虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

 自閉症の子たちのための幼稚園の見学   LAKESSIDE CENTER for AUTISM

2011-12-23 20:51:13 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

自閉症の子たちのための幼稚園を見学してきました。

センターのなかには、さまざまな目的で使われているたくさんの部屋があります。

自閉症の子6人に対して、定型発達の子2人のグループでレッスンしている子たちもいましたが、

ひとりひとりの子どもが専門のセラピストとふたりで

自分の課題に取り組んでいる姿もあちこちで見られました。

↑子どもが自由な遊び方をして楽しむ手作りの教具。

背後には、らせん階段を登ってから

ジャンプする木製の教具があります。

 

 

↑幼稚園でのスケジュールの流れが

イラストで提示されているコーナー。

↑子どもが「ゲームをしたい」と言ったときは、

いくつかのなかからゲームを選ばせます。

他のおもちゃも同様です。

ドールハウスだけでも

何種類もあってびっくりです。

最初に「○○をしたい」と言ったら、

選ぶうちに、「やっぱり別のことがしたい」

と言うのは許されておらず、自分が最初に決めた枠のなかで

やりたいことを選ぶ練習をしているそうです。

 

 

 

施設のなかには三輪車や車といった乗り物もあって、

廊下で運転してもいいことになっていました。

 

 


日本に帰ってきました♪

2011-12-23 12:13:36 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)

今朝、日本に帰ってきました。

飛行機のなかから見た朝日です。

 

 

滞在先のお宅のクリスマスツリー。

家庭用といっても大きいですね。

 

 

カーテンの左側にマジックで四角が描いてあるんです。

わたしが泊まらせていただくことになっていた部屋に、

このお家の男の子が描いてくれました。

 

おばあちゃんに、「ナオミが来るから、窓を閉めても

ちゃんと窓が見えるように、窓を描いてあげてもいい?」と

たずねてOKを取っていたそうです。

真っ白いカーテンだったんですけど……マジックでしっかり……四角が描かれていました。

 

シアトルの科学館で。

恐竜も昆虫も天井に届くほどの大きさで動きます。

 

上着の袖をまくって、イソギンチャクに触れています。

水のなかの生き物(イソギンチャクやひとで)と触れ合えるコーナーです。

 

今日中に、海外の教育施設の記事をアップしますね。

 


事務Kのツブヤキ

2011-12-21 15:35:38 | その他

こんにちは~

今年最後の登場になるであろう事務Kです♪

先生からアメリカに行く前に『時間があればブログを頼む』と

言われた割に先生がいつもと変わらず記事を書かれてて

出番がありませんでしたね。

まぁ、私自身の年末調整がこの2週間にドバっとあって

かなり疲れていたのである意味ゆっくり出来て良かったです(´ω`)

 

寝ても寝ても寝足りない私は、きっと間もなく冬眠に入るのでしょう…

体重が増してきています(泣)

 

さて、クリスマスという一大イベントが近づいて参りましたね。

皆様はどう過ごされるのでしょうか?

やはりお家でパーティーが多いんでしょうかね。

御託に漏れず事務Kも自宅にてケーキを食す

というクリスマス気分だけを味わう予定です。

 

本当はお正月の方が厳かな気分になって好きなんですよね~

いつもなら人がいる気配がする所に人がいない

いつも以上に明かりが無くて綺麗に見える星空

耳を澄ませば人の気配を薄らと分かる感じが心地よい

そんな冬・冷たい空気が好きです(^∀^)

正月はひと際、上記の事を感じやすいんですよね♪

 

本当に単なるツブヤキになりました。

もっとまともな文章を書こうとしていたのになぁ…。

 

思った以上にアメリカを満喫されている奈緒美先生

クリスマスも味わえば良かったのに…と思いつつ、

御体の事を考えれば帰国してゆっくりして欲しいところです。

 

皆様もギックリ腰とかね…病にかからないように

年末ですからやることは山積みでしょうが、

しっかりお体を休ませてあげてくださいね☆彡

 

本当に今年も沢山の方にお会い出来た事に感謝し

また、様々な形で皆様にお世話になりました。

来年も先生に解雇されない限りは、御側で事務をする

つもりでおりますので、宜しくお願い致しますねm(_ _)m

 

皆様により多くの幸せが訪れくれますように…

そしてそれらを分かち合えますように…

 

