あれは,あれで良いのかなPART2

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市町村合併について(地方交付税に気を付けろ!)

2005年04月10日 23時48分55秒 | 市町村合併
前回は合併特例債の話をしましたが,今回も引き続きお金の話として地方交付税について説明をしたいと思います。

合併特例法のもう一つの目玉として,地方交付税優遇措置があります。地方交付税についての説明は割愛しますが,簡単にいえば,国からの義捐金です。
この優遇措置について,ごく簡単な例で説明します。
人口5万人のA市は,現在交付税1億円,人口4万人のB市は交付税2億円,人口9万人のC市は交付税2億5千万円,この3市はいずれも財政規模がほぼ同じと仮定します。
この場合,A市とB市が合併して人口が9万人になった場合,本来は翌年以降の交付税が2億5千万円となるところ,向こう5年間はA市B市だった場合にもらえる金額,すなわち3億円を交付します,ということになります。10年後以降もいきなり2億5千万円に減らさずに,5年間かけて少しずつ減らしていきます。

めでたし,めでたし,とお考えの方,おりませんか?

実は,ここには重大な問題が隠れています。
1 10年間の間に,しっかりとした財政計画と財政再建をしておかなければ,5年後に町の財政は破綻する(これは,おそらくほとんどの町でも議論済み)。
2 三位一体改革を忘れていませんか?(忘れている町が多いです,はい。)。


特に大きな問題は2にあります。上記例は,地方交付税が全く減らないことを前提に説明しています。現に,総務省のホームページでも,上記例の場合,あたかも向こう5年間は3億円を確保できるような記載になっています。
しかし,よく条文を読むと,合併特例法11条2項は,合併したときの交付税を維持するというのではなく,その年の交付税で合併しなかった場合の交付税を維持する,といっているに過ぎません(総務省HPでは,これが10年間同じ金額を維持しているように記載してありますが,明確な誤りです。)。
つまり,総務省の説明は,「今後地方交付税が同額であれば」を前提にしているに過ぎませんが,実際は三位一体改革により,地方交付税は減少していきます。つまり,向こう10年間はおろか,4,5年後には,相当額の交付税が減ることになります。
もちろん,合併しなければさらに減少することになるわけですから,結果は同じともいえますが,私が一番問題にしたい点は,「地方交付税が確実にもらえるから,10年間は安泰だ」という前提で市町村合併をしてしまったとしたら,その町は数年後に破綻する,ということです。
合併に対するビジョンを明確に持ち,かつ財政的な問題を十分に認識した上で合併を行っているのであれば,むしろこの制度は有用であるといえますが,そこまで理解して合併をしている町がどの程度あるでしょうか。この結果は,数年後に判明するでしょうが,財政破綻する町が0件,すなわち私の心配が杞憂に終わることをただただ祈るばかりです。

次回は,住民から見た現在の合併制度の問題点を指摘したいと思います。

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1 市町村合併が本格的に始まりました
2 市町村合併について(良いこと編)
3 市町村合併について(悪いこと編)
4 市町村合併について(お金の話)