新潟中越沖地震を踏まえ,おそらく各党候補者とも防災,災害対策について自説を展開すると思います。
そこで,現時点における各党マニフェストを読み比べてみたいと思います。
なお,基本的には全文引用とした上で,私見ともいえる短評を加えましたが,短評は公正を保つために良い点,悪い点を必ず掲げるようにしました。
おって,各党のその他の公約など正確に把握したい場合は,各党のホームページから確認をしてください。このページからも直接リンクしています。
財源あいまい、3年で不安=「年金決戦」白熱-自・民 (時事通信) - goo ニュース
自由民主党
防災関係公約(以下引用)
033. 地震・防災対策の推進
足元から始める国民運動の継続、大規模災害への備え、建築物の耐震化の促進、迅速・的確な防災情報の提供、防災関連施設の整備、災害応急体制の整備、被災地の復旧・復興支援及び国際防災協力の推進等を重点に、防災関連施策を効果的かつ戦略的に実施する。
(引用終わり)
【短評】
これまでの災害対策をより進化させること,また防災関連施設整備をするなどで,防災,減災対策を講じようとしている点は,政権与党として期待できるところです。
ただ,文面は抽象的すぎるため,具体的にどのような方策を講じたいのかが全く見えてきません。さしあたり,中越沖地震では,この公約がどう当てはまるのか,説明を聞きたいものです。
民主党
防災関係公約(以下引用)
3. 迅速な災害対策.
災害発生後の救急活動や情報伝達、交通規制や応急復旧などを円滑にすすめるため、国・地方公共団体・警察・消防・自衛隊・民間企業・ボランティア・NPO等の役割分担、協力体制の整備をすすめ、行政の危機管理体制を拡充するとともに、民間の諸活動を強力に支援します。あわせて大規模災害時の首都機能のバックアップ体制の強化も検討します。また大規模災害に迅速に対応するため、内閣総理大臣の権限を強化するとともに、「危機管理庁(日本版FEMA)」を創設します。
災害による心身のダメージを被災者が一刻も早く克服するには生活基盤の回復が不可欠です。「被災者生活再建支援法」について、住宅本体への支援金支給、支給限度額の引き上げ、支給要件の緩和などの改正を行います。
全国各地で大規模地震の危険性が指摘されています。特に、災害時には避難場所となる公立小中学校の耐震化を促進します。また、都市部には、密集市街地が多く、倒壊や火災による被害は甚大なものになると予測されています。このような被害を減らすため、既存不適格住宅の耐震改修をすすめます。
(引用終わり)
【短評】
主に災害発生後の迅速な対応と住民支援の具体策を示している点,また,特に危機管理庁設置を謳っている点は,被災者に強い安心感を与えます。
ただ,防災,減災対策についてはあまり論じていないこと,また具体的財源の裏付けがあいまいなことが気になります。財源なき公約は「絵に描いた餅」になりかねません。
公明党
防災関係公約(以下引用)
3.保証します! あなたの安全、暮らしの安心!
(1)地震減災・建物倒壊ゼロ作戦
■大規模地震、大規模風水害・土砂災害、津波・高潮、豪雪対策等を戦略的・重点的に推進し、防災・減災対策を強化します。
地球温暖化に伴う台風の大型化、集中豪雨、高潮等に備えるため、ゼロメートル地帯における海岸保全施設の老朽化・耐震化対策、中小河川の護岸・改修、土砂崩れ対策を推進します。
<10年間に住宅700万戸、学校・病院など5万棟を耐震化>
■耐震診断と耐震改修への補助や耐震化を促進する減税によって、今後10年間に住宅700万戸、学校や病院などの特定建築物5万棟とその他の建築物50万棟についても、建て替え・リフォームなどで耐震化を進めます。さらにその5年後の2020年までにすべての住宅・建築物の耐震化をめざします。
<密集市街地における救急体制の確立>
全国の密集市街地について、救急車・消防車が進入できる道路を確保するための暫定進入路確保事業を実施し10年以内に完了します。
■狭い道路へ救急車や消防車が入れるよう緊急自動車の規格を小型化します。
■広域緊急援助隊(警察)の強化、特殊な救援・救助車両等や資機材を装備した東京都のハイパーレスキュー隊同等の救助部隊(消防庁)の政令市への配備、いつでも、どこでも、災害発生時に人命救助・避難誘導等に万全な態勢を確立します。
人命救助・非難誘導体制の強化>
■救急医療や災害発生時等に重要な役割を果たすドクターヘリについて、「救急医療ヘリコプター特別措置法案」に基づき、5年以内に全都道府県(50機)への配備をめざします。
