり、胃に落ちるボリュームなどのバランスがちょうどいいあんばいなのである。
きれいに刻まれたサラダも、ほんの少しだが洋食には珍しく突き合わせた浅漬けも、濃い味噌の味噌汁も、主役の邪魔をすることなく、それぞれの役目を果たしながら調和している。

今日は、この事が一番記憶に残った。

さて、その主役である。
しょうが焼き。
割と小さく期4位分けられた、食べやすい大きさの肉片。
あっさりさっぱりした味付け。
ソースも生姜もやさしく控えめである。

柔らかいチキンカツ。
噛み応えのある地鶏なんかではなく、すくし分厚く切った、さっぱり、癖のないブロイラーであろう。
揚げ油も口に触らない。
軽い衣。

そして、大振りの皿にはいった大根おろし。
「みぞれ」だ。
これが、上品で大人しめのメインディッシュをさらに優しく包む。

そうか、大根おろしってこんなに揚げ物や肉にあうんだなあと感心。

ホルモンにはあわないかなと、これまた冒険心。

割とヘビーな組み合わせのはずが、さっぱりといただけた。

これで1050円。
なかなか嬉しいコストバリューだ。

落ち着いた店、落ち着いた食事。
こういう店を持つ客は、いいんだろうな。

常連になりそうと思いながら、しかしワタシがまた来るのは一年ごとか、次のオリンピックの年とか。
飲食店なんていうのはそんなものだ。
「よく行くよ」なんて店も、一年に数回いけばいい方だろう。
「いや~、よく通ったよ」なんて過去形で語られると、最後にいったのは四年前なんて事になる。
それが飲食店の「常連さん」の通う姿の「普通」のありさまであろうから、何ヵ月ぶりにきていただいても、やはり「いつもどうも」と迎えるのだ。

でも、大通りの出口のここいら辺で、急におなかが減ったら、迷わず「キッチンたくま」にワタシは来ることになるだろう。
そんな、心に優しく記憶されるお店でした。

PS:昨夜はカウンターまで満員御礼でありがとうございました。本日も、お盆中も毎日やっています。それでは・・。