知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

構成と効果の関係を適切に評価していない審決

2007-01-29 07:04:31 | 特許法29条2項
事件番号 平成17(行ケ)10325
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成19年01月18日
裁判所名 知的財産高等裁判所
裁判長裁判官 塚原朋一

『 審決は,構成要件(A)(B)を備えることにより,構成要件(C)(E)(G)(H)等の手段,手順を採用することが可能となり,それに伴い,トンネル切羽断面上の全作業基準点が直接照射されるため,正確なマーキングを行うことが可能になって,余掘り・アタリを大幅に減少させることができるとの格段の作用効果を奏すると判断している。
しかしながら,構成要件(A)についての審決の判断が誤りであることは前記判示のとおりである。また,審決は,本件発明と甲1発明との一致点については明示的に認定しておらず,相違点についても「少なくとも以下の点で相違している」としているのみで,構成要件(B)(D)(F)(G)(H)(I)については前提となる対比判断をしないまま,本件発明の作用効果として(G)(H)に言及して判断をしている。審決が認定した作用効果は,トンネル切羽断面上の全作業基準点を直接照射することから生ずるものであり,主として構成要件(F)(G)(H)に関する事項であるが,審決は,これらの構成要件について甲1発明などとの対比判断をしていない。このように,対比判断を行っていない構成要件に基づいて,格段の作用効果があるとして,本件発明の進歩性を否定できないとした審決には結論に影響を及ぼす誤りがあるというべきである。』

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