それでは、本当に有難う御座いました。

そして、少し早いですが、また来年どこかでお会い致しましょう(^ω^)/¨


アメリカに住むことと算数の感性

2011-12-20 07:57:26 | 算数

シアトルの幼稚園で工作のワークショップを開いたときのこと、

ちょっとした算数の指遊びもしました。

すると、とてもしっかりしている4、5歳の子らも

目で見て、「3だな」「2だな」と直感的に気づいたり、

「あといくつで5かな?」「今、3つあるけど、その前に2つお友だちにあげたんだよ。

最初はいくつあったと思う?」と問われて

見えない数を推測することが苦手なようでした。

 

もちろん日本に住んでいる4、5歳児もそうした数の感性が身についている子もいれば

いない子もいます。

でも、アメリカに住んでいる子たちの反応を見て

「あれっ?」と感じたのは、

同じようなものの差異に日本にいる子たちのように注目しないんだな、

ということです。

2の指と3の指のちがいとか、

4人と5人のちがいといった

微妙な差異は、「おんなじようなもんじゃん!」といった

大雑把でざっくりした捉え方をしているように

見えるのです。

そうした小さな差異に注目しないというか、気づかないというか……。

そのことが気になって滞在先のAさんに、

「アメリカに来て、どこへでかけても、

ひとつひとつの物の個性はドーンと目に飛び込んでくるのだけど、

よく似たものの繊細な違いに気づいたり、

目で見るだけで数を感じるような体験が少ないような気がします」

と伝えました。

するとAさんも、「確かにアメリカでは小さな違いに意識を向けるなんてことはないかもしれない。

アメリカでは砂糖をほんの少しなんて言い方をしても

大きな注ぎ口からザーッと入れちゃいますからね。

スーパーで並んでいる商品はたいてい大袋に入っているし、

日本のように、ひとりいくつずつなんて考えずに

それを大皿に盛って取り分ける場合がほとんどですよ」

「それでは子どもは何かと何かの小さな違いや、

数の増減に気づく機会がなかなかないかもしれませんね。

アメリカでは算数の宿題をコンピューターのゲームでする学校もあるようだから、

そうして問題として提示されるものに

反射的に正しい答えを出すのはいずれ上手になっていくのでしょうね。

でも、体感として生活のなかで、

小さな差異に注目したり、それを話題にしたり、それについて意識する体験は

少ないのかもしれません。数の敏感期のようなものも

身近にいる人が子どもの環境や働きかけにちょっと気をくばってあげないと、

たとえ敏感な時期であっても、それが外にあらわれにくいように思いました。

 

<算数が得意になる幼児の暮らし> 過去記事から

 

幼児期、毎日のくらしのちょっとした工夫で、

算数大好き♪
算数が得意♪

という子になるコツを、いくつか紹介しますね。

算数が得意になるには、
「交換」に対するイメージが
とっても大事です。

中学生の関数の学習や方程式になっても、

ある点を別の言い方であらわしていく
ある数を別の言い方で言い換えていく

という交換のイメージがつかめているかが大事なんです。
もちろん、小学1年生の学習でも、小学校受験でも、
交換のイメージがきちっとつかめているかは、
重要課題です。

小学校受験の場合、きりんマーク1つ = 赤い丸2つ
         くまマーク1つ =赤い丸3つ

きりんマーク2つでは、赤い丸はいくつか
くまマーク3つでは赤い丸いくつか

といった問題を解く力が必要です。
小学生のくりあがりくりさがりでは、
1円10枚と10円ひとつを交換できることが
わかる力が必要。
もちろん高学年になっても、算数の難問は、
イメージを交換し続けていくことで解けていきます。

そんな大切な交換のイメージ……幼児期にたっぷり経験させてあげたいですね。

☆切符を買う

☆ガチャポンをする

☆自動販売機でジュースを買う

などは、普通の買い物より、交換がわかりやすい体験です。

また、コインやシールをいくつかためさせて、
何かと交換することを、生活の中で、ちょこちょこ増やすといいかもしれません。
大人の世界のクーポン感覚のものより、
遊び心がある楽しいものがいいです。

