知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許法102条1項と同条3項の関係

2013-04-14 23:27:19 | 特許法その他
事件番号 平成21(ワ)23445
事件名 特許権侵害差止請求事件
裁判年月日 平成25年01月31日
裁判所名 東京地方裁判所  
権利種別 特許権
東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 大鷹一郎、裁判官 上田真史,石神有吾

 そして,特許法102条1項は,侵害者の侵害行為がなければ権利者が自己の物を販売することができたことによる得べかりし利益(逸失利益)の損害額の算定方式を定めた規定であって,侵害者の侵害行為(特許権の実施行為)がなかったという仮定を前提とした損害額の算定方式を定めた規定であるのに対し,同条3項は,侵害者の特許権の実施行為があったことを前提として権利者が受けるべき実施料相当額の損害額の算定方式を定めた規定であって,両者は前提を異にする損害額の算定方式であり,一つの侵害行為について同条1項に基づく損害賠償請求権と同条3項に基づく損害賠償請求権とが単純に並立すると解すると,権利者側に逸失利益を超える額についてまで損害賠償を認めることとなり,妥当でないというべきであるから,原告日環エンジニアリングの上記損害賠償請求権(同条1項の類推適用に基づく損害額の損害賠償請求)と原告キシエンジニアリングの上記損害賠償請求権(同条3項に基づく損害額の損害賠償請求)とは,その重複する限度で,いわゆる不真正連帯債権の関係に立つものと解するのが相当である。

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