知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

明示のない課題を認定した事例

2011-12-23 22:49:03 | 特許法29条2項
事件番号  平成23(行ケ)10169
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成23年12月14日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 中野哲弘

4.当裁判所の判断
・・・
ウ 取消事由3(進歩性判断の誤り)について
(ア) 「周知の課題についての認定の誤り」につき
 原告は,仮に巻寿司の彩りに変化をつけようとするという課題が周知であったとしても,甲1には巻寿司の見栄えや色彩の考慮についての記載がないので,審決が甲1発明に巻寿司の彩りに変化をつけようとする課題が存在すると認定したことは誤りであると主張する。
 しかし,審決は,巻寿司の彩りに変化をつけようとすることが本願出願前に周知の課題であることを根拠に,漬物を芯に含む巻寿司である甲1発明にも上記課題が存在したと判断するものであって,甲1自体に巻寿司の見栄えや色彩についての記載がありその記載から甲1発明に巻寿司の彩りに変化をつけようとする課題が存在すると認定するものではない。そして,巻寿司の彩りに変化をつけようとすることが周知の課題であれば,巻寿司についての発明である甲1発明においても,その彩りに変化をつけようとする課題はあるといえるので,たとえ,甲1に巻寿司の見栄えや色彩についての記載が存在しなくとも,周知の課題を根拠に甲1発明に巻寿司の彩りに変化をつけようとする課題が存在するとした審決の判断に誤りはない

<被告引用判決>
引用文献には課題が明記されていないものの,課題が自明であるか容易に着想しうる場合において発明の進歩性は否定されるとした裁判例として,
東京高裁平成8年5月29日判決(平成4年(行ケ)第142号
東京高裁平成9年10月16日判決(平成7年(行ケ)第152号),
知財高裁平成21年9月15日判決(平成21年(行ケ)第10003号)-第35ページ
知財高裁平成22年4月19日判決(平成21年(行ケ)第10268号)-第36ページ
知財高裁平成23年7月27日判決(平成22年(行ケ)第10352号)-第26ページ
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