日没後の救急対応が可能となるよう、山間部など医療過疎地を中心に夜間照明付きのヘリポート(災害広場兼用)の整備を推進します。
フライトドクターなどドクターヘリ関係医療スタッフの育成支援を実施します。
ドクターヘリ事業への都道府県負担を軽減するため、医療費の削減効果等を踏まえ、健康保険等の適用が可能となるよう早期に措置します。
(中略)
(4)国民の安全・安心の確保に向けて国際テロや大災害に立ち向かう態勢を確立
大規模地震や原子力事故など緊急事態の発生に対してはより迅速かつ適切に対処しうるように、災害派遣能力の向上、即応態勢の強化を図ります。
※進捗状況:陸上自衛隊では、災害派遣即応部隊として部隊を編成し、24 時間即応体制で主要駐屯地に待機。海上自衛隊及び航空自衛隊では、2 時間以内に派遣できる態勢でそれぞれ待機。
(引用終わり)
【短評】
公明党のマニフェストは,唯一前回の衆院選のものの改訂版というスタンスを取り,かつ実績も掲載しているため,一貫性があり,かつ有権者も検証が容易となっています。また,具体的数値を示した政策であり,非常にイメージが持ちやすくなっています。
ただ,進捗状況については,今回の地震を見る限り少々眉唾であること,また,民主党以上に相当な財源が必要となる施策であることから,その裏付けの説明が必要となるでしょう。
日本共産党
防災関係公約(以下引用)
防災、安心安全のまちづくりをすすめます
能登半島地震の経験から、被災者の生活再建、地場産業をはじめとした地域社会の再建・復興に対する公的支援のあり方が改めて問われています。
同時に、どこで起きてもおかしくない地震災害や、台風・集中豪雨等の頻発による土砂崩れ・洪水災害の多発・甚大化など、災害に国民の生活が脅かされています。
政府・中央防災会議の専門調査会による極めて不十分な被害想定(04年12月)でさえ、「首都直下地震」が発生した場合、建物の約85万棟が全壊または焼失し、死者は約1万3千人に達するとしています。災害による被害を最小限に食い止め、生活や営業の再建を一刻も早く支援する制度を確立していくことが求められています。日本共産党は、能登半島地震をはじめ中越地震(2004年)や福岡県西方沖地震(2005年)の被災者、洪水被災者など、一刻も早い被災者の生活再建を全力で支援します。また、学校や住宅などの耐震診断・補強、事前の防災対策など、実効ある災害対策の強化をすすめます。
被災者への支援を強化します
被災者の生活再建支援を目的とした現行の被災者生活再建支援法は、阪神・淡路大震災被災者に対する公的支援実現を求める世論と運動のなかで成立しました。その後、住居対策として全壊家屋の解体・撤去や家賃補助などが追加されてきました。ところが、支援の対象となる被災者や経費の範囲が極めて狭く制限され、支給限度額が低く抑えられているため、限られた被災者しか支援されないばかりか、再建にはほど遠いというのが実態です。
日本共産党は、国の責任で被災者の最低限の生活基盤回復をおこない、すべての被災者の自立(再建)を支援することを目的とした被災者生活再建支援法の改正案(「くらし復興支援立法案」)を提案しています。(1)当面の生活の維持への支援とともに、住まいの再建を支援対象とし、支給額を引き上げる、(2)地域経済とコミュニティの担い手である中小商工業者の事業の再建や商店街の復興も支援対象とする、(3)三宅島噴火災害のような長期の避難生活という事態も支援対象とする、(4)被災者の自立にとって大きな障害となっている既存ローンの負担を軽減する、(5)従来の支援策を見直すきっかけとなり、現に支援が求められている阪神・淡路大震災被災者をはじめ、この間に発生した災害被災者に対しても支援措置を講じる──などを柱にした被災者支援の改善をめざします。
08年予定されている現行の被災者生活再建支援法の見直しに向けて、年収要件の見直しや被災住宅の改修・建て替えなど実効ある支援制度とするため全力をつくします。
一方、被災住宅の応急修理や障害物の除去など、被災したなかで救助を必要とするすべての被災者を対象に一刻も早い救助を実施するなど、災害救助法の運用については、被災の状況に見合った全面的な活用を追求します。
災害に強いまちづくり、国土づくりをすすめます
地震による被害を最小限にくい止めるうえで、学校などの公共施設や緊急輸送路沿いの住宅などだけでなく、病院や大規模集客施設をはじめ宅地を含めたすべての住宅の耐震診断と耐震補強を計画的にすすめることが不可欠です。そのために、設置者・開発者のとりくみを促すとともに国による支援措置を強めます。
