あれは,あれで良いのかなPART2

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工事することに意義がある?前橋駅北口広場整備事業はなんか変

2010年12月20日 00時17分08秒 | 地方自治
前橋駅北口広場の整備事業が本格的に始まりました。来年度の完成見込みとのことです。

意外と利用者動線とまちづくり視点がごちゃごちゃ!

今回の駅前広場整備事業,前橋市の重点事業の一つとして位置付けられています。詳細は,「前橋駅前広場基本構想」のとおりですが,今の前橋駅の問題点である①歩行者がバス停や反対車線に行く動線がなく極めて危険,②駅前のけやき通り景観が遮断される,③一般車両とバス等が混在して安全性が低いなどという点を踏まえて,新たな駅前広場の整備を図ろうとするものです。
そして,整備方針は,歩行者の利便性の向上と安全確保,県都前橋の玄関口としてふさわしいものにする,さらには災害時の避難場所としての機能も持たせるということなどが挙げられています。

でもって,整備計画図面は,こちらのとおりなのですが(しかし,前橋市のホームページで,前橋駅北口広場駅前整備事業を検索してもなかなか見つかりません。他の事業は比較的分かりやすく探せるのに,なぜ重点事業であるこの駅前整備事業は,ホームページ上ですぐに見つからないようになっているのでしょうか,不思議なものです。),ざっくりいうと,冒頭にイラストを示したとおり,①一般車両と公共車両の分離,②バス停を島状態からロータリー配置にした,③歩道を直線化し,けやき通りにそのまま直結できるようにしたとともに,バスにも安全に乗れるようにしたという感じになっています。
さらに,もっというと,今回の計画は,単に駅前整備という位置づけだけではなく,都市再生整備計画(詳細はこちら)の一部として位置付けられています。つまり,前橋市の中心市街地全体のまちづくりの一環としての整備であるということになっています。
さらにさらに,衰退しつつある中心商店街の活性化を図るための「前橋市中心市街地活性化計画」においても,前橋駅北口から千代田町あたりを大きなショッピングモールとしてとらえ,そのための玄関口として大きく位置付けられています。

なるほど,これらの計画一つ一つは,確かに現在衰退しつつある県都前橋の再興をはかるには非常にち密に分析され,極めて心強い計画内容であると思われます。そのためにも,前橋駅前の再開発は絶対的に必要な事業だというようにも思えます。

しかし,これらの計画,よーく考えてみると,本当に駅利用者の動向,消費者行動や観光客動線,通勤通学者の動向などを押さえて検討しているのか,かなり疑問があります。ざっくりいうと,次の点にこれら一連の計画の問題点が残されています。

1 駅の南北分離問題の未解決
2 まち全体のことではなく,結局既存商店街のみを救済しようというコンセプト
3 歩行者動線を重視したといいつつ,利便性軽視
4 一般車両のオーバーキャパ
5 県都前橋の玄関口といいつつ,個性がない駅前
6 駅前商業施設の誘致困難


つまり,個人的には,「この一連の計画をもってしても,このままではかえって前橋市は衰退の一途をたどるのではないか」という強い懸念を覚えずにはいられないのです。以下,簡単に説明します。

1 駅の南北分離問題の未解決
  前橋駅の問題点の一つとして,「駅の南北の通行が面倒」という点が挙げられます。実際,今でも駅構内を自転車で走るという光景が普通に見受けられます。
  自動車での動線は若干整備されているものの,案内看板が弱いため,一見さん(観光客)には,どうやって駅の反対側に行ったらよいのかさっぱりわかりません。
  実は,2で説明しますが,前橋市が大きく発展するためには,「駅北口のみ救済」という手法ではなく「南北一体としての動線」を考える必要があるのですが,現状の駅整備では,この南北分離問題は引き続き残ったままとなってしまいます。
  駅の整備はJRのお仕事であり,市の範疇外ではありますが,ここはJRと協議を進めるなどして,少しでも南北問題を解消できる手だてをもっと積極的に講じるべきでしょう。