おりこうにしていると、宅配便が届いて、
3個ハンコを貯めたら、水遊びさせてあげるとか……

宅配便は、もちろんそこら辺にある空き箱です。

子どもは夢の世界に生きていますから、
あんまりリアルすぎる設定ではなく、
心が暖かくなるようなアイデアの中で、想像したり計算したりする
力が育ってきます。

子どもが開いている
ジュースやさんでジュースを3杯頼んで、
入れてもらったらキラキラした大きなコイン(折り紙製の巨大コイン)と交換というのもいいですね。

幼児教材等の大人の満足を想定したものは、
子どもの想像力を奪うことも多いと思います。

幼児は明るくて優しくて何でもできてしまう
不思議な世界に生きているので、
そうした世界に大人の方が入っていく必要があるのです。
そうすれば
たちまち算数も国語も理科も社会も、
子どもが自由に扱えるおもちゃになっていきます。

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2,3歳児向けの算数問題

 

4歳児と数遊び


3~6歳の子と数の遊び 物の形

 

算数のお店屋さん(年中さんグループ)

 

 

考えるための練習問題(分ける)4歳~7歳

 

 


自閉症の子のための幼稚園に行って来ました♪

2011-12-19 15:56:59 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

今日は自閉症の子のための幼稚園を見学させていただきました。

とても立派で大きな施設です。

施設内の設備にしてもプログラムにしても

とにかくすばらしくて圧倒されました。

 

施設長さん直々に施設内を案内してくださり、

ひとつひとつの部屋で行われているプログラムの内容を

くわしく説明してくださいました。

この施設長さんは、幼い頃、日本で過ごしていたことがある方で、大阪にも観光でいらしたことがあるそうです。

不思議な縁ですが、わたしが自閉症の子らと関るきっかけとなった女の子

(2歳の頃から我が子同然に十何年も関ってきた子)

と名前の語尾を伸ばす伸ばさないの差は

あったものの同じ名前でした。

 

子どものリードに従いながら、自然にさまざまな運動、遊び、工作、学習に取り組む工夫が

いっぱいありました。

この幼稚園には、

自閉症の子六人に対し、二人の定型発達の比率で、

子どもたちが通っています。

自閉症の子同士だと自然なコミュニケーションの形を学ぶことが難しいからだそうです。

アメリカでは、ハンディーのない定型発達のわが子を

こうした自閉症の子の施設に通わせたいと考える親がたいへん多く

2名の募集に100名が申し込む人気ぶりなのだそうです。

どうしてそんなに人気があるのか滞在先のAさんにたずねたところ、

幼児のうちから偏見や差別のない目で人と関っていける子どもを育てたいという

教育的な配慮から人気が高いのだそうです。

 

自閉症の子たちひとりひとりに、

言語面、運動面などの発達のスペシャリストがひとりついて、

それぞれの子の独自の課題を設定して関っていました。

 

たくさん写真を撮らせていただいたので、シアトルから帰宅後、

紹介させていただきますね。

おもちゃも教具もアートも

創意工夫に満ちていてとにかく素敵なんですよ♪

 

昨日はダウンタウンに買い物に行って来ました。

クリスマス前のすごい賑わいでした。

 

 

 


子どもの本質的な美点に気づいて褒めると、子どもが変わる

2011-12-18 11:09:40 | 自己肯定感を育む

シアトルの工作のワークショップでの出来事。

 

もうすぐ5歳という★くんは、内向型の控え目で繊細な性質の男の子です。

集団の場でも、最初は何もせずにずっと観察していて、

誰が何をどのようにやっているのかを把握できるまで

仲間に入ろうとはしません。

 

外向型でテキパキした性質の親御さんは、

★くんの個性を認めて愛情を込めて育てていました。

でも、「アメリカでは自分から前へ前へ出ていって自己主張しなければ、成功はありえない。

評価もしてもらえない」とおっしゃって、

どうすれば、もっと積極的に振舞えるようになるのかという

相談をいただきました。

 

わたしは内向型の子なら、まず内向型の子だからこその長所にたくさん気づく前に

「外向的に振舞うようになるにはどうすればいいのか」と考えることは、

その子の本質的なものを否定することにもつながると

感じました。

 

そこで、「内向型の子は物事をていねいに観察していたり、

内省したり、じっくり考えることが得意だったりするので、

この子はこういう気質の子として、具体的な良い面に光を当てていく方がいいのでは?」

といった話をしました。

工作のワークショップでの

★くんの工作作品は「がちゃぽん」でした。

わたしが見せたお手本から

基本のしかけのアイデアを取り入れながらも

別の素材で別の作り方で工夫して作ってありました。

「がちゃぽん」の投入口が見つからなかったので、

「箱の上の部分にカプセルを入れるための穴をあけたら?」と

★くんにたずねました。

すると★くんは、回転部分を引き出しのように引っ張って、

「こうやって入れるんだよ」と言いました。

おとなしいようでも、他人の言うままにならずに、

きちんと主張するところはしているのです。

その姿から、

「この子はおとなしくて控えめだけれど、

自分の意志や考えがはっきりしている子なんだな」と感じていました。

親御さんたちとの談話中、(滞在先の)Aさんのご主人が

園庭で子どもたちを見てくれていました。

後から、Aさんのご主人からこんな話をうかがいました。

 

