あれは,あれで良いのかなPART2

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減災につながる緊急地震速報システム

2005年08月20日 12時09分14秒 | 地震,雷,火事,親父
永田町界隈では,今も毎日激震が走っていますが,ここではそっちの地震ではなく,本物の地震について見ていきたいと思います。
先日宮城県で発生した大地震,幸いにも死者が発生しなかったものの,重軽傷者やプールをはじめとする家屋損壊の被害が発生しました。
ところで,この地震,地震波が到達する14秒前に「地震が来るぞー」という情報を流しているシステムがあることが判明しました。それが,「緊急地震速報システム」です。
(ニュースソースは朝日新聞産経新聞zakzakより)

使えるなー,これ

このシステムの詳細は,下記のHPを参照してもらえればよろしいかと思いますが,簡単に言うと,中学の理科で勉強したように,地震にはP波(ドーンとくる縦波)とS波(ゆらゆらとくる横波)の2種類があります。そして,P波は秒速7キロ,S波は秒速4キロという違いがあることから,P波を探知することで「地震だー,フー」(レイザーラモンHG風に)と反応し,そこからS波の到達時間を計算し,受信装置に「まもなく激しく揺れますよー,フー」という情報を伝える物だそうです。
そして,今回の宮城県での地震では,S波(いわゆる地震発生)の14秒前に,「地震発生」の情報が伝わっていたそうです
ちなみに,このシステム,まだ試験段階であることから,全国約140程度の大学や施設にあるだけですが,改良が進み,実用化が見込まれれば,受信装置設置場所はもっと拡がり,将来的には,携帯メールなどへの配信も可能となるらしいです。
ただし,永田町の激震は,予知できないそうです(当然!!) さて,このシステムの話を聞いて,おそらく次のような疑問が発生した方がいるのではないでしょうか。

1 14秒で何ができる?
2 徒に混乱を招くだけではないか?
3 100年に1回程度の地震のためにこれを全国に備える必要があるか?


1については,確かに,14秒はテレビCM1つ分程度の時間なので,たいしたことはできないと思うかもしれません。しかし,このシステムは,「防災」ではなく「減災」の役割を持っているのではないか,と私は考えます。
つまり,14秒前であっても,この情報が受信された時点で,ガスの火を消す,避難路確保のために玄関を開けておく,非常袋を手にしておく,タンスや冷蔵庫の側から離れるなど,地震発生前のこの中の例え一つでも実行ができれば,地震に対する被害は少しは減少するはずです。こうすることで,「より地震の被害を少なくする」ことが可能となるでしょう。
むしろ,避難訓練のやり方を変えることで,この14秒を有効に使えるようにしておくことが大事かもしれません。今の訓練は,当然ながら「地震が来た後」をベースにしたものですが,これからは,「10秒後に地震が来る」ことをベースにした訓練を実施しておくのです。そうすれば,より減災効果は高くなるといえるでしょう。
ちなみに,大地震が想定される東海沖地震では,S波が東京に到達するまで60秒程度あるそうです。つまり,このシステムを導入すれば50秒位前には「地震だ」情報が配信されることになります。50秒あれば,さらに準備が可能となるでしょう。

2については,システムの信用性が高まれば混乱は防げるでしょう。
そういう意味では,個人配信(携帯メールなどへの配信)はある程度信用性が高まるまでは逆に抑えた方がよいかもしれません(システム自体への負荷により肝心な情報が配信できないという問題もありますし。)。
ただ,一方で,個人個人にこの情報が届かなければ意味がありません。この点は,まず国あげてのPR活動を行うより仕方がないでしょう。誤報くらい気にするな,と乱暴に言ってしまうと,やがては狼少年にもなりかねませんから,この点は,慎重かつ大胆なシステム検証活動が大切だと思います。

3については,地震関係のシステムとは,「保険」です。100年に1回であっても,無防備にしていたら,その時の被害ははかりしれません。また,機械物は日々進化しています。1回も使うことなく機械を更新することは無駄だ,という発想があるかもしれませんが,地震の被害に比べれば,機械の更新費用なんて微々たる物です。これを税金の無駄遣いというならば,世の中,もっと無駄遣いが山ほどあるでしょう。

いずれにしても,ここで私が言いたいことは,「例え試作品であったとしても,どんどん全国の公共施設や人が集まる場所に広げていこう」ということです。
もちろん,システムの問題点も山ほどあります。それは,実際の運用の中でどんどん改善していけばよいでしょう(実際,このシステムを受信している小学校の一つは,パソコンがフリーズして情報が入らなかったというオチがあります。)。
人の命はお金では買えませんが,お金をかければある程度は守ることができます。公共施設への整備や,この情報をいかに多くの人に即座に配信できるようにするかなど,この問題は個人レベルの話だけではなく,行政レベルでも本腰入れて検討するべき事項であるでしょう。

参考
気象庁のこのシステムについての説明
リアルタイム地震情報利用協議会

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