あれは,あれで良いのかなPART2

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麻生総理,追加経済対策という名の大博打を打った

2008年10月30日 23時55分10秒 | 政治・選挙
麻生総理が追加経済対策を発表し,全世帯給付金や高速道路1000円など総額5兆円の政策内容について発表しました。また,これと併せて,3年後の経済状況を踏まえて消費税増税もあり得ると明言しました。
一方で,衆議院の解散については明言を避けました。

首相、追加経済対策を発表…3年後の消費税引き上げも表明(読売新聞) - goo ニュース

いろんな意味での大博打

この追加経済対策,当然の前提として,>第二次補正予算で認められる必要がありますから,これがすぐに実行されるという意味ではありません。
とはいえ,補正予算を通すということは,衆議院の解散はないという前提になりますので,特に野党側からの批判は当然想定の範囲内だと思います。
にもかかわらず,なぜあえて追加経済対策をここで発表したのでしょうか。それは,「麻生総理は大博打を打ったから」といえます。
その博打の内容は次のとおりです。

1 これで本当に景気が良くなるかという博打
2 解散を引き延ばしたことで自民党支持者を増やすという博打
3 政策を民主党案とかぶらせたことで,民主党の審理拒否を防ごうという博打
4 この案を民主党がのまかったから解散したということにして,民主党支持を減らそうという博打
5 消費税問題をはっきり出すことで,次の選挙の争点を消費税問題一本勝負にしようという博打


これらについて簡単に説明します。
1については,結構多くの経済評論家が,真水5兆円規模の経済対策で景気が良くなるかという点について懐疑的な考えを持っています。
私もそれは同意見です。また,政策の内容は,一見低所得者の人への恩恵もありそうですが,実はその方の恩恵は小さいものです。例えば,給付金については,低所得者の方については,そのまま借金などの返済に回されることが予想されます。すると,消費にお金は回らず,逆に銀行にお金が集まってきます。また,高速道路の休日値引きは,ETC限定ということから,結局機械を購入しなければならず,日々の生活に追われている人への恩恵にはなりません。1兆円を地方に配布することも,結局地方で財調に積んでしまえば無意味です。中小企業融資枠の増額については,まず審査基準の見直しと,議員の口利きを廃止するなど「ハイエナの排除」をしなければ,肝心な中小企業にお金は渡りません。
しかし,動かし方で経済効果は相当大きなものにもなり得ます。麻生総理は,こうした経済効果を期待して,効果は小さいことを承知の上で,大きな効果を期待しての大博打を打ったと言えるでしょう。

2については,現状では日々自民党支持者が減少している状況において,今すぐに解散総選挙をしないで,あとで解散総選挙をしたとしても,むしろ今より自民党の勝ち目はなくなってきます。
そこで,選挙対策の起死回生の一打として,「景気対策をやったぞ」などという看板を掲げて自民党支持者を増やし,選挙の大敗を防ぐという博打を打ったと言えます。

3については,この追加経済対策の大半は,従前から民主党が主張していた内容です。つまり,言い方を変えると「民主党案を飲んだ」ともいえます。
そうすると,民主党としては,この案に対し,正面切って反対することができなくなります。反対することは自己否定につながるからです。
であれば,この審理に民主党は応じて来るであろうし,当然第二次補正予算案の審理にも応じてくれるであろうという博打を打ったと言えます。

4については,3の延長で,もし民主党が審理に応じなかった場合,解散の時のコメントとして,「だって民主党が審理に応じてくれなかったんだもん」と言うネガティブキャンペーンに走ることが可能となります。また,「不景気なので景気対策を大々的にやろうとしたのに,民主党がそれを拒否した。だから,景気が悪い原因は民主党にある」など,景気対策が講じられなかった原因をすべて民主党に押しつけることで,その後の選挙を優位に持っていこうという大博打であったと考えられます。

5については,選挙直前に消費税増税話は本来はタブーです。しかし,ここではっきりと明言しました。それにより,選挙の争点に「増税」が加わることになります。
しかし,増税の趣旨が,「中福祉,中負担の社会」とある程度具体的なイメージを提示したことで,今後の福祉政策と増税が抱き合わせであるというイメージを作り上げることに成功しましたので,「福祉を維持するなら増税も仕方ないのか」とのイメージを植え込ませ,選挙戦において「福祉を一番考えている自民党」という看板を掲げることで選挙を優位に戦えるのではないかという博打を打ったと言えます。

以上が,追加経済対策に込められた麻生総理の博打の内容です。
今の自民党は,現状では真っ向勝負をしても選挙では勝てません。勝てないからこそ,「一発勝負の大博打」が必要なのです。
あとは,この一発勝負,果たして吉出るか凶と出るか,カギを握るのは「野党の出方」にあります。特に民主党は,この大博打の空気を読んだ対応をするか,それともいつもの「とりあえず反対」戦略に出るのか,ここが運命の分かれ道です。
経済政策という名の選挙対策なのです。

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