知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

主引用発明の目的に反する相違点の構成の採用

2011-03-05 21:21:00 | Weblog
事件番号 平成22(行ケ)10162
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成23年02月24日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平

(2) 本件発明1の「折り曲げ部」の構成については,曲げる角度が90度よりも小さな角度になる場合も含まれると解されるが,縫いボールと同様の溝を形成するという発明の目的や,「折り曲げ」の語意を考慮すると,単に曲げられているだけでなく,相当程度大きな角度で曲げられるべきものと解される。
 そうすると,仮に,引用発明1の皮革片の周縁部分に「折り曲げ部」の構成を採用した場合,「折り曲げ部」において相当程度大きな角度で曲げられることになり,それよりも内側の部分は平坦に近い状態になってしまうから,大きな隆起を形成することができなくなり,引用発明1の「隆起部分」の形成という目的に反することになる

(3) さらに,縫いボールにおいて,「折り曲げ」は,縫うことによって必然的に生じるものであり,両者は一体不可分の構成ということができる。したがって,折り曲げ部を有する縫いボールが周知であるとしても,このうち折り曲げる構成のみに着目し,これを縫いボールから分離することが従来から知られていたとは認められず,これが容易であったということもできない。

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