虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『おにごっこ将棋』と『どろぼう将棋』 1

2014-01-31 14:45:09 | 日々思うこと 雑感

昨年からの将棋好きの方との交流をきっかけに

『春休み向けの算数クラブ』に、将棋をテーマにした遊びを盛り込みたいなと

考えていました。

初めて将棋に触れる子も楽しめて、短時間遊ぶだけでも

将棋のルールや将棋の面白さに気づけるような工夫ができないかな?……と。

 

これまでの将棋にまつわる記事です。

へんてこな巨大将棋にチャレンジ

子どもに将棋を教える時のファーストステップ

番外 15年前の記録  将棋の時間  

 

まだコマの動かし方を知らない子も、ルールを覚えることに終始せずに、

ゲームとしての面白さを満喫できるようにするには?

 

詰将棋をするときのような「できた、わかった」という

達成感を味わえるようにするには?

 

直観的に次に進める位置がわかるような駒の形ってないかな?

プリンの空き容器のような「動かしながら重ねていける性質」を利用できないか?

ポップアップ絵本のように折りたたまれていた紙が一瞬にして開く特徴を使えないか?

将棋盤のデザインを変えた方がいいのか……?

 

あれこれ考えるものの行き詰ってきたので、

息子の知恵を借りることにしました。

 

わたし 「10分ほど相談に乗ってもらえない? 

春休みに将棋をテーマにした遊びをしようと思っててね。

将棋の駒の動きを知らない子が一瞬で遊びに引きこまれて、

同時に将棋のルールも覚えていけるようなアイデアを練ってるんだけど……。

 

駒を立方体にして、「もじバケる」みたいに形を変化させるデザインをいくつか

考えたから見てくれる?

変化した形が駒の進み方を表すようにしたいのよ。

「もじバケる」みたいに……といっても、小さな子でもすぐに真似て作れるように

したいから、変換させる部分に折った紙やモールを使うことになるんだけどね。

問題は、飛車や角や香車みたいに、進める幅が大きいものなのよ。

いっそのこと駒を変換させるときに、大砲のようなものが出る形にして……

といっても黒いストローで作るようなものだけど、

ヒモをつけた弾丸の射程距離が、その駒の進める位置ってことも考えたけど、

それだとヒモは子どもの興味をそそるためのアイテムでしかなくて、

大人がそれを利用して進める位置を教えていくことになってしまうわよね。

 

立方体を逆さまにして成駒になった時との兼ね合いも考えておきたいし、

ガチャガチャしたところが面白いとしても、もっとシンプルにもしたい。

その形状だけで駒が移動できる位置に気づかせるのはどうすればいいかな?

できればそれらを使って、初めて将棋をする子が、

短時間に詰め将棋を楽しめるところまで持っていきたいのよ」

 

息子 「詰め将棋を楽しむところまでか……。詰め将棋って駒の動き方がわかるだけ

じゃ、たとえ答えに行きついても、問題が解けたっていう達成感やゲームとしての

面白さを味わうのは難しいんじゃないかな?

 

ゲームって、場面場面で、ある程度、どっちが勝っているのか状況を示すものがないと

退屈なもんだよ。自分の行動が短期的に見て正しいか、長期的に見て正しいか……。

長期的にってのはつまり逆転要素があるかってことだけど……。

一手一手からぼんやりでも感じ取って一喜一憂するようなドラマ性がないと

面白みに欠けるんじゃないかな?

 

詰め将棋的なものが、駒を動かせるだけの子に面白く感じられないのは、

視覚的な情報に誘導されて、

答えがわかっても、それが消去法でわかったにすぎないからじゃないかな?

