秋葉原の通り魔事件の影響を受けて,ネット上で犯行予告を掲載する輩が相次いでいるようです。警視庁は,プロバイダの協力を得て,犯行予告を掲載した者の氏名を特定し,次々と威力業務妨害罪等の容疑で逮捕しているとのことです。
ネット犯行予告300件 警視庁確認(産経新聞) - goo ニュース
いくらネット上でも犯行予告はいたずらでは済みませんよ
当然の話ですが,そんな犯行予告をネット上で掲載しても,誰1人喜ぶ人はいませんし,結局はそのツケを自分が払う羽目になりますから,絶対にこんなバカなことをやってはいけません。秋葉原の容疑者と同列に扱われるだけですよ。
さて,今はネット社会になったためでしょうか,このような大事件が発生すると,必ずと言っていいほど「模倣犯的記載」がでてきます。しかも,数が増えているような気がします。ネットが発達していなかった10年位前までは,せいぜい手紙で送るという程度だったため数は少なかったですから,やはりネットの弊害と言わざるを得ません。もっというと,「新手の犯罪」ともいえるでしょう。
一方で,当の本人は,「おもしろ半分でやった」という場合が多く,「ネットに掲載するとどういう影響があるのか」ということはもちろん,そもそもこれが犯罪になって自分が逮捕されるという認識が全くないといえるでしょう。
しかし,これは立派な犯罪です。警視庁は,とりあえず立件が容易な「威力業務妨害罪」として逮捕しています。この罪は,簡単に言えば,犯罪予告をしたことで,警察がそれに対応して警備をすることになったため,無駄な警備をさせただけではなく,本来行うべき警察業務にも影響を与えたということでこの罪に該当するとしています。
しかし,予告の記載内容如何では,それだけではなく,「名誉毀損罪」や「脅迫罪」,「強要罪」なども成立しうるし,もし本気で犯行を行おうとしていたのであれば「殺人予備罪」などの成立もあり得ます。
つまり,「単純なイタズラ書き」のつもりでやったとしても,ネット上で犯罪予告を書くことは立派な犯罪になるのです。
これに対しては,「なにもそこまで厳しくしなくてもよいのではないか」とか「ネット上で書く人は,ここまで社会が混乱するとは思っていないから,犯罪成立の故意がないのではないか」,さらには「ネット上の表現を規制するのは表現の自由に対する侵害だ」などとして,警察の取締り強化に異論を唱える人もいます。
しかし,まず「厳しすぎる」という反論に対しては,「じゃあ,犯罪予告がどんなにネット上に書かれても,一切触らずに放置するのか。その結果,本当に犯罪が発生した場合,どうするのか。」と言いたいものです。日本では,万引きが容認されやすいように,とかく「小さな犯罪には目をつぶる」という風潮がありましたが,治安が悪化しつつある現在では,むしろ「ブロークン・ウィンドウ理論」により,早めに犯罪の芽は摘むべきなのです。厳しいに越したことはありません。
次に,「故意がない」についてですが,ネット上に掲載する行為それ自体には「誰かが読むであろう」という認識はあり,さらに「それを読んだ人がビックリして警察や関係者に連絡して社会的に大騒ぎになるだろう」というところまでは認識できるはずです。
とすると,「警察か警備会社かその組織の人かはともかく,誰かしらが犯罪予告に対して何らかの対応をするだろうなあ。それが面白い。」という意識はあるわけですから,業務を妨害するという「概括的故意」が認められます。その他の罪の成立についても,同様なことが言えます。
さらに,「表現の自由の侵害」ですが,確かに表現の自由は最大限尊重されるべきものではありますが,ここで処罰しているのは,「ネット上にそういうことを書いたこと」という「表現方法」についてであり,「書いた内容がけしからん」ということだけではありません。もう少し簡単に言うと,犯罪予告を「自分のノート」や「人通りのない場所の掲示板」などに書いた場合,すなわち「誰も見ないであろう場所に書いた」場合は,上記犯罪は成立しません。つまり,犯罪予告という表現内容それ自体だけでは処罰対象にはならないのです。あくまでも,「みんなが見る場所」に「みんながビックリすることを書いてしまった」という表現方法がまずかったというだけなのです。もっというと,みんなが見る場所に犯罪予告をしたとしても,その内容が例えば「そのうち,誰か殺したい」などと抽象的な内容であれば,これだけでは今回の犯罪は成立しません。
決して,「表現内容だけ」で取締りをしているわけではないのです。
今回,プロバイダ業者の協力が得られにくく,特定に時間がかかるという点で問題があるということらしいですが,このような場合,最後は令状とってプロバイダ業者から情報取りますので,最後は追跡可能です。
いずれにせよ,犯罪予告をネット上に書くなんてバカな真似は絶対に止めましょう。
「お前を殺す」と逆に犯罪予告をされたらどう思うか,考えてみればすぐに分かることでしょう。
