トドの小部屋

写真付き日記帳です。旅行記、本や美術展の紹介、俳句など好きなことをつれづれに。お気軽にどうぞ。

魔道祖師1~4巻

2024-07-18 13:27:49 | 
6月に2019年製作の「陳情令」のブルーレイディスクを買いまして、じっくり2回見通しましたが、とても良かったので、墨香銅臭の原作「魔道祖師」をアマゾンで注文しました。シャオジャンとワンイーボのW主演ドラマ「陳情令」は、世界的大ヒットになりましたが、今回原作を読み通して、原作にかなり忠実に作られたドラマだったんだなと思いました。でも、違う点は、原作は、BL小説なので、主人公のウェイウーシェンと藍ワンジーの二人が兩片思いから、やがて想いが通じて、夫婦になるまで描かれるので、最後の4巻には、かなり濃厚なラブシーンが多く出てきました。男性同士のあの場面は、これは映像にできないでしょうと思いました。ましてや、中国では放送規制が厳しいそうです。でも、読んでいて嫌な感じは全くしないで、二人の純粋な恋心が描かれている感じがしました。それ以外の話は時代劇ファンタジーですから、あらすじがとても面白いし、仙門といって、仙術を習得するための一族及び門弟からなる世家の勢力争いを背景にドラマチックな展開が描かれ、仙術という不思議な力を駆使して戦う場面が素敵です。表紙のイラストは少女漫画のようなイケメン君二人。ドラマで演じたシャオジャンとワンイーボも二次元の世界からでてきたような長身のリアルイケメンで、このイメージにぴったりだと思います。「陳情令」を見て良いと思った人には、この原作は、お薦めです。



ちなみに、私は今、5冊目の番外集を読んでいるところ。番外編もなかなか面白いです。
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汝、星のごとく

2023-12-03 11:58:24 | 
凪良ゆうさんの「汝、星のごとく」を読みました。今年の春ごろ、図書館で予約したまま忘れていましたが、やっと私の順番が来て、2日間で読了しました。2023年の本屋大賞に輝いた小説です。主人公は17歳の青埜櫂と井上暁海。櫂は、瀬戸内海の島に、一年前に、母親とともに京都から引っ越してきた高校生。同級生の暁海は島で生まれ育った少女。島でスナックを営む櫂の母親は、男を追って島にやってきたのであるが、櫂は小学生の頃、男と出かけた母親に自宅に置き去りにされ、餓死しそうになったことがあった。櫂が生まれて間もなく、父親は胃がんで亡くなっている。男なしでは生きられない母だが、櫂は優しい青年に育ち、今では、親に頼られる存在になっている。井上暁海の家は、父親が浮気をして、家を出たまま帰らず、母と二人暮らし。母親は、父と離婚をする気はない。高校の廊下で、櫂が落としたプリントを暁海が拾ったことがきっかけで、2人は親しくなる。閉鎖的な島暮らしの中で、家庭に問題を抱える二人は急速に親しくなるのだった。櫂は、高校を卒業後、漫画家となるため、上京する。暁海は、夫に捨てられ、鬱になった母を一人残せず、進学をあきらめ、島で就職する。遠距離恋愛を続けた二人だったが・・・。この小説には、さまざまな形の関係に基づく愛情が描かれます。漫画が大ヒットし、一時は、大金を稼ぐ人気漫画家になった櫂だったが、ある事件をきっかけに、漫画の道が閉ざされる。まるで、ジェットコースターのような櫂の一生。片や、ヤングケアラーとして苦しい生活の中で、一歩一歩自立への道を進んだ暁海。物語を通して、流れていたのは、何があろうと、互いを忘れられない二人の純愛だったと思います。悲しい話ですが、希望も感じました。お薦めです。
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母の待つ里

