この熊本城薪能が今年最後の観能になるだろう。今年は4月、熊本地震直前の健軍神社「花の薪能」に始まり、8月の水前寺成趣園「出水神社薪能」、9月の藤崎宮例大祭「段山御旅所奉納能」、そしてこの熊本城薪能と4回観ることができた。この数年、だいたい年に3、4回だが、熊本にいると神事能で能を楽しめるのがありがたい。
さて、この熊本城薪能は肥後細川家の御流儀だった金春流と喜多流が一年おきに出演していて、今年は喜多流の番。昨年の「出水神社薪能」で金春流の「羽衣」を観たので、今回の喜多流の「羽衣」との違いに注目したのだが、技術的な違いは正直わからない。ただ、観終った後の印象はかなり違った。今回のシテ方・狩野了一の天女が飛翔しながら揚幕に消えて行った後、不思議な余韻が残った。
この熊本城薪能は場所的に重文に近いという理由で火気厳禁のため、薪能とは言いながら、かがり火がなく、やや風情に欠けるのが残念。数年前に竹の丸でやっていた頃はかがり火を焚いていた記憶があるので腑に落ちない思いはあるのだが。
今年は熊本地震の影響で、開催時期が11月にずれ込み、さらに数日前から冷え込みが強くなったこともあってとにかく寒かった。予想をして着込んで行ったのだが、観客の中には結構軽装の人もいて、寒い思いをされたと思う。来年はまた10月中旬前に戻してもらいたい。
※写真をクリックすると動画を再生します
◇地謡
東遊の数々に。その名も月の色人は。三五夜中の空に又。満願真如の影となり。御願円満国土成就。七宝充満の宝を降らし。国土にこれを。ほどこし給ふさるほどに。時移つて。天の羽衣。浦風にたなびきたなびく。三保の松原、浮島が雲の。愛鷹山や富士の高嶺。かすかになりて。天つ御空の。霞にまぎれて。失せにけり。
さて、この熊本城薪能は肥後細川家の御流儀だった金春流と喜多流が一年おきに出演していて、今年は喜多流の番。昨年の「出水神社薪能」で金春流の「羽衣」を観たので、今回の喜多流の「羽衣」との違いに注目したのだが、技術的な違いは正直わからない。ただ、観終った後の印象はかなり違った。今回のシテ方・狩野了一の天女が飛翔しながら揚幕に消えて行った後、不思議な余韻が残った。
この熊本城薪能は場所的に重文に近いという理由で火気厳禁のため、薪能とは言いながら、かがり火がなく、やや風情に欠けるのが残念。数年前に竹の丸でやっていた頃はかがり火を焚いていた記憶があるので腑に落ちない思いはあるのだが。
今年は熊本地震の影響で、開催時期が11月にずれ込み、さらに数日前から冷え込みが強くなったこともあってとにかく寒かった。予想をして着込んで行ったのだが、観客の中には結構軽装の人もいて、寒い思いをされたと思う。来年はまた10月中旬前に戻してもらいたい。
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◇地謡
東遊の数々に。その名も月の色人は。三五夜中の空に又。満願真如の影となり。御願円満国土成就。七宝充満の宝を降らし。国土にこれを。ほどこし給ふさるほどに。時移つて。天の羽衣。浦風にたなびきたなびく。三保の松原、浮島が雲の。愛鷹山や富士の高嶺。かすかになりて。天つ御空の。霞にまぎれて。失せにけり。