消去法で正解を選んでも、なぜ正解したのかわからないから、

わかったという実感が湧かない。

できた喜びを感じるには、簡単過ぎてその都度、最善の手がわかってもダメだし、

自由に動かせる部分が多すぎて、どれを動かしても結果が変わらないという気持ちに

なるのもダメだから、バランスが大事だよね。」

 

次回に続きます。

 


くりあがりのある計算を予測する遊び(年少さんグループの)

2014-01-30 17:57:25 | 初めてお越しの方

年少さんたちのグループで

くりあがりのある計算の答えを当てるゲームをしているところです。

 

ひよこの学校の机は10。

ひよこたちが椅子ではなく机に座っていることが子どもたちに

大受けです。

 

★ 最初に、ひよこが何羽いるのか、数えずに

パッと言えるようになる練習をします。

(そのとき、指で数を作るようにします)

 

★ 「学校に8羽いるよ。

あとから、5羽きたよ。

座れないのは、何羽かな?」とたずねて、座れないひよこの数を当てます。

 

答え合わせは、実際にひよこを乗せて、座れなかったひよこの数を確かめます。

 

 

学校の壁を作って、ひよこの様子が見えないようにして、

8+5の問題をしているところです。

 年少さんグループの子たちは、とてもよくできていました。

 

 

数の分解ゲームをしているところです。

 


100円グッズで光の実験

2014-01-30 16:37:10 | 理科 科学クラブ

100円ショップの光ファイバーを使ったインテリアグッズの土台(光ファイバーの

束は使っていません)を使って、いろいろなことを試して遊んでいます。

この商品がない場合、ライト類のコーナーに売っているほかの商品(何色かの色の

変化を楽しめるようなもの)でも、同じような実験が楽しめると思います。

 

<水を入れたペットボトルを乗せてみる> 

写真のようにペットボトルの形が変化する部分が

光ってとてもきれいです。懐中電灯で試すのもOKです。

 

ほかにも、透明の物や半透明の物を乗せてみて、

どこがどのように光るか試してみると面白いです。

 

 

<鏡を使って>

鏡を使うと、色のついたきれいな光を床面や壁などに

映すことができます。

 

 

液体の入っている万華鏡の一部をライトに当てたがった子がいました。

試してみるととても神秘的できれいでした。

 

 

万華鏡を色のついた光の方向に向けて、のぞいてみると……。


3~4歳の子の科学遊び 2  (+ 1~2歳の子の科学遊び)

2014-01-28 15:33:03 | 初めてお越しの方

 <3~4歳の子の科学遊び 続き>

↑ 写真は3~4歳児グループの写真ではないのですが、

レンズを使ってこんな遊びもできます。身体にアンバランスなほど

大きな頭が乗っているように見えるように調節しています。

大きなレンズは、100円ショップの虫めがねの枠をはずしたものです。

 

 

<水玉レンズ>

 

クレパスを画用紙に塗って、その上に水滴を落として

半球形の水のレンズを作って遊んでいます。

 

 

<ストローで水滴作り>

水の中にストローの先をつけて、ストローの上部を指でふさいで

水をクレパスの絵の上に落とします。

この作業、幼児にはとても難しいのです。それと同時に

できるようになると、何度も何度もやってみたくなる魅力的で不思議な作業のようです。

 

<小さな水滴を合体させて大きな水滴に>

水滴をいくつか落として、ストローで吹いて、水滴同士を合体させます。

クレパスを塗った上では、水の玉が生き物のように動くので面白いです。

 

<水玉サッカーゲーム>

サッカー場の絵を描いて、水滴をストローで吹いて、

ゴールポストに入れて遊びます。

 

<水玉迷路>

クレパスを塗った上に迷路の絵を描くと、水滴をストローで吹きながら

迷路遊びをすることができます。

 

<コピー遊び>

折り紙の裏にクレパスで色を塗り、紙をもう一枚敷きます。

裏から楊枝で文字などを描くと、下の紙に写ります。

 

<ビー玉を使った実験>

 

 

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<1~2歳の子の科学遊び>

 

1~2歳児グループの科学遊びの様子を紹介しますね。

 

 

「回転する仕組み」 について学ぶ箱から、歯車を出して遊びました。

いろいろな動きをする歯車を組み合わせて、一つだけ回すと、別の歯車も回りだすのが

面白い様子です(もう少し大きな子のグループでは、右左どちらの向きに回るのか

推理します)。 

 

<コマの模様や色の変化>

 

 

<氷で遊ぶ>

氷をあまり熱くないお湯の中に入れて、「どうなるかな?」と

見ています。

 

 

ティッシュの空き箱に小さな穴を開けて、光の筋を作っています。

 

 

<空気を捕まえて……>

ビニール袋の中に空気を入れて遊んでいます。

 

 