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いくらネット上でも犯行予告はいたずらでは済みませんよ
当然の話ですが,そんな犯行予告をネット上で掲載しても,誰1人喜ぶ人はいませんし,結局はそのツケを自分が払う羽目になりますから,絶対にこんなバカなことをやってはいけません。秋葉原の容疑者と同列に扱われるだけですよ。
さて,今はネット社会になったためでしょうか,このような大事件が発生すると,必ずと言っていいほど「模倣犯的記載」がでてきます。しかも,数が増えているような気がします。ネットが発達していなかった10年位前までは,せいぜい手紙で送るという程度だったため数は少なかったですから,やはりネットの弊害と言わざるを得ません。もっというと,「新手の犯罪」ともいえるでしょう。
一方で,当の本人は,「おもしろ半分でやった」という場合が多く,「ネットに掲載するとどういう影響があるのか」ということはもちろん,そもそもこれが犯罪になって自分が逮捕されるという認識が全くないといえるでしょう。
しかし,これは立派な犯罪です。警視庁は,とりあえず立件が容易な「威力業務妨害罪」として逮捕しています。この罪は,簡単に言えば,犯罪予告をしたことで,警察がそれに対応して警備をすることになったため,無駄な警備をさせただけではなく,本来行うべき警察業務にも影響を与えたということでこの罪に該当するとしています。
しかし,予告の記載内容如何では,それだけではなく,「名誉毀損罪」や「脅迫罪」,「強要罪」なども成立しうるし,もし本気で犯行を行おうとしていたのであれば「殺人予備罪」などの成立もあり得ます。
つまり,「単純なイタズラ書き」のつもりでやったとしても,ネット上で犯罪予告を書くことは立派な犯罪になるのです。
これに対しては,「なにもそこまで厳しくしなくてもよいのではないか」とか「ネット上で書く人は,ここまで社会が混乱するとは思っていないから,犯罪成立の故意がないのではないか」,さらには「ネット上の表現を規制するのは表現の自由に対する侵害だ」などとして,警察の取締り強化に異論を唱える人もいます。
しかし,まず「厳しすぎる」という反論に対しては,「じゃあ,犯罪予告がどんなにネット上に書かれても,一切触らずに放置するのか。その結果,本当に犯罪が発生した場合,どうするのか。」と言いたいものです。日本では,万引きが容認されやすいように,とかく「小さな犯罪には目をつぶる」という風潮がありましたが,治安が悪化しつつある現在では,むしろ「ブロークン・ウィンドウ理論」により,早めに犯罪の芽は摘むべきなのです。厳しいに越したことはありません。
次に,「故意がない」についてですが,ネット上に掲載する行為それ自体には「誰かが読むであろう」という認識はあり,さらに「それを読んだ人がビックリして警察や関係者に連絡して社会的に大騒ぎになるだろう」というところまでは認識できるはずです。
とすると,「警察か警備会社かその組織の人かはともかく,誰かしらが犯罪予告に対して何らかの対応をするだろうなあ。それが面白い。」という意識はあるわけですから,業務を妨害するという「概括的故意」が認められます。その他の罪の成立についても,同様なことが言えます。
さらに,「表現の自由の侵害」ですが,確かに表現の自由は最大限尊重されるべきものではありますが,ここで処罰しているのは,「ネット上にそういうことを書いたこと」という「表現方法」についてであり,「書いた内容がけしからん」ということだけではありません。もう少し簡単に言うと,犯罪予告を「自分のノート」や「人通りのない場所の掲示板」などに書いた場合,すなわち「誰も見ないであろう場所に書いた」場合は,上記犯罪は成立しません。つまり,犯罪予告という表現内容それ自体だけでは処罰対象にはならないのです。あくまでも,「みんなが見る場所」に「みんながビックリすることを書いてしまった」という表現方法がまずかったというだけなのです。もっというと,みんなが見る場所に犯罪予告をしたとしても,その内容が例えば「そのうち,誰か殺したい」などと抽象的な内容であれば,これだけでは今回の犯罪は成立しません。
決して,「表現内容だけ」で取締りをしているわけではないのです。
今回,プロバイダ業者の協力が得られにくく,特定に時間がかかるという点で問題があるということらしいですが,このような場合,最後は令状とってプロバイダ業者から情報取りますので,最後は追跡可能です。
いずれにせよ,犯罪予告をネット上に書くなんてバカな真似は絶対に止めましょう。
「お前を殺す」と逆に犯罪予告をされたらどう思うか,考えてみればすぐに分かることでしょう。
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