大都市では「再開発」の名による超高層ビルの建設ラッシュですが、土木学会と日本建築学会は巨大地震に伴うゆっくりした揺れ(長周期地震動)で超高層ビルが損傷を受ける可能性があると指摘しています。一方、地方では経済の落ち込みや高齢化から、山間地の集落の維持が困難になり、防災の面でも対応が困難になっています。
まちづくりそのものを、開発優先から、防災を重視した住民参加型に転換します。開発や土地利用の変更にあたって、災害に対してどのような影響があるかを事前にチェックする防災アセスメントを導入します。森林の荒廃が大量の流木をひきおこし、被害を増幅しています。
間伐や風倒木撤去の徹底、作業用林道の回復措置など、国土保全をすすめます。
災害危険個所の点検を急ぎ、堤防などの点検・補修、がけ崩れ対策や老朽化したため池の補修などを急ぎます。
消防職員など、国が示した「消防力の基準」を満たしていない自治体が少なくありません。消防職員の増員や消防水利の整備など、消防力の強化をはかります。住民の声を取り入れ、地域防災計画の見直しをはかります。ボランティアを含めた住民の知恵と力を取り入れることにより地域の防災力を引き上げ、高齢者や障害者など支援を必要とする住民を含めた地域の防災対策を強化します。
(引用終わり)
【短評】
被災者の生活支援という点を一番強く打ちだしているといえます。また,住民あげての防災力強化を謳うなど,生活密着型防災計画を検討している点は,地域の実情にマッチしたものとなり,非常に有用的といえます。
ただ,そもそも公約として長すぎます。能書きが多すぎて,結局何がやりたいのかがよく見えません。また,防災アセスについては,環境アセスとの切り分けが難しく,結局余計な負担になるのではないか,懸念されます。
社会民主党
防災関係公約は見あたらない
【短評】
おそらくなにか施策はあるとは思います。
ただ,やはり憲法9条だけでは人は食いつかないでしょう。
国民新党
防災関係公約(以下引用)
【計画的な国土・地域整備の推進】
治山治水や災害防止の徹底を図るとともに、地域の潜在力を十分に引き出すため、必要な社会資本・ライフラインを積極的に整備する。
(引用終わり)
【短評】
主に防災,減災対策に絞っており,災害に強いまちづくりを考えている点は,国家百年の計という観点からも非常に効果的であるといえます。
ただ,即効性に欠ける施策であるため,同時に災害発生時の対策を講じなければ,被災者の生活確保が困難なのではないでしょうか。
新党日本
防災関係公約は見あたらない
【短評】
おそらくなにか施策はあるとは思います。
ただ,脱ダムと防災というのは,一見矛盾する施策であるため,この点についてちゃんと説明しなければ,脱ダム施策には不安感しか残らないでしょう。
以上主要政党の施策及び短評でした。
投票の際,一つの目安になれば幸いです。
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そこで,現時点における各党マニフェストを読み比べてみたいと思います。
なお,基本的には全文引用とした上で,私見ともいえる短評を加えましたが,短評は公正を保つために良い点,悪い点を必ず掲げるようにしました。
おって,各党のその他の公約など正確に把握したい場合は,各党のホームページから確認をしてください。このページからも直接リンクしています。
財源あいまい、3年で不安=「年金決戦」白熱-自・民 (時事通信) - goo ニュース
自由民主党
防災関係公約(以下引用)
033. 地震・防災対策の推進
足元から始める国民運動の継続、大規模災害への備え、建築物の耐震化の促進、迅速・的確な防災情報の提供、防災関連施設の整備、災害応急体制の整備、被災地の復旧・復興支援及び国際防災協力の推進等を重点に、防災関連施策を効果的かつ戦略的に実施する。
(引用終わり)
【短評】
これまでの災害対策をより進化させること,また防災関連施設整備をするなどで,防災,減災対策を講じようとしている点は,政権与党として期待できるところです。
ただ,文面は抽象的すぎるため,具体的にどのような方策を講じたいのかが全く見えてきません。さしあたり,中越沖地震では,この公約がどう当てはまるのか,説明を聞きたいものです。
民主党
防災関係公約(以下引用)
3. 迅速な災害対策.
