9月1日は防災の日でした。おりしも,前日に関東地方で大きな地震があったり,中野区での誤報騒動があるなど,結構タイムリーな状態になったことから,訓練にはいつも以上に気合いが入ったことと思います。
ところで,ここ数週間の間に,防災関係の気になるニュースがいくつかありましたので,まとめて検討したいと思います(なお,ニュースソースは既に期限切れのためリンク貼れませんでした。)。
なお,地域防災計画についての問題点については,以前書きましたこちらの記事(地域防災計画を考える)を参照していただけると幸いです。
1 大地震が起きたら過半数のサラリーマンは「職場より家族の安全を優先する」とのアンケート結果
大地震が起こったらその後どう行動するかについてアンケートを取ったところ,半数以上の人が「まず家族の安否を確認して自宅に戻る」と答え「業務の支障や継続可能性の確認作業をする」を大きく上回る結果になったそうです。
今の時代,「仕事より家族」ということが如実に現れたことになりますが,各企業では震災後に社員の手で復旧作業が行われることを前提にした防災対策マニュアルが作成されている場合が多いだけに,今後見直しが求められるでしょう。
もちろん,市町村職員が中心となって動く「地域防災計画」だって全く同じことです。市町村職員とてサラリーマンである以上,アンケート結果と同じような行動を取る職員が多いと想定され,計画どおり人員が配置できない可能性が大いに想定されます。
ちなみに,私はそのような職員がいることや物理的に市町村役場に出勤できなくなる職員がいることを想定し,「市町村間相互職員利用協定」を締結するべきであろうと考えています(詳しくはこちらを)。
2 官公庁の多くが耐震性に問題あり
国の官公庁の多くが耐震性に問題があるとの調査結果が出ました。中には農林水産省(見るからに耐震性なさそうな建物でしたが)などは某偽装マンション以下の耐震性しかないことが判明するなど,今後の防災計画において考慮するべき事項であるといえそうです。
ところで,この問題,何も国だけの問題ではなく,実際に災害が発生したときに災害対策本部が立ち上がる都道府県庁や市町村役場でも同様の問題が想定されます。特に財政難の折から,庁舎建設や改築を断念している場合が多く,素人目で見ても「地震が来たら危ないだろう」という庁舎はかなりあります(例えば埼玉県庁なんて,実際は補強しているかどうかは分かりませんが,今にも崩れそうな外観です。)。
ところが,防災計画上は,あくまでも地震が起きたら役場の庁舎が災害対策本部にするとしている場合がほとんどです。しかも,「もし庁舎が使えなかったら」という場合が計画に盛り込まれていない場合が多いでしょう。とすると,実際に災害が発生した場合,現実的な話をすると「確実に倒壊または使用不能になる県庁舎や市町村役場」が発生することは避けられないことになります。そして,その場合の代替策をしっかりと講じておかなければ,その時点で災害対策本部は麻痺してしまい,その後の住民保護活動は大幅に遅れてしまうことになるでしょう。
「だから古い庁舎はすべて建て替えよう」と言うわけではありません。財政状況や住民感情を考えた場合,役所の庁舎建設はかなりの劣後債権になりますから,こんな時代なかなか庁舎建て替えをすることは難しいでしょう。
そこで,対案としては,「災害対策本部セカンダリー」をしっかり構築しておくことです。そして,その候補地としては,各地域の実情もあるでしょうが,既存の施設を利用するという前提に立てば「最近建てられた公共施設の建物」が良いといえます。ここなら,かなりの確率で耐震強度は確保されていますから,建物は維持されるはずです。あとは,首長や関係職員の移動などの問題も踏まえて検討しておくことが求められるでしょう。
以上が最近のニュースから改めて感じたことです。
地域防災計画が絵に描いた餅になってしまうと,その瞬間,住民は見捨てられた状態になってしまいます。どんな自体にも対処できるような計画が求められるといえるでしょう。
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TB先一覧
http://imprezza-inada-1973.seesaa.net/article/23113795.html