↑は、科学遊びではなく、1~2歳児さんグループの電車ごっこで

キップを口に座席に座らされていたマグロです。


3~4歳の子の科学遊び 1 

2014-01-27 19:10:48 | 理科 科学クラブ

3~4歳の子向けの科学遊びを紹介しますね。

 

<影絵用スクリーンを作って遊ぶ>

デュプロで作った影絵用スクリーンです。

ブロックの棒の間にコピー用紙を1枚はさんだらできあがり。

 

手前の水の入ったペットボトルは、

『サイエンスコナン レンズの不思議』という本に載っていた手作りレンズです。

横にすると背後にあるものが逆さまに見え、立てると同じ向きに見えます。

 

↓ 遊び方 ↓

<色で遊ぶ>

セロファンで色のついた光の中に浮かぶ影絵を楽しみます。

 

<信号作り>

セロファンで信号を作って、影絵の背景色を変化させて遊びます。

 

 

<鏡の反射を使って>

 

鏡を利用して、ライトの光を反射させて影を映します。

 

 

<虹作り>

CDにライトを当てると、反射した光の中に虹が浮かびます。

 

<影を2つに増やす手品>

一つの人形に二方向からライトを当てると、影が2つになります。

 

<影が大きくなったり、小さくなったり>

人形やライトを前後に動かしながら、大きさが変わる様子を観察します。

 

 

<簡単な望遠鏡>

 

サイズの異なる2つの虫めがねの

大きいほうを窓につけ、離れた位置から小さいほうの虫めがねでそのレンズを見ると、

遠くの景色が拡大されます。

レンズのサイズの違いが大きいほど、拡大されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


極端にシャイな性格の子。 発達上の問題は? 3

2014-01-25 19:36:04 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

レッスンの途中で、一時間ほどお母さんに席をはずしていただいて、

★くんと二人だけで過ごすことになりました。

 

★くんはミニカーや電車のおもちゃで遊び始めると、無言のまま

それらを前後に動かす遊びをいつまでも続けています。

そこで、そうした乗り物類のおもちゃを片付けて、

★くんを紙箱で電車を作る工作に誘いました。

器用ではさみを使うのが大好きな★くんは、「電車を作ろうか?」の問いに、

口をパクパクさせながら、音にならない声で、「すーるー」と答えました。

 

ほかのお友だちやお母さんが一緒のときには、

こんな風にわたしの問いに「すーるー」と答えることはあっても、

自発的に自分のしたいことや思いを言葉にすることは、皆無に等しいです。

「すーるー」と言わないときには、★くんは照れた様子でひたすら身体を

くねくねさせています。

 

でも、わたしと★くんのふたりだけで過ごしている間には、★くんの方から

急に思いついた様子でこちらに話しかけてくることが何度もありました。

 

 

電車を作っているとき、★くんは車輪にするペットボトルのふたを貼りながら、

「ちがう。ここがない。もう一ついる」と言って車輪の数が足りない部分を指摘したり、

「もう一回、電車作る」「連結するようにして」と要求したりしていました。

 

「これまでは話しかけてから何分もしてから、ひと言返事が返ってくるだけだったのに、

こんなに自然に自発的な言葉が出てくるんだな」と驚きました。

 

それと同時に、ほかの人がいる場では一時間の間に、

「○○ちょうだい」「いや!○○するの!」といった、

思わず無意識に口から出てくるような言葉すら発しないことが

単なる人見知りや場所見知りの域を超えているようにも感じられました。

 

 

 

★くんと簡単なカードゲームをして遊ぶことにしました。これまでは、こうした

ゲームに誘っても、照れてもじもじするばかりで参加しようとしなかったのですが、

わたしと二人だけのときは、ふたつ返事で「すーるー」と言ってカードを広げました。

 

電車のカードを表向きにしておいて、★くんとわたしで、順番にそこから

好きなカードを取っていき、

お気に入りの電車(3枚ずつ連結して完成)を作っていくというルールにしました。

 

といっても最初に、すべてのルールを説明して遊ぶのではなく、

「順番、順番ね。好きなのはどれ?★くんの次は先生」という具合に、

「かわりばんこにカードを選ぶ」ということから教えていって、どこまで理解できそうか

様子を見ながらルールを足しています。

★くんは、順番にカードを