事件番号 平成21(ネ)10028
事件名 特許権侵害差止等請求控訴事件
裁判年月日 平成22年04月28日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 滝澤孝臣
(4) 本件特許権の共有者との関係
ア 本件特許は,控訴人と熊谷組との持分を各2分の1とする共有特許であるところ,控訴人のみが本件特許権を実施しており,熊谷組は本件特許権の実施をしておらず,第三者に実施許諾を行ったこともないことが認められる(甲25)。
イ ところで,特許権の共有者は,持分権にかかわらず特許発明全部を実施できるものであるから,特許権の侵害行為による損害額も特許権の共有持分に比例するものではなく,実施の程度の比に応じて算定されるべきものである。そして,このことは,損害額の推定規定である特許法102条2項による場合も同様であるということができる。
ウ もっとも,本件特許権を実施していない熊谷組も,被控訴人に対して,実施料相当額の損害賠償請求を行うことができるものであったが(特許法102条3項),熊谷組は,同損害賠償請求権を控訴人に譲渡し,その旨の対抗要件が具備されており(甲24の1・2,甲25),熊谷組から被控訴人に対して本件特許権侵害による損害賠償請求が行われることはもはやあり得ないことから,控訴人が,本件訴訟において,本件特許権侵害によって請求し得る損害額は,被控訴人が被控訴人製品を賃貸したことによって得た利益の全額ということになる。
事件名 特許権侵害差止等請求控訴事件
裁判年月日 平成22年04月28日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 滝澤孝臣
(4) 本件特許権の共有者との関係
ア 本件特許は,控訴人と熊谷組との持分を各2分の1とする共有特許であるところ,控訴人のみが本件特許権を実施しており,熊谷組は本件特許権の実施をしておらず,第三者に実施許諾を行ったこともないことが認められる(甲25)。
イ ところで,特許権の共有者は,持分権にかかわらず特許発明全部を実施できるものであるから,特許権の侵害行為による損害額も特許権の共有持分に比例するものではなく,実施の程度の比に応じて算定されるべきものである。そして,このことは,損害額の推定規定である特許法102条2項による場合も同様であるということができる。
ウ もっとも,本件特許権を実施していない熊谷組も,被控訴人に対して,実施料相当額の損害賠償請求を行うことができるものであったが(特許法102条3項),熊谷組は,同損害賠償請求権を控訴人に譲渡し,その旨の対抗要件が具備されており(甲24の1・2,甲25),熊谷組から被控訴人に対して本件特許権侵害による損害賠償請求が行われることはもはやあり得ないことから,控訴人が,本件訴訟において,本件特許権侵害によって請求し得る損害額は,被控訴人が被控訴人製品を賃貸したことによって得た利益の全額ということになる。