災害発生後の救急活動や情報伝達、交通規制や応急復旧などを円滑にすすめるため、国・地方公共団体・警察・消防・自衛隊・民間企業・ボランティア・NPO等の役割分担、協力体制の整備をすすめ、行政の危機管理体制を拡充するとともに、民間の諸活動を強力に支援します。あわせて大規模災害時の首都機能のバックアップ体制の強化も検討します。また大規模災害に迅速に対応するため、内閣総理大臣の権限を強化するとともに、「危機管理庁(日本版FEMA)」を創設します。
災害による心身のダメージを被災者が一刻も早く克服するには生活基盤の回復が不可欠です。「被災者生活再建支援法」について、住宅本体への支援金支給、支給限度額の引き上げ、支給要件の緩和などの改正を行います。
全国各地で大規模地震の危険性が指摘されています。特に、災害時には避難場所となる公立小中学校の耐震化を促進します。また、都市部には、密集市街地が多く、倒壊や火災による被害は甚大なものになると予測されています。このような被害を減らすため、既存不適格住宅の耐震改修をすすめます。
(引用終わり)
【短評】
主に災害発生後の迅速な対応と住民支援の具体策を示している点,また,特に危機管理庁設置を謳っている点は,被災者に強い安心感を与えます。
ただ,防災,減災対策についてはあまり論じていないこと,また具体的財源の裏付けがあいまいなことが気になります。財源なき公約は「絵に描いた餅」になりかねません。
公明党
防災関係公約(以下引用)
3.保証します! あなたの安全、暮らしの安心!
(1)地震減災・建物倒壊ゼロ作戦
■大規模地震、大規模風水害・土砂災害、津波・高潮、豪雪対策等を戦略的・重点的に推進し、防災・減災対策を強化します。
地球温暖化に伴う台風の大型化、集中豪雨、高潮等に備えるため、ゼロメートル地帯における海岸保全施設の老朽化・耐震化対策、中小河川の護岸・改修、土砂崩れ対策を推進します。
<10年間に住宅700万戸、学校・病院など5万棟を耐震化>
■耐震診断と耐震改修への補助や耐震化を促進する減税によって、今後10年間に住宅700万戸、学校や病院などの特定建築物5万棟とその他の建築物50万棟についても、建て替え・リフォームなどで耐震化を進めます。さらにその5年後の2020年までにすべての住宅・建築物の耐震化をめざします。
<密集市街地における救急体制の確立>
全国の密集市街地について、救急車・消防車が進入できる道路を確保するための暫定進入路確保事業を実施し10年以内に完了します。
■狭い道路へ救急車や消防車が入れるよう緊急自動車の規格を小型化します。
■広域緊急援助隊(警察)の強化、特殊な救援・救助車両等や資機材を装備した東京都のハイパーレスキュー隊同等の救助部隊(消防庁)の政令市への配備、いつでも、どこでも、災害発生時に人命救助・避難誘導等に万全な態勢を確立します。
人命救助・非難誘導体制の強化>
■救急医療や災害発生時等に重要な役割を果たすドクターヘリについて、「救急医療ヘリコプター特別措置法案」に基づき、5年以内に全都道府県(50機)への配備をめざします。
日没後の救急対応が可能となるよう、山間部など医療過疎地を中心に夜間照明付きのヘリポート(災害広場兼用)の整備を推進します。
フライトドクターなどドクターヘリ関係医療スタッフの育成支援を実施します。
ドクターヘリ事業への都道府県負担を軽減するため、医療費の削減効果等を踏まえ、健康保険等の適用が可能となるよう早期に措置します。
(中略)
(4)国民の安全・安心の確保に向けて国際テロや大災害に立ち向かう態勢を確立
大規模地震や原子力事故など緊急事態の発生に対してはより迅速かつ適切に対処しうるように、災害派遣能力の向上、即応態勢の強化を図ります。
※進捗状況:陸上自衛隊では、災害派遣即応部隊として部隊を編成し、24 時間即応体制で主要駐屯地に待機。海上自衛隊及び航空自衛隊では、2 時間以内に派遣できる態勢でそれぞれ待機。
(引用終わり)
【短評】
公明党のマニフェストは,唯一前回の衆院選のものの改訂版というスタンスを取り,かつ実績も掲載しているため,一貫性があり,かつ有権者も検証が容易となっています。また,具体的数値を示した政策であり,非常にイメージが持ちやすくなっています。
