徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

花は散らで残りしなり

2016-07-26 19:52:29 | 音楽芸能
※秀鵬の秀は、正しくは「王」へんに「秀」

 シテ方喜多流能楽師の狩野秀鵬さんが亡くなった。僕は能の鑑賞歴がまだ短く、秀鵬さんの舞台は仕舞を何度か拝見したに過ぎない。実に品格を漂わせる舞だった。しかし、シテ方としての能をとうとう見ることができなかった。それが残念でならない。
 狩野家は代々細川家お抱えの絵師の家系だったのだが、秀鵬さんの父勇雄さんが能楽師に転身。秀鵬さんもその後を継いだ。現在は息子の了一さん、孫の祐一さんも能楽師として活躍している。
 秀鵬さんは、国内はもとより、海外においても能の普及に尽力された。フランスやドイツなどヨーロッパ各地で公演し、特にフランスのエクサンプロバンス市には能舞台を寄贈、その縁もあって熊本市とエクサンプロバンス市は2013年に交流都市を締結した。下の写真は、20数年前、ドイツのハイデルベルグ公演時に市長を表敬訪問した時の写真で、その時、秀鵬さんをアテンドした森浩さんよりご提供いただいたものである。
 立派な後継者も育てられたので、思い残すことはなかったのではないだろうか。享年79歳 合掌

まことに得たらん能者ならば、花は散らで残りしなり。 「風姿花伝 by 世阿弥」より