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ショートエッセー「烏の勘三郎」 第二回

2017年12月31日 09時49分55秒 | Weblog

 一方で犯しがたい面も備えていて、古来、熊野の神の使いとして崇められても来た。奥深い森には烏天狗が棲み着いている。烏の鳴き声、鳴き方でその日の吉凶を占ったりして、嘗ては暮らしに浸透していたようだ。
 年を取って目尻にできる細い皺のことを「烏の足跡」と呼ぶ。黒艶のある髪は「烏の濡れ羽色」をした「烏の髪」とも言う。「烏の行水」はすぐに湯から上がって来る人のこと。昔の人は、「口がうるさい人」「物忘れをする人」「意地の汚い人」を「烏」と呼んだ。今のわたしに当て嵌まる。だったら同類だ。
 ただし、烏は親孝行をする鳥で、成長した後でも親鳥に餌を運んで来て食べさせるところがあるらしい。育ててもらった親の恩を忘れない。ここは偉い。烏にも美点がある。
 因みに「烏の勘三郎」は親しみを込めた愛称である。心優しかった頃の日本人の。

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