ただ,進捗状況については,今回の地震を見る限り少々眉唾であること,また,民主党以上に相当な財源が必要となる施策であることから,その裏付けの説明が必要となるでしょう。
日本共産党
防災関係公約(以下引用)
防災、安心安全のまちづくりをすすめます
能登半島地震の経験から、被災者の生活再建、地場産業をはじめとした地域社会の再建・復興に対する公的支援のあり方が改めて問われています。
同時に、どこで起きてもおかしくない地震災害や、台風・集中豪雨等の頻発による土砂崩れ・洪水災害の多発・甚大化など、災害に国民の生活が脅かされています。
政府・中央防災会議の専門調査会による極めて不十分な被害想定(04年12月)でさえ、「首都直下地震」が発生した場合、建物の約85万棟が全壊または焼失し、死者は約1万3千人に達するとしています。災害による被害を最小限に食い止め、生活や営業の再建を一刻も早く支援する制度を確立していくことが求められています。日本共産党は、能登半島地震をはじめ中越地震(2004年)や福岡県西方沖地震(2005年)の被災者、洪水被災者など、一刻も早い被災者の生活再建を全力で支援します。また、学校や住宅などの耐震診断・補強、事前の防災対策など、実効ある災害対策の強化をすすめます。
被災者への支援を強化します
被災者の生活再建支援を目的とした現行の被災者生活再建支援法は、阪神・淡路大震災被災者に対する公的支援実現を求める世論と運動のなかで成立しました。その後、住居対策として全壊家屋の解体・撤去や家賃補助などが追加されてきました。ところが、支援の対象となる被災者や経費の範囲が極めて狭く制限され、支給限度額が低く抑えられているため、限られた被災者しか支援されないばかりか、再建にはほど遠いというのが実態です。
日本共産党は、国の責任で被災者の最低限の生活基盤回復をおこない、すべての被災者の自立(再建)を支援することを目的とした被災者生活再建支援法の改正案(「くらし復興支援立法案」)を提案しています。(1)当面の生活の維持への支援とともに、住まいの再建を支援対象とし、支給額を引き上げる、(2)地域経済とコミュニティの担い手である中小商工業者の事業の再建や商店街の復興も支援対象とする、(3)三宅島噴火災害のような長期の避難生活という事態も支援対象とする、(4)被災者の自立にとって大きな障害となっている既存ローンの負担を軽減する、(5)従来の支援策を見直すきっかけとなり、現に支援が求められている阪神・淡路大震災被災者をはじめ、この間に発生した災害被災者に対しても支援措置を講じる──などを柱にした被災者支援の改善をめざします。
08年予定されている現行の被災者生活再建支援法の見直しに向けて、年収要件の見直しや被災住宅の改修・建て替えなど実効ある支援制度とするため全力をつくします。
一方、被災住宅の応急修理や障害物の除去など、被災したなかで救助を必要とするすべての被災者を対象に一刻も早い救助を実施するなど、災害救助法の運用については、被災の状況に見合った全面的な活用を追求します。
災害に強いまちづくり、国土づくりをすすめます
地震による被害を最小限にくい止めるうえで、学校などの公共施設や緊急輸送路沿いの住宅などだけでなく、病院や大規模集客施設をはじめ宅地を含めたすべての住宅の耐震診断と耐震補強を計画的にすすめることが不可欠です。そのために、設置者・開発者のとりくみを促すとともに国による支援措置を強めます。
大都市では「再開発」の名による超高層ビルの建設ラッシュですが、土木学会と日本建築学会は巨大地震に伴うゆっくりした揺れ(長周期地震動)で超高層ビルが損傷を受ける可能性があると指摘しています。一方、地方では経済の落ち込みや高齢化から、山間地の集落の維持が困難になり、防災の面でも対応が困難になっています。
まちづくりそのものを、開発優先から、防災を重視した住民参加型に転換します。開発や土地利用の変更にあたって、災害に対してどのような影響があるかを事前にチェックする防災アセスメントを導入します。森林の荒廃が大量の流木をひきおこし、被害を増幅しています。
