臭いものにふたをする

　臭いものにふたをする、という表現は、否定的なニュアンスで使われる。面倒なことを見ないふりをしてごまかす、という意味合いで。
しかし、臭いものにふたをするのは当然のことだ。公衆衛生とはまさに、臭いものにきちんと蓋をして封じ込めて、生活圏と隔離することにある。

　適切に蓋をすることは必要だ。それは、比喩的な意味においてもだ。つまり、日常の中の、いやなこと面倒なこと、それを言ったらおしまいでしょ、ということは、適切に封印しておく必要がある。

　一方で、なかったこと、にしてもいけないと思う。封印したことを記録し、記憶し、対処の方法を継続的に考えていくべきだ。