徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

銚子大漁節のナゾ!

2018-12-12 16:12:27 | 音楽芸能
 幼い頃の事故がもとで左目を失明したラフカディオ・ハーンは、音に対して鋭敏だったという。NHKの「100分 de 名著~日本の面影~」では、ハーンの作品には「耳の文芸」といわれるほど聴覚でとらえた記述が多く、「日本の面影」においてもその特徴は顕著であるという解説があった。その鋭い聴覚でとらえた日本の音、日本人の声、日本の音楽などを通じて日本人および日本の文化を理解しようとしたのだろう。大黒舞や盆踊りや門付芸などにも興味を示したハーンが、自ら英訳して欧米に紹介したのが、千葉県銚子の民謡「銚子大漁節」である。しかし、ハーンが銚子を訪れた形跡はないという。はたしてどこでこの唄を聞いたのだろうか。銚子との接点があるとすれば、「仏の畠の中の落穂拾い」という短編集の中で、「A Living God(生ける神)」として銚子のヤマサ醤油七代目当主、濱口梧陵を紹介したことだ。大津波から村人を救ったという梧陵の物語を取材するなかで、「銚子大漁節」の存在を知ったのかもしれない。その経緯は銚子でもいまだに謎らしい。

   ラフカディオ・ハーンの英訳詩を字幕に付けてみました。

一つとせ 一番船に 積み込んで 川口押込む 大矢声 浜大漁だネ
二つとせ 二葉の沖から 戸川まで 続いて寄せ来る大鰯 この大漁船
三つとせ 皆一同に まねを上げ 通わせ船の賑やかさ 浜大漁だネ
四つとせ 夜ひる焚いても たきあまる 三ばい 一挺の大鰯 浜大漁だネ
五つとせ 何時来ても 干鰯場は あき間も 隙間も 更にない
六つとせ 六つから六つまで 粕割が 大割 小割で 手にあまる
七つとせ 名高き利根川 高瀬船 粕や油を積送る 浜大漁だね
八つとせ 八つだの沖から 若い衆が 万祝衣 揃えて 宮参り
九つとせ この浦守る川口の 明神 ご利益 あらわせり
十とせ  十が重なりゃ 百となる 千両 飛びこす 万両船