北京オリンピック壮行会をかねた水泳のジャパンオープンが開催されました。ここでは,今話題となっているスピード社製の水着を試着してレースに臨んだところ,5人がいきなり日本新記録を打ち出すなど,改めてスピード社の水着の威力が示された結果となりました。
北島ら、スピード社製で日本新=試着のレース、快記録続出-競泳ジャパンオープン(時事通信) - goo ニュース
結果は見えてきた
まず,北島選手のコメント,これが一番正論だと思いました。すなわち,「水着が泳ぐのではなく,人が泳ぐ。」ということです。オリンピックでいい成績を出すかどうかの基本は,「選手の努力」です。ところが,今はそこにほとんど光が当たらず,あたかも「良い水着着れば勝てる」という視点だけですべてが論じられている点に,北島選手は苦言を呈したといえるでしょう。
それは当然のことです。例えば,私がスピード社の水着を着たからといって,100%日本新記録は出せません。いや,小学生の水泳選手にすら勝てないでしょう。
ただ,オリンピックという高いレベルになると,話は違ってきます。実力は互角なわけですから,0.1秒の差を縮めるためには練習だけではなく「環境」も必要となってきます。水泳の場合,他の選手と違いは「水着」だけですから,ここにこだわるのは当然の助動詞「べし」です。
今回の結果を見ると,明らかにスピード社の水着の方がいい結果が出るということが分かったと言えます。ところが,日本水連は,オリンピックで使用する水着については国内3メーカーとのみ契約しているため,それ以外を使うことは契約上許されません。
しかし,オリンピックでいい結果を出すためには,「選手が使いやすいもの」を選ぶべきなのではないでしょうか。もちろん,水泳選手の中には,「スピード社は苦手」という人もいます。だから,すべてスピード社に切り替えるというのは乱暴な発想だと思いますが,逆に「選択したい」という人のためには,あえて契約違反でもこれを認める方向で検討するべきではないでしょうか。
もちろん,違約金は支払いますが,それで金メダルが取れれば安いものです。逆に,メダルが全く取れなかった場合,今の世論の雰囲気からすると,「選手の努力,実力不足」ということではなく「水着が悪い」ということで盛り上がりかねません。その盛り上がりが進むと,「なぜスピード社と契約しなかった」ということで水連批判や,「国内3社の水着は使えない。」というスポーツメーカー批判に拡がりかねず,スポーツメーカーの売り上げにも影響を与えかねません。
契約を遵守するというのが本来的なルールではありますが,商売の世界では,あえて契約違反をするということはあります。今回も,契約を尊重するのか,それとも実績を尊重して契約違反をするのか,水連も早めに腹を決めた方が良いでしょう。そして,契約を尊重するのであれば,もし成績がふるわなかったときの腹の切り方まで考えておく必要がありそうです。当然,メーカー側も契約を維持するとなった以上,本番までに「限りなくスピード社と同じ性能」の水着開発を進める必要があります。実績が出なければ,商売全体に影響が及びかねません。
あとは,北島選手のいうとおり,「選手の努力」が大切です。とにかく,北京向けて最終調整に勤しんでください。
頑張れ,日本!!
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まず,北島選手のコメント,これが一番正論だと思いました。すなわち,「水着が泳ぐのではなく,人が泳ぐ。」ということです。オリンピックでいい成績を出すかどうかの基本は,「選手の努力」です。ところが,今はそこにほとんど光が当たらず,あたかも「良い水着着れば勝てる」という視点だけですべてが論じられている点に,北島選手は苦言を呈したといえるでしょう。
それは当然のことです。例えば,私がスピード社の水着を着たからといって,100%日本新記録は出せません。いや,小学生の水泳選手にすら勝てないでしょう。
ただ,オリンピックという高いレベルになると,話は違ってきます。実力は互角なわけですから,0.1秒の差を縮めるためには練習だけではなく「環境」も必要となってきます。水泳の場合,他の選手と違いは「水着」だけですから,ここにこだわるのは当然の助動詞「べし」です。
今回の結果を見ると,明らかにスピード社の水着の方がいい結果が出るということが分かったと言えます。ところが,日本水連は,オリンピックで使用する水着については国内3メーカーとのみ契約しているため,それ以外を使うことは契約上許されません。
しかし,オリンピックでいい結果を出すためには,「選手が使いやすいもの」を選ぶべきなのではないでしょうか。もちろん,水泳選手の中には,「スピード社は苦手」という人もいます。だから,すべてスピード社に切り替えるというのは乱暴な発想だと思いますが,逆に「選択したい」という人のためには,あえて契約違反でもこれを認める方向で検討するべきではないでしょうか。
もちろん,違約金は支払いますが,それで金メダルが取れれば安いものです。逆に,メダルが全く取れなかった場合,今の世論の雰囲気からすると,「選手の努力,実力不足」ということではなく「水着が悪い」ということで盛り上がりかねません。その盛り上がりが進むと,「なぜスピード社と契約しなかった」ということで水連批判や,「国内3社の水着は使えない。」というスポーツメーカー批判に拡がりかねず,スポーツメーカーの売り上げにも影響を与えかねません。
契約を遵守するというのが本来的なルールではありますが,商売の世界では,あえて契約違反をするということはあります。今回も,契約を尊重するのか,それとも実績を尊重して契約違反をするのか,水連も早めに腹を決めた方が良いでしょう。そして,契約を尊重するのであれば,もし成績がふるわなかったときの腹の切り方まで考えておく必要がありそうです。当然,メーカー側も契約を維持するとなった以上,本番までに「限りなくスピード社と同じ性能」の水着開発を進める必要があります。実績が出なければ,商売全体に影響が及びかねません。
あとは,北島選手のいうとおり,「選手の努力」が大切です。とにかく,北京向けて最終調整に勤しんでください。
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