遊んでいるうちに、数名の男の子たちが叩き合いをはじめたそうです。

けんかを止めに入ると、

「あの子が最初に手をだした」「あの子が最初に叩いた」「あの子が……」

とそれぞれの子がてんでバラバラのことを口々に言ったのだとか。

 

どの子も好き勝手なでたらめを言うので

困ったご主人は、

けんかの一部始終をジャングルジムの上からずっと

眺めていた★くんを呼んで、

本当はどんなことがあったのかたずねました。

 

すると★くんは、「最初に○○がこんなことをして、次に○○がこうやりかえして、

その後に○○がこういうことをした」

と細かいところまでていねいに説明したそうです。

 

するとそれまで、適当なことばかり言っていた子らが、

「ぜーんぶ、★くんの言うとおりだった!」と意見がビシッと一致したそうなのです。

 

「最初から最後までちゃんと見ているな~」と感心すると、

★くんは急に自信に満ちた態度で

他の子らに混じって遊びだしたそうです。

 

★くんは、内向的で慎重で控え目な本来の性質のままで

褒められたからこそ、

自信に満ちた態度で遊び始めたのだと思いました。

★くんは来たときよりもいきいきとした明るい表情で帰っていきました。

 

練習してできるようになったこととは別に

「これはわたし」という部分について褒められると

本当にうれしいものです。

それは大人だって同じです。

 

わたしもシアトルに来て、思いがけないところで詩を褒めていただくことがあって、

他のどんなことを褒めていただいたときより

うれしい気持ちを味わいました。

 

日々の雑事に追われて自分が詩を書くことがすきだったことすら

忘れかけていたのに、そうして自分の詩について

感想をいただくと、

心の底から元気が自信が湧いてくる思いがしたのです。

 

 

 


虹色オンライン教材の確認メールがきちんと届いていない場合についてのお知らせ

2011-12-18 08:52:29 | 虹色オンライン教材

「虹色オンライン教材」購入に関するご注意!

※お申込み登録後、「ご注文の確認メール」は即時自動送信されます。

※お振込されましたら、4営業日以内に「ご利用開始(教材URL)のお知らせ」のメールを送信します。
(通常、お振込当日もしくは翌日にはメールさせて頂いております。)

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無事、シアトルでの工作のワークショップが終わりました

2011-12-17 22:58:23 | 日々思うこと 雑感

無事、シアトルでの工作のワークショップと座談会が終わりました。

ワークショップの様子はアメリカからの帰宅後に、写真で紹介しますね。

 

★ (科学)   「動き」を作りだす力

★ (算数)   「平面」から「立体」へ

をテーマに、工作を楽しみました。

 

子どもたちや親御さんも大喜びで物作りを満喫していたのですが、

ワークショップの内容に

誰よりも感激してくださったのはお借りしていた幼稚園のオーナーさんでした。

前にも書きましたが

このオーナーさん、博士号を取って10年以上科学者として

働いておられた方です。

 

ご自分で就学前の子どもたちに

科学をテーマにしたさまざまな体験をさせておられます。

その取り組みがどれもすばらしくて、

きっと子どもの頃から知的好奇心を探究することが、

心底、好きでたまらなかった方なんだな~、と思います。

 

わたしのワークショップを見学していただいたところ、

子どもたち以上に「からくり」にびっくりして、どんな仕組みで動いているのか

不思議がったり、

子どもたちの発想やわたしとのやりとりを面白がったりして、

こちらが恐縮してしまうほど喜んでくださいました。

あちらの幼稚園でのレッスンに使ってくださるということで、

虹色オンライン教材(工作)を見てくださるそうです。

いろんな場所で、いろんな縁があるもの……と驚いています。

 

工作の後に、親御さんたちとの座談会をしました。

 

座談会のテーマは前回の記事でも取り上げた「その子らしさ」

に気づいて、認めるということ。

 

