なんでそうなるのか

青森県八戸市で公務員試験塾オクトを主催する岡政也のブログです。

学者の書く新書本

2012-05-13 13:21:17 | インポート

かつて学者の書く新書本は、本格的な学問の入門書として機能していたと思う。

いきなり学術論文では敷居が高すぎるので、理解するのに必要となる周辺知識をさらいながら、学説を素人にもわかりやすく解説する。

そんな本は、今でもあるが、圧倒的に多くなったのが、「学者のただの主観を述べたもの」といった新書だ。

どこまで読んでも学術的根拠は見当たらず、ただ、自分の思想信条を主張しているだけ、の本。まあこれも、共鳴できる考え方、深い洞察や考察がちりばめられた内容なら読むに値する。しかし、ただの床屋談義を、学術用語で飾り立て、怪しげなレトリックまで駆使している本も多く散見するようになった。

これは新書本の功罪のうちの「罪」の方だろう。

アカデミックな肩書がある分だけ、余計にたちが悪い。

情報があふれればあふれるほど、情報に振り回されない主体的判断が必要となる逆説の中に、我々の時代はある。