大河ドラマ「光る君へ」に登場する中宮彰子(見上愛)が「源氏物語」の「葵上」にあたる役柄らしい。となると「六条御息所(ろくじょうみやすどころ)」は誰?と思うのだが、これは今後、「六条御息所」にあたる人が出てくるのか来ないのかドラマの展開次第といったところか。
それはさておき、能「葵上」には葵上本人は出て来ないが、「六条御息所」の生霊がシテとして登場する。「能楽研究の開拓者」とも呼ばれる野上豊一郎は、東京帝大時代の明治41年、高浜虚子に誘われて靖国神社の能楽堂で行われた能を鑑賞した。その時、能「葵上」のシテを演じた、肥後の能役者で、明治の三名人の一人、金春流・桜間伴馬の芸に魅せられ、能楽にのめり込むことになった。下の動画は、昭和10年、野上豊一郎監修による能楽映画「葵上」。鉄道省観光客局が日本の文化を海外に宣伝するための国策映画で、初めての能のトーキー映画。英語・ドイツ語・フランス語版が作られた。シテを務めたのは櫻間伴馬の次男、櫻間金太郎(後の弓川)。ワキは下掛寶生流の寶生新。夏目漱石に謡の指導をしたことでも知られる。他にもアイ狂言や小鼓など、後の人間国宝が5人もいる。
野上豊一郎は大分県臼杵の出身で、東京帝大時代に夏目漱石に師事した。後年、法政大学総長を務め、今日の「野上記念法政大学能楽研究所」の母体を作った。妻は小説家の野上弥生子。もともと英文学者だった野上豊一郎は英国文学の翻訳もやっていて、大正15年には、ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を翻訳している。2005年に公開された映画「プライドと偏見」の原作だ。
それはさておき、能「葵上」には葵上本人は出て来ないが、「六条御息所」の生霊がシテとして登場する。「能楽研究の開拓者」とも呼ばれる野上豊一郎は、東京帝大時代の明治41年、高浜虚子に誘われて靖国神社の能楽堂で行われた能を鑑賞した。その時、能「葵上」のシテを演じた、肥後の能役者で、明治の三名人の一人、金春流・桜間伴馬の芸に魅せられ、能楽にのめり込むことになった。下の動画は、昭和10年、野上豊一郎監修による能楽映画「葵上」。鉄道省観光客局が日本の文化を海外に宣伝するための国策映画で、初めての能のトーキー映画。英語・ドイツ語・フランス語版が作られた。シテを務めたのは櫻間伴馬の次男、櫻間金太郎(後の弓川)。ワキは下掛寶生流の寶生新。夏目漱石に謡の指導をしたことでも知られる。他にもアイ狂言や小鼓など、後の人間国宝が5人もいる。
野上豊一郎は大分県臼杵の出身で、東京帝大時代に夏目漱石に師事した。後年、法政大学総長を務め、今日の「野上記念法政大学能楽研究所」の母体を作った。妻は小説家の野上弥生子。もともと英文学者だった野上豊一郎は英国文学の翻訳もやっていて、大正15年には、ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」を翻訳している。2005年に公開された映画「プライドと偏見」の原作だ。