ちょうど工作の後だったので、それぞれの子の作品を見ながら、

 

「この子は他の誰も思いつかなかったようなテーマで、独創的な作品を作る」

「この子は、いくつかの課題を組み合わせて、アレンジするのが上手」

「この子は、積極的で学び取ろうとする態度がすばらしい。作品は他の人から見た面白さも

工夫してある。」

 

など、良いと思う面を指摘していきました。

 

それから、子どもを褒めるときは、

「上手!」とか「よくできたね」といった漠然とした褒め方ではなく、

具体的な言葉で伝えていくことが大事、とお話しました。

そうすることで、

子どもが自分はどんな子なのか、

どんなすばらしい長所を持っているのかということに敏感になって、

自己肯定感が育っていくからです。

 

滞在先のAさんが、

後からこんな話を聞かせてくれました。

 

座談会の後、Aさんんと他の親御さんが

園庭で子どもを遊ばせていたときのこと。

 

「子どもを誉める時、もっと具体的にって話を聞いた後だから緊張してしまいますね」

といったことを他の親御さんが笑いながら話しておられたそうです。

 

Aさんも「そうそう」とうなずいていた矢先、

ちょうどカナダから参加してくれていた男の子が

球形のジャングルジムのてっぺんまで登れたことがうれしくって

「見て!見て!」と繰り返していたそうです。

 

Aさんは、ふっとその子が座談会の間もずっとそれにチャレンジしていた姿を思い出して、

「みんながいなくなっても、ひとりぼっちになっても、

長い間できるまでがんばっていて、あきらめないのがすごいね」と声をかけたのだとか。

 

すると、それまで「すごいね~」「上手、上手」「足が良く上がってる」といった賞賛の声には

チラッと振り向く程度だったその子が、

表情を輝かせて

しっかりとAさんを見たそうなのです。

 

たいして考えもせず口にした言葉だったのに、

言った瞬間、

Aさんにはその子の姿が

パッと見えたように感じたのだそうです。

 

「その子らしさ」の輪郭をはっきりつかんだような気持ちです。

 

その子の心に響く「その子らしさ」を誉める言葉を伝えると、

その子がパッと見えることがあるんだ~と驚いたそう。

 

Aさんの話を聞いて、わたしの目にも

工作のときも、学習タイムも、

ゆっくりしたペースで取り組むものの

最後までニコニコした笑顔を絶やさず心から楽しそうに参加していた

その子の姿がはっきりと浮かびました。

 


「その子らしさ」に導かれて成長する 2

2011-12-16 22:01:02 | 子どもの個性と学習タイプ

少し前に、発達障がいの子の記事に対して次のような質問をいただいていました。

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奈緒美先生のブログだったかどうかははっきり覚えてないのですが、

“人の気も知らず、エジソンだなんだ言うのはやめてくれ”といった

親御さんの記事を目にしたことがあるのですが(断片的でゴメンナサイ)

こういったことに関してどのようにお考えですか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ちまたで「エジソンやアインシュタインが発達障がいだったのでは?」という話題が

よく取り上げられるため、

それに関して過敏に反応する方もいらっしゃるのだと思います。

 

発達障がいの子はどの子もエジソンのような天才的な能力を発揮する

ことができるとまで言ったら、極端で問題のある意見ですよね。

 

でも発達障がいのある子の「こだわり」や「過集中」といった特性が、

最もよい形で使われたなら、

それはその子の潜在能力を大きく開花させることにつながると

思っています。

わたしは発達障がいのある子ほど

「その子らしさ」に気づいて、それを支えることで伸びていく子らはいない

と感じています。

 

それは発達障がいのある子たちの身近にいる方の多くが

実感しておられることだとも思います。

 

エジソンやアインシュタインのようになれる子がいると言えばオーバーでも、

「エジソンやアインシュタイン並みに

 

寝ても冷めても○○のことばかり……それにどれだけ情熱と時間を

注げるかという点では世間で言う天才に引けを取らない……

 

という発達に凸凹のある子らは

一般的なバランスの取れた発達をしている子の

何十倍にものぼるのではないでしょうか。

 

バランスが悪い、凸凹がある、とは

裏を返せば、そういうことでもあるからです。

 

 

それが天才を生み出す確率にどう影響するかまでは

わかりません。

でも、そうした発達に凸凹のある子の凸部分やこだわることや、過度に集中することに

スポットライトを当てて、

「その子らしさ」を大事にしながら成長を見守ることで、

その子の成長する力は加速すると感じています。

 

