宮本輝さんの「よき時を思う」を読了しました。本のご紹介記事を書くのは、なんと昨年夏に、「魔道祖師」をご紹介した時以来です。その間にも読んだ本はあったのですが、ご紹介したいと思えた本はなくて。
久しぶりに宮本輝さんの小説を読みました。彼の小説で一番印象に残っているのは、若いころ、最初に読んだ「泥の河」でした。その後、優駿や、錦秋など、いろいろ読みましたが、彼の小説に「はずれ」はないと思います。文体も好きです。読みやすく自然体。
さて、本作「よき時を思う」は金井家という一家の家族の物語です。ヒロインは、金井綾乃という30歳にもうすぐなる独身女性ですが、金井家の中心的存在は、徳子おばあさんです。徳子おばあさんの90歳の誕生日会を企画し、一家全員が正式な晩餐会を執り行う様子が後半、かなりのページを割いて描写されます。でも、その前に、家族、それぞれの特徴、日常が描かれるため、互いの特徴はよくつかめます。このタイトル「よき時を思う」に惹かれて手に取った一冊です。私にも「よき時」があったと思いながら、図書館から借りました。今は決して不幸ではなく、むしろ平穏で、幸せに暮らしていると思うし、精一杯生きてきたから、昔に戻りたいなんて全く思いませんが、この本の物語は、心を平穏にするなと思いました。ドラマチックな話ではないけど、最後まで途切れなく読了してしまう魅力がありました。平和な暮らしなんだけど、なんとなく、物足りなさを感じている人にお薦めします。
久しぶりに宮本輝さんの小説を読みました。彼の小説で一番印象に残っているのは、若いころ、最初に読んだ「泥の河」でした。その後、優駿や、錦秋など、いろいろ読みましたが、彼の小説に「はずれ」はないと思います。文体も好きです。読みやすく自然体。
さて、本作「よき時を思う」は金井家という一家の家族の物語です。ヒロインは、金井綾乃という30歳にもうすぐなる独身女性ですが、金井家の中心的存在は、徳子おばあさんです。徳子おばあさんの90歳の誕生日会を企画し、一家全員が正式な晩餐会を執り行う様子が後半、かなりのページを割いて描写されます。でも、その前に、家族、それぞれの特徴、日常が描かれるため、互いの特徴はよくつかめます。このタイトル「よき時を思う」に惹かれて手に取った一冊です。私にも「よき時」があったと思いながら、図書館から借りました。今は決して不幸ではなく、むしろ平穏で、幸せに暮らしていると思うし、精一杯生きてきたから、昔に戻りたいなんて全く思いませんが、この本の物語は、心を平穏にするなと思いました。ドラマチックな話ではないけど、最後まで途切れなく読了してしまう魅力がありました。平和な暮らしなんだけど、なんとなく、物足りなさを感じている人にお薦めします。