虫干し映画MEMO

映画と本の備忘録みたいなものです
映画も本もクラシックが多いです

フリークス (1932/米)

2004年09月19日 | 映画感想は行
監督:トッド・ブラウニング

 この映画はなんだかあれこれ言う口を封じてしまう。出演が、今の映像処理なんかでなく、みんな「フリークス」…いわゆる健常でない、小人である、手足がないといった不具というものを見世物にしていた本物の人たちなのだ。

 オープニングで、映画制作の意図について長々説明が入る。ストーリーとしては自分を見せものにしているフリークスたち(不具者たち・・・と言っていいのだろうか?運命のいたずらで健常でない五体を持ってしまった人々)のいるサーカスの中の話。花形スターが、財産を持った小人と結婚して毒を盛って殺し、財産のっとりを図る。しかしもくろみは露見し、彼女も、その恋人も復讐される。

 映像がすごい。これはもう本物の迫力としか言い様がない。手足のない人が煙草の火をつけるシーン。そばで話してる手をもった人も手伝ったりなんぞしない。上半身だけで生きてる人、わかんない言葉をしゃべりまくるピンヘッドさん、有名なヒルトン姉妹(シャム双生児)。

 フリークスたちが嵐の中を花形スターを追うシーンがあり、確かに異形のものに追われる、そのことの恐ろしさは感じてしまう。追われるほうが悪役であっても。しかし、これは見るほうの持つ意識を投影するシーンだな、とも思う。製作側のもくろみはどうであれ、今見て何を感じるかは、それぞれの心の底に持っているものによるのだろう。