「その子らしさ」や成長の可能性の芽は、

子どもの好きなことや喜ぶことで見つかるのはもちろん、

親御さんの目からすると心配しか感じ取れないようなシーンでも

たくさん見つかります。

 

たとえば、2、3歳の自閉っ子がお友達から

何かを奪い取りにいくことを繰り返すとします。

そんなシーンも、

客観的にふたつの視点から眺めれば、

子どもの成長のための鍵を見つけることができるかもしれないのです。

 

ふたつの視点というのは、

ひとつは、見たままに、

「他の子から物を奪い取る」という行為を止めに行って

「お友達のものを取っちゃダメ」と教えたり、相手の子を気づかったりすること

で、

たいていの方がそうした対応に追われて疲れ果ててしまっている

ことでしょう。

 

もうひとつの視点は、しつけはしつけとして対処しつつも、

奪い取りに行こうとする行為も、「その子らしさ」として

コミュニケーションを避けがちな自閉っ子にしては

成長のきっかけになるかもしれない、と捉えるのです。

 

 

「この子は何に惹きつけられて。繰り返し取りに行こうとしているんだろう?」

 

「物を取るという行為とはいえ、お友達に接近することは嫌でない様子。

もめない形で遊びを成り立たせる工夫はできないか?」

 

「この子がしつこくこだわる物の色は?素材は?

触った感触は?音は?動きは?お友達のどのような持ち方に

欲しい気持ちが刺激されているの?」

 

「この子の物を取りに行こうとするエネルギーをもっと肯定的な活動に

変化させられないかな?」

 

「物を奪おうとする時に、大人が相手をして、じらしたり、

アイコンタクトを取ったり、やり取り遊びのきっかけを作れないかな?」

 

そうした問いを自分にかけながら

子どもの姿を眺めて、いろいろと子どもへの働きかけを

ためしてみるとよいのではないでしょうか。

 

「その子らしさ」がなかなか見つからないようなタイプの子も

少し視点を変えて子どもの活動を眺めることで

新たな発見があるものですよ。

 

最初の質問からちょっと話が逸れてしまいましたね。

「人の気も知らず」というのは、親御さんの言葉なのか、

発達障がいの当事者の方の言葉なのかはわかりませんが、

おそらく辛い現実にたくさん遭遇されたのだと思います。

でも、凸凹のある人が生き辛く能力を発揮することができないのは、

ハンディーのせいだけでなく、

凸凹を許さない周囲の不寛容にも原因があるはずです。

 

シアトルに来て、こちらで暮らしている方に聞いたところ、

アメリカではADHD等の発達障がいを持った方が社長になっている率が

とても高いのだそうです。

アメリカでは人の能力に凸凹があることを

そのままでよしとして認めているお国柄があって

そうしたことが可能になっているという話でした。

アメリカにはアメリカの問題点もあるのでしょうが、

「人間、少しくらい凸凹があったっていいんじゃないか?」という

おおらかな考え方が、ハンディーがあってもがんばって努力していく力のもと

にもなるのではないか、と感じました。

 

 

 


シアトルから 記事をアップしています♪ 

2011-12-16 03:49:24 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)

無事アメリカに着いて、こちらでの生活を満喫しています。

時差ぼけを心配していたのですが、飛行機のなかでもぐっすり眠れて

とても体調がいいです。

 

昨日は、滞在先の方が勤めている幼稚園で過ごさせていただきました。

幼稚園のオーナーさんが、長年、科学者として活躍していた方なので、

修学前の子たちの園 (園は幼い子たちの園と大きな子たちの園で分かれています)

は『恐竜』とか『火山』といった

科学をテーマにした創作物でいっぱいでした。

立体的になるように綿が詰められた子どもたちの恐竜の絵が

階段横の壁面にたくさん貼られていたのですが、

サイズがとにかくダイナミック!

1つが畳半畳ほどの大きさです。

 

園がお休みの日に、幼い子たちの園のお部屋を借りて、

工作のワークショップをさせていただく予定です。

今回の工作のワークショップは、科学と算数の世界に親しむ物作りをテーマに

させていただいています。

幼稚園のオーナーさんも関心を抱いてくださって、休日にわざわざ見にきてくださる

そうです。

楽しい実りある時間になればいいな、と思っています。

 

 

こちらの写真は、シアトルから帰宅した後にアップしますね。