知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

動機付けが否定された事例

2008-10-31 06:34:21 | 特許法29条2項
事件番号 平成19(行ケ)10238
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成20年09月29日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 中野哲弘

(3) そこで, 引用発明における「微小間隙G1」を拡げて本願補正発明における「間隙(20)」と同様に蓋板の平行移動及び斜め移動を許容するものとし,相違点2にかかる構成を備えることが当業者に容易であるかについて更に検討する

ア 既に認定したとおり,引用発明は,平面と角部との接触や,傾斜面を対称にするなどの本願補正発明と類似の構成のほかに,傾斜面部3a,3bの傾斜角度を40°~80°とすることにより蓋傾斜面部10a,10bと傾斜面部3a,3bとが相互に一方が他方に食い込むような楔効果を生じさせるものであり,この楔効果は本願補正発明にはみられない引用発明独自の効果である。換言すれば,引用発明は本願補正発明とは異なる上記構成を採用することにより,側溝躯体1側の接合面と側溝蓋8側の接合面との間の誤差を吸収するという発明の目的を達成しているものである。

 そうすると,引用発明においては更に側溝蓋8の斜め移動を可能として自動調心作用を働かせる必要はなく,引用発明における「微小間隙G1」を拡げて蓋板の平行移動及び斜め移動を許容するものとする動機付けは存在しない

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