間伐や風倒木撤去の徹底、作業用林道の回復措置など、国土保全をすすめます。
災害危険個所の点検を急ぎ、堤防などの点検・補修、がけ崩れ対策や老朽化したため池の補修などを急ぎます。
消防職員など、国が示した「消防力の基準」を満たしていない自治体が少なくありません。消防職員の増員や消防水利の整備など、消防力の強化をはかります。住民の声を取り入れ、地域防災計画の見直しをはかります。ボランティアを含めた住民の知恵と力を取り入れることにより地域の防災力を引き上げ、高齢者や障害者など支援を必要とする住民を含めた地域の防災対策を強化します。
(引用終わり)
【短評】
被災者の生活支援という点を一番強く打ちだしているといえます。また,住民あげての防災力強化を謳うなど,生活密着型防災計画を検討している点は,地域の実情にマッチしたものとなり,非常に有用的といえます。
ただ,そもそも公約として長すぎます。能書きが多すぎて,結局何がやりたいのかがよく見えません。また,防災アセスについては,環境アセスとの切り分けが難しく,結局余計な負担になるのではないか,懸念されます。
社会民主党
防災関係公約は見あたらない
【短評】
おそらくなにか施策はあるとは思います。
ただ,やはり憲法9条だけでは人は食いつかないでしょう。
国民新党
防災関係公約(以下引用)
【計画的な国土・地域整備の推進】
治山治水や災害防止の徹底を図るとともに、地域の潜在力を十分に引き出すため、必要な社会資本・ライフラインを積極的に整備する。
(引用終わり)
【短評】
主に防災,減災対策に絞っており,災害に強いまちづくりを考えている点は,国家百年の計という観点からも非常に効果的であるといえます。
ただ,即効性に欠ける施策であるため,同時に災害発生時の対策を講じなければ,被災者の生活確保が困難なのではないでしょうか。
新党日本
防災関係公約は見あたらない
【短評】
おそらくなにか施策はあるとは思います。
ただ,脱ダムと防災というのは,一見矛盾する施策であるため,この点についてちゃんと説明しなければ,脱ダム施策には不安感しか残らないでしょう。
以上主要政党の施策及び短評でした。
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大震災に対しては、医療ヘリの導入も必要ですよねえ。コスト的には道州単位で管理体制を作るという事なんでしょうね。
取り敢えず、教室の机はチタン製にしましょうかね。
防災対策においては,学校は非常に重要な拠点になります。避難場所,非常用品備蓄場,仮設住宅用敷地,緊急車両等集合場所などなどです。
また,学校の建物が無傷ならば情報基地にもなります。
さらに,地域住民も目印にしやすく,かつ集まりやすいですし,ほぼ均等に配置されているため,空き地が少ない市街地でもそれなりの場所を確保できます。
学校の耐震化がかなり遅れているようですが,おっしゃるとおり,最優先課題にあるといえます。そうでなくても,子供の安全のためには耐震化は非常に重要といえますしね。
近くの公民館は中に入った事がないのですが、ここでは避難生活したくないって思いましたね。狭いし、古そうだし、地形的にも我が家でいるほうがいいような気がして。
でも何よりも地域住民の連携って気がするのですが、
これも不安です。昨今は個が主体になってしまって、地域としての関わりが希薄になってるような。いざというときに強い社会づくりをすすめていって欲しいものです。
今回の地震では,比較的地域の連携が強い場所だったため,避難所での混乱は少なかったようです。
これが都心のように地域の連携が弱い地域の場合,相当な混乱が予想されます。食料の配布一つにしても「我先に」となって略奪になりかねないでしょう。
地域防災計画は,性善説的に規定されているものが多く,避難所ではみんな協力し合うという共助精神を前提にして組んでいます。しかし,地域によっては共助は困難であることも視野においた計画にする必要があるかもしれません。
ちなみに,地域防災計画をまめに見直すべきとの政策を打ち出している政党はありません。ちょっと残念です。