7月9日
今朝、目を覚ます頃、ひやりとした風が窓から入り込んで、
そのせいで急に、小さい頃に遊んでいた祖父母の家の裏庭を思い出した。
高い杉木立に隔てられた藤棚のある庭と、祖父のちいさな畑、その北側には竹薮。
杉の下の熊笹の群れ、お稲荷さんの鳥居、歩きやすいようにとたぶん祖父が埋めた飛び石。
杉並木の下の木陰は、いつもちょっと湿っているような空気で、ひやりと涼しくて、
夕方には一番先に、暗く、怖い感じになる場所だった。
杉の向こうに、中には入ったことのない蔵がひっそりとあったから、尚のことだった。
頭に浮かぶのは、思い出したのさえ、初めての構図。
あの鬱蒼とした森が今もあったら、となぜか思った。(なぜだろう?)
(それだけ、といえば、それだけの話。)
(ゆ)