http://blog.goo.ne.jp/sunafukin-0101/e/91113638ad2e57cb7350412e10f584a6
http://184.tea-nifty.com/bousai/2006/08/post_d0eb.html
http://184.tea-nifty.com/bousai/2006/09/post_2584.html
http://www.tk-navi.com/blog/2006/09/post_70.html
ところで,ここ数週間の間に,防災関係の気になるニュースがいくつかありましたので,まとめて検討したいと思います(なお,ニュースソースは既に期限切れのためリンク貼れませんでした。)。
なお,地域防災計画についての問題点については,以前書きましたこちらの記事(地域防災計画を考える)を参照していただけると幸いです。
1 大地震が起きたら過半数のサラリーマンは「職場より家族の安全を優先する」とのアンケート結果
大地震が起こったらその後どう行動するかについてアンケートを取ったところ,半数以上の人が「まず家族の安否を確認して自宅に戻る」と答え「業務の支障や継続可能性の確認作業をする」を大きく上回る結果になったそうです。
今の時代,「仕事より家族」ということが如実に現れたことになりますが,各企業では震災後に社員の手で復旧作業が行われることを前提にした防災対策マニュアルが作成されている場合が多いだけに,今後見直しが求められるでしょう。
もちろん,市町村職員が中心となって動く「地域防災計画」だって全く同じことです。市町村職員とてサラリーマンである以上,アンケート結果と同じような行動を取る職員が多いと想定され,計画どおり人員が配置できない可能性が大いに想定されます。
ちなみに,私はそのような職員がいることや物理的に市町村役場に出勤できなくなる職員がいることを想定し,「市町村間相互職員利用協定」を締結するべきであろうと考えています(詳しくはこちらを)。
2 官公庁の多くが耐震性に問題あり
国の官公庁の多くが耐震性に問題があるとの調査結果が出ました。中には農林水産省(見るからに耐震性なさそうな建物でしたが)などは某偽装マンション以下の耐震性しかないことが判明するなど,今後の防災計画において考慮するべき事項であるといえそうです。
ところで,この問題,何も国だけの問題ではなく,実際に災害が発生したときに災害対策本部が立ち上がる都道府県庁や市町村役場でも同様の問題が想定されます。特に財政難の折から,庁舎建設や改築を断念している場合が多く,素人目で見ても「地震が来たら危ないだろう」という庁舎はかなりあります(例えば埼玉県庁なんて,実際は補強しているかどうかは分かりませんが,今にも崩れそうな外観です。)。
ところが,防災計画上は,あくまでも地震が起きたら役場の庁舎が災害対策本部にするとしている場合がほとんどです。しかも,「もし庁舎が使えなかったら」という場合が計画に盛り込まれていない場合が多いでしょう。とすると,実際に災害が発生した場合,現実的な話をすると「確実に倒壊または使用不能になる県庁舎や市町村役場」が発生することは避けられないことになります。そして,その場合の代替策をしっかりと講じておかなければ,その時点で災害対策本部は麻痺してしまい,その後の住民保護活動は大幅に遅れてしまうことになるでしょう。
「だから古い庁舎はすべて建て替えよう」と言うわけではありません。財政状況や住民感情を考えた場合,役所の庁舎建設はかなりの劣後債権になりますから,こんな時代なかなか庁舎建て替えをすることは難しいでしょう。
そこで,対案としては,「災害対策本部セカンダリー」をしっかり構築しておくことです。そして,その候補地としては,各地域の実情もあるでしょうが,既存の施設を利用するという前提に立てば「最近建てられた公共施設の建物」が良いといえます。ここなら,かなりの確率で耐震強度は確保されていますから,建物は維持されるはずです。あとは,首長や関係職員の移動などの問題も踏まえて検討しておくことが求められるでしょう。
以上が最近のニュースから改めて感じたことです。
地域防災計画が絵に描いた餅になってしまうと,その瞬間,住民は見捨てられた状態になってしまいます。どんな自体にも対処できるような計画が求められるといえるでしょう。
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