The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『ガーンジー島の読書会の秘密』

2021-11-23 | 映画
”The Guernsey Literary and Potato Peel Society”

2018年
フランス・イギリス合作

メアリー・アン・シェイファー&アニー・バロウズの同名ベストセラー原作の映画化作品です。
何となく気にはなっていたのですが、正直なところマシュー・グードが出演しているという事に
釣られまして・・・。

キャスト;
監督:マイク・ニューウェル
脚本:トーマス・ベズーチャ
出演:
ジュリエット・アシュトン:リリー・ジェームズ
ドーシー・アダムズ:ミキール・ハースマン
マーク・レイノルズ:グレン・パウウェル
エリザベス・マッケンナ:ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ
シドニー・スターク:マシュー・グード
アメリア・モーグリ―:ペネロープ・ウィルトン
エベン・ラムジー:トム・コートネイ
アイソラ・ビルビー:キャサリン・バーキンソン


概要は、
第2次世界大戦直後のイギリスの島を舞台に、ある作家が魅了された読書会をめぐるミステリー。
第2次世界大戦中、イギリスで唯一ナチスドイツに占領されたチャンネル諸島の1つであるガーン
ジー島。そこに暮らす人々の支えとなっていたのが、島での読書会とその創設者であるエリザベ
スという女性の存在だった。人と人の心を本がつないだ事実に強く興味を抱いた作家のジュリ
エットは、読書会に関する記事を書こうと島を訪ねるが、島にはエリザベスの姿はなかった。
読書会のメンバーと交流をしていく中で、ジュリエットは彼らが重大な秘密を隠していることに
気づいてしまう。
タイトルにある”The Guernsey Literary and Potato Peel Society” とは「ガーンジー読書とポテ
トの皮のパイの会」と言った意味で、何故この名前の読書会が出来たのか経緯は冒頭で描かれ
ています。



”ポテトピールパイ”というのは、占領下食料不足のなかバターも小麦粉も手に入らず、ジャガイ
モとジャガイモの皮だけで作られたパイで、ジンで流し込まなければ食べられたものではないシ
ロモノだった様。

男性名義で書いた小説がベストセラーとなった小説家で、ロンドンに住むジュリエットは、ある
時ガーンジー島のドーシーから手紙を受け取る。 彼が手に入れたチャールズ・ラムの随筆集に
彼女の名前と住所が記されていた為で、その内容はガーンジー島に書店が無い為 ロンドンの書
店を紹介して欲しいという頼みだった。

ガーンジー島での読書会のエピソードに感銘を受けたジュリエットは記事にすべく1人ガーン
ジー島へやってくる。

しかし、読書会のメンバーは記事にする事は反対で、又そこには会の発起人であるエリザベス
の姿はなかった。
そして、彼等は重大な秘密を持っている様でジュリエットを受け入れようとはしなかった。

幼い娘キットをドーシーに託して姿を消したエリザベスの行方に興味を持ったジュリエットは婚約
者であるマークの手も借りながらその行方を追う事になる。

ミステリ要素は途中からラブストーリーの傾向が大きな要素になってくるのは少しばかり肩透か
しの感もありますが、
しかし、
豪華な衣装に包まれ、華やかなパーティーを楽しむ戦争直後のロンドンの華やかな様子と未だに
戦争の傷が癒えない貧しいガーンジー島の人々の生活の対比。
又、登場場面は少ないものの、自分の意志を貫いて行動したエリザベスの存在感が大きく感じら
れます。

又、ジュリエットに関わる3人の男性の対比も興味深い。



ジュリエットの才能を生かし、戦争で家族を失ったジュリエットを公私ともに支えるシドニー。
大切な庇護者ではあるけど、残念ながらシドニーは男性専科(?)
ジュリエットがマークと婚約した事を知らせると、シドニーは彼女に「幸せ?」と聞くのです。
「幸せよ」と答えるジュリエットに、「君が幸せなら、僕も幸せ!」と返します。ジュリエット
の事を心から心配している様子が最高です。



ジュリエットと婚約するマークは裕福なアメリカ人軍人で、豪華な花束を送り、華やかなパー
ティーでジュリエットを大切にし、ガーンジー島へ1人出発するジュリエットに豪華な婚約指輪
(大きなダイヤ?付き)を送りプロポース。ジュリエットもそれを受け入れる。



一方、ガーンジー島のドーシーは、エリザベスから幼い娘のキットを託され、大切に育てなが
ら貧しい生活を送っている。破れたセーターを着ているし、住んでいる家はボロボロ。
しかし、初めてジュリエット会った時持ってきた野に咲く花は、マークの豪華な花束よりジュリ
エットの気持ちを動かした(に違いない←個人の感想) ボロは着ててもイケメンのドーシー。

途中からタイトルにある「読書会」からは逸れて行きますが、幼いキットやエベンの孫のイーライ
を通して、戦争の悲惨さや、子供達が受けた犠牲等も知る事になり、又エリザベスやジュリエット
の様に自立して自分の意志を貫く女性の姿が描かれています。
又、エンドロールでは、読書会でのキットも含む朗読の音声が使われており最後迄楽しむ事がで
きます。
「本は人を惹きつける力がある」、この言葉が印象的です。

ところで、出演者を見て嬉しいのは、前回書いた『ダウントン・アビー』のメンバーが4人も共演し
ている事。

ローズのリリー・ジェームズ
ヘンリーのマシュー・グード


シビルのジェシカ・ブラウン・フィンドレイ
イザベルのペネロープ・ウィルトン

(それにしても、ペネローペ・ウィルトンのアクセントがイザベルの時と全く違う。当たり前ですが・・・)。 
その土地の方言や訛りの違いばかりでなく、階級によるアクセントの違いもあるので、英国の俳優さんは
大変だと思いますね。

原作は、
『ガーンジー島の読書会」 (上/下) – 2013/11/29

メアリー・アン・シェイファー&アニー・バロウズ(著), 木村博江(翻訳)