2 まち全体のことではなく,結局既存商店街のみを救済しようというコンセプト
  中心市街地の復興は,私自身も悲願であると感じており,これがうまくいくことこそ,前橋市の今後のカギを握ると言っても過言ではありません。実際,中心商店街等では,アイデアを駆使した相当積極的な事業展開を行なっており,これを市がより一層バックアップしていけば,商店街が息を吹き返すことも当然ありうると思います。
  ところが,中心市街地活性化計画は,町を大きなショッピングモールとしてとらえたところは斬新的だったものの,前橋駅北口から千代田町までのエリアとしているにすぎず,南口は基本的にないがしろにされています。
  そうなんです,南口には,「けやきウォーク前橋」というショッピングセンターがありまして,中心商店街等は,ここのショッピングセンターに客を取られてしまった感がすることから,今回の計画では意図的に南口を外し,いわば「ライバル視」した状態であると言えます。それを踏まえて,おそらく駅の南北分離問題も,あえて手つかずにしているのかもしれません。
  しかし,消費者行動パターンを考えてみると,前橋駅を基準にすると,どう考えても南口の「けやきウォーク」の方に行ってしまいます。理由は簡単で,「そっちの方が駅から近い」ということと「いろんなお店がそろっている」からです。
  これに対決するためには,駅北口前からショップを充実させるしかありませんが,現状これはほぼ不可能です。
  だとすると,南北分離されていることによって,実は,「顧客が北口に流れていかない」っていう重大な欠点をもった計画であるということになるのですつまり,「北口にある既存商店街を何とか救済しよう」という保護主義的な計画内容が,かえって客足を奪ってしまうというあだになってしまうのです。いわば,「ジンバブエ状態」になっちゃってしまっているのです。
  けやきウォークは決して敵ではありません。むしろ,市外からも顧客を呼ぶ「ポイントゲッター」なわけですから,これを逆に利用しない手はないのです。駅の整備は,こうした動線を円滑に誘導するべき機能を持たせなければお話になりません。

3 歩行者動線を重視したといいつつ,利便性軽視
  簡単に言いますと,「雨が降ったら,ずぶぬれ」になります。屋根がなさすぎるからです。特に,自動車での送迎の場合,雨降りの時は本気で嫌になる動線です。
  おそらく,このままでは,「公共エリアゾーンに平気に一般車両が多数入ってくる」という状態になるでしょう。結果,かえって危険な状態になります。

4 一般車両のオーバーキャパ
  駅前の現状を見ますと,相当数の一般車両が送迎したり,帰宅客を待っています。
  ところが,今回の計画では,公共車両と一般車両を分離した結果,一般車両ゾーンが大幅に小さくなってしまっています。現状の送迎車台数を踏まえると,確実にこのロータリー内では足らず,路頭に迷う自動車が相当数でてくるでしょう。すると,歩行者ゾーンに路上駐車する輩や,3で述べたように,公共ゾーンに平気で入ってくる一般車両がかなり出てくることでしょう。
  結果,かなり危険な状態になるかもしれません。特に雨の日の混乱は想像するだけでゾッとします。

5 県都前橋の玄関口といいつつ,個性がない駅前
  図面を見る限り,前橋市としての個性が生かされた部分が見えてきません。言葉は悪いですが,「よその町の駅前広場の図面の使いまわし」と言われても仕方ないでしょう。

6 駅前商業施設の誘致困難
  今の前橋駅の問題点は,「お店がない」ことです。イトーヨーカ堂はさておき,改修前には,吉野家と床屋とマツキヨがありました。しかし,完成図面を見る限り,こうした商店等が駅前に入るスペースがありません。つまり,「何もない駅」を作るための広場整備になってしまっているのです。  ちなみに,駅前広場が整備されることで駅前に商店が誘致されるという希望的観測を述べている方もいらっしゃいますが,そもそも歩いて通勤通学する人たちの絶対数が少ない中では,いくら駅前広場を整備したって,お店なんか来るはずがありません。企業は,「駅前が綺麗か否か」という基準で出店を決めるわけではなく,「得られるであろう顧客人数」で決めるからです。

以上,ざっくり問題点を指摘しました。
端的に言うと,「とにかく整備したいんや!」みたいなコンセプトしか見えてこない事業なのです。

まあ,そうはいっても既に整備事業は始まっていますから,いまさら何を言っても無駄だとは思います。しかし,駅前広場整備完了後にこうした問題を把握していれば,混乱は最小限に押さえられますし,また,商店街活性化に関しては,まだまだいろいろ考えることができる段階だと思いますので,「前橋を本当に元気にしたい」という思いで,ぜひともいろんな視点からこれからも検討を続けてほしいと思います。
私がここでいろいろと苦言を呈しているのは,決して前橋市が嫌いだからではなく,逆に「元気な県都前橋になってほしい」という強い希望があるからです。そして,まだまだ前橋市にはそうした底力があるはずなのです。
物を作るだけの行政から,「いろいろな知恵を出し合う行政」という視点も取り入れてほしいものです。
以上,駅前広場整備事業から感じた問題点でした。

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