知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

動機付けを認めた事例

2012-10-30 23:01:27 | 特許法29条2項
事件番号 平成24(行ケ)10129
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年10月17日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 真辺朋子,田邉実
特許法29条2項 動機付け

 そして,甲第1号証に記載された甲1発明も,甲3発明と同じく,運転者の操作(運転)傾向を把握,分析するために車両の挙動に関する情報を収集,記録する装置に関するもので,技術分野が共通する。

 当該発明によって解決しようとする技術的課題も
  甲1発明が運転者の操作(運転)傾向をより適切に把握するべく,「道路状況に左右されないで,運転者の運転状況を把握するのに有効な,加減速の履歴情報を含む車両運行データを収集することのできる車両運行データ収集装置を提供すること」にあるのに対し,
  甲3発明は「スピードの出し過ぎや急発進・急制動の有無乃至その回数を予め設定された基準値を基に自動判定し,また走行距離を用途別(私用,公用,通勤等)に区分して把握してドライバーの運転管理データを得るシステムを提供する」(2頁)こと等にあって,
運転者の操作(運転)傾向を分析する上でより有用,効果的な情報を収集,記録するための手段を提供するためのものである点で重なり合うものである。

 そうすると,運転者の操作(運転)傾向を把握,分析するために車両の挙動に関する情報を収集,記録する装置の技術分野の当業者にとっては,甲1発明を甲3発明に適用する動機付けがあると解して差し支えない

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