知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許法36条6項2号の記載要件の判断事例

2009-08-02 09:28:07 | Weblog
事件番号 平成20(行ケ)10237
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成21年07月29日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明

6 取消事由24(特許請求の範囲の記載要件違反に関する判断の誤り)について
 当裁判所は,特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号の要件に違反するとした審決の判断は誤りであると判断する。以下,その理由を述べる。
(1) 請求項17を見ると,「図柄の配置」が「図柄」と対応付けられているとの記載は,①「図柄の配置」が「図柄の配置」に対応すると記載すべきところの誤記であるか,②「図柄」が「図柄」に対応すると記載すべきところの誤記であるのか,その意味が不明確であり,その技術的意義を特許請求の範囲の記載のみからは一義的に明確に理解することができない

(2) 本件特許明細書の記載
そこで,請求項17の上記記載事項の技術的意義を理解するに当たって,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌するに,本件特許明細書(甲18)には,次のような記載がある。
 ・・・
 このような本件特許明細書の詳細な説明の記載を参酌すると,請求項17における「前記各表示列の図柄の配置は,前記各メインリール毎に異なる種類の図柄と対応付けられている」との記載事項については,「図柄」が「図柄」に対応付けられているとの意味であると理解することができるから,特許を受けようとする発明が不明確であるとはいえない
 したがって,請求項17の上記記載事項の意味が不明確であるから請求項17及びそれを引用する請求項18及び19に係る本件発明は,特許法36条6項2号の要件に違反し,無効であるとした審決の判断は,誤りであるといえる。

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