2023-03-13 17:51:20 | 
久しぶりに浅田次郎さんの本「母の待つ里」を読みました。50代になるまで独身で通した大企業の社長、松永徹、彼は故郷を出てから40年間、実家に帰ったことがなかった。親と故郷を捨てた男だった。看護師をしている母一人に育てられ、その母を亡くしたばかりの医師で、60歳近くになり、来年夏に仕事をやめようと思っている小林夏生は、寂しさから、母の遺骨をまだ納めることができないでいた。製薬会社の営業部長で、最後は、関西流通センター長として定年を迎えた室田精一は、退職した途端、預貯金と退職金の半分を妻に取られて離婚するにいたった。この3人は、年会費35万円のプレミアムクラブの会員で、ブラックカードの所有者としてユナイテッドホームタウンサービスを利用する。それは、1泊2日で50万円という費用で、失われた故郷体験をすることだった。曲がり家が彼らの生まれ育った家。そこには、朴訥ながら、暖かい母が待ち受け、何十年ぶりに里帰りした息子や娘を歓待する。村人もまるで昔からのなじみのように、彼らに接する。このユナイテッドホームタウンサービスは、ビレッジとペアレントを複数持っていて、お客同士がバッティングしないよう、故郷体験を供するのだった。東北地方と思しき、過疎の村が村人も含めて、昔からのなじみのようにふるまう。彼らはカード会社から報酬をもらって故郷体験をさせるスタッフなのであるが、まるで本物の家族、本物の昔馴染みのよう。松永徹、小林夏生、室田精一の3人は、村の自然と昔ながらの暮らしと母を演じた「ちよ」という名の老女を本物の母のように慕い、この村に移住しようとまで考えるようになる。ところが、ある日、カード会社から悪い知らせが届くのだった。浅田次郎さんらしい話の展開で、読み始めたら、どんどん進んでしまいました。いっときの夢のような話です。ファンタジーが好きな人向け。
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天を灼く 地に滾る 人を乞う

2022-02-17 09:55:02 | 
あさのあつこさんの時代小説の三部作、「天を灼く」「地に滾る」「人を乞う」を読みました。あさのあつこさんというと、有名な野球少年の話の「バッテリー」を思い浮かべますが、こういう時代小説もなかなかのものだと思いました。とにかく面白かったです。私は本を読むのが遅いので、最初の二冊、「天を灼く」と「地に滾る」を図書館から借りましたが、オリンピックを観戦する合間にあっという間に読み切ってしまい、急いで最終話の「人を乞う」を借りました。まるでテレビで連続時代劇を見ているような面白さでした。この小説の主人公は天羽藩の上士の嫡男、伊吹藤志郎という少年です。ある日、登城したまま夜更けになっても帰ってこない父、斗十郎を案じていたところ、今泉家に嫁いだ姉が、斗十郎は城内で捕らわれたと知らせに来た。後日、父の咎は、豪商の出雲屋から賄賂を受け便宜を図っていたことらしいとわかる。斗十郎は切腹を申し渡され、所領内の流刑地、能戸の沢にある牢屋敷に入れられた。能登の沢の牢屋敷におもむいた藤志郎は、父から介錯をするよう頼まれる。そして、父は自分は潔白であると伝えた。父に託された佩刀の中には、出雲屋と藩の金銭のやり取りを明かす証文が隠されていたのだった。機密文書を手にしたものの、元服前の若き藤志郎は、腐敗した藩の重臣たちを追い落とし、藩政を正すことができるか。領内所払いになり、砂川村で暮らすことになった藤志郎たち一家は、嫁ぎ先から出戻った姉の美鶴、藤志郎、母の3人で、旧友や周りの人たちに助けられながら、農村生活になじんでいく。下級武士の悲哀、江戸庶民や百姓の暮らしや人情に触れ、藤志郎は、真の政はどうあるべきかに目覚める。藤志郎の苦闘が始まる。登場人物が魅力的。特に柘植左京さんがかっこいいです。時代小説が好きな方にお勧めです。

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世界地図の下書き

2022-01-25 14:24:49 | 
朝井リョウさんの「世界地図の下書き」を読みました。児童養護施設に入っている子供たちの物語です。主人公の大輔は、雨の日の交通事故で一瞬にして両親を失い、伯母に引き取られたものの、どうしてもなじむことができず、最初は優しかった伯父と伯母が大輔に辛くあたるようになる。特に血のつながらない伯父は、大輔に暴力をふるうようになり、大輔は児童養護施設に送られたのだった。児童養護施設では、班が構成されていて、大輔は一班に入れられた。班のメンバーは、小学3年生の大輔、同学年の淳也、淳也の妹の1年生の麻莉、小学2年生の美保子、中学3年生の佐緒里だった。佐緒里は、班の中のお姉さん的存在で、年下の麻莉、大輔、淳也、美保子をいつもそれとなくフォローし、気を配ってくれたが、実は、大輔が施設に来る4日前に入ったばかりだった。佐緒里は、両親が離婚し、この施設に入ってきた。病弱な弟は遠くの病院に入院していた。その入院費を親戚が負担してくれていた。淳也と麻莉の兄妹は、どこか遠いところから、この児童施設に入所したようだ。美保子は実母に虐待されて、暮らせなくなり、この児童施設に入ったといういきさつ。それぞれに悲しい事情を抱えていた。施設での暮らし、親や親戚との関係、学校でのいじめなどを描きながら、子供たちの3年間の成長を描いた物語でした。親から虐待されたり、育児放棄されていたりする児童は、世の中に多いのも事実。よるべない子供たちの幸せを心から願う。本作は、2013年坪田譲治文学賞を受賞。
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