「星の夜」 山鳩暮風
まだたりていないのか
まだじぶんのことで
祈るのか
こちらにいただくものが
まだどっさりあるはずだと
言い張る
ほしがったぶんの
千倍万倍億倍を
すでに手中に収めたのに
まだ願いまだ祈る
言い張る
ほしがる
たりないことを
見つけだしてきて
たりていることを
見えなくしてしまう
おれはおのれの迷妄無明に
またもや
一生涯を費やしてしまった
夏の夜
其処を一気に抜け出した
コト座のペガと
ワシ座のアルタイルが
ちろちろ輝く
***
ひたすら足りないことを見つけ出してきて、足りていることを見えなくしてしまう。人ごとみたいに言うけれど、そうすることをみんな山鳩暮風の一生の仕事にしてきたのだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます