知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

技術分野と技術的課題の共通性

2013-02-09 09:37:30 | 特許法29条2項
事件番号 平成24(行ケ)10174
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年12月19日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 真辺朋子,田邉実

 審決は,・・・,相違点3,4は更に甲第3ないし第5,・・・に記載の発明ないし技術的事項を適用しても,当業者が容易に解消することができず,結局,本件発明は当業者において容易に発明することができるものではないと判断した。
・・・
 そして,甲第4,第5号証は,コンピュータで画像(ファイル)を作成するグラフィックソフトウェアに関する文献であるから,水中で光源から光を照射して集魚する発明である甲1発明とは技術分野が異なる上,光源を避けて魚群がドーナツ状に遠巻きに集まるため,漁獲効率が悪かったという従来の集魚灯の欠点を回避すべく,魚をより多く,より長時間集合させて,漁獲効率の向上を図るという甲第1号証の技術的課題(甲1の1頁右下欄~2頁右上欄)は,甲第4,第5号証には記載も示唆もなく,技術的課題に共通性がない
・・・
 なお,本件優先日当時,甲第4,第5号証に記載されているような,・・・機構を用意することが,集魚灯,水中灯を含む照明器具の技術分野のみならず,色の調整,選択を行う各種の技術分野においてごくありふれたものであったとまで認めるに足りる証拠はないから,甲第4,第5号証に代表されるような当業者の技術常識,慣用技術を適用すれば,本件優先日当時,当業者において相違点3の解消が容易であったともいうことができない

 結局,甲1発明に甲第4,第5号証に記載の発明ないし技術的事項を適用することにより,当業者が本件発明にいう「発光波長ボリューム部の設定位置に対応する発光状態を直感的に図示する波長スケール部」の構成に想到することは容易でなく,したがって相違点3の解消が当業者に容易であるとはいえない。

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