事件番号 平成17(ワ)16218
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成20年01月31日
裁判所名 東京地方裁判所
裁判長裁判官 設樂隆一
『7 争点8(信義則違反の有無)について
被告は,原告らが,本件土地宝典の著作権を損害賠償請求権と共に譲り受け,その数年後に権利を行使したのは,信義則に反し,権利の濫用である,と主張する。
しかし,本件に顕れたすべての証拠を精査検討しても,原告らの損害賠償請求権の行使が信義則に反し,権利の濫用に当たると認めるに足りる証拠はなく,被告の主張は失当である。
被告は,Cが法務局における第三者による無断複製行為を黙認していたと主張する。しかし,そのような事実を認めることができないことは既に述べたとおりである。
また,権利者が権利を行使するかしないか,行使するとしてもそれをいつ行使するのかは権利者の自由であり,権利者が一定期間権利を行使しなかったことは消滅時効制度によって権利者に不利益となるのが原則であり,権利の濫用を基礎付ける有力な事情の一つとして評価されるのは例外的な場合に限られるというべきである。
本件においても,原告らは,後に述べるとおり,一定期間権利を行使しなかったことにより,消滅時効制度により不利益を被っているのであり,それ以上に,これを権利の濫用を基礎付ける有力な事情の一つとして評価して,自ら不法行為を継続した被告を救済すべき事情は見当たらない。』
事件名 損害賠償請求事件
裁判年月日 平成20年01月31日
裁判所名 東京地方裁判所
裁判長裁判官 設樂隆一
『7 争点8(信義則違反の有無)について
被告は,原告らが,本件土地宝典の著作権を損害賠償請求権と共に譲り受け,その数年後に権利を行使したのは,信義則に反し,権利の濫用である,と主張する。
しかし,本件に顕れたすべての証拠を精査検討しても,原告らの損害賠償請求権の行使が信義則に反し,権利の濫用に当たると認めるに足りる証拠はなく,被告の主張は失当である。
被告は,Cが法務局における第三者による無断複製行為を黙認していたと主張する。しかし,そのような事実を認めることができないことは既に述べたとおりである。
また,権利者が権利を行使するかしないか,行使するとしてもそれをいつ行使するのかは権利者の自由であり,権利者が一定期間権利を行使しなかったことは消滅時効制度によって権利者に不利益となるのが原則であり,権利の濫用を基礎付ける有力な事情の一つとして評価されるのは例外的な場合に限られるというべきである。
本件においても,原告らは,後に述べるとおり,一定期間権利を行使しなかったことにより,消滅時効制度により不利益を被っているのであり,それ以上に,これを権利の濫用を基礎付ける有力な事情の一つとして評価して,自ら不法行為を継続した被告を救済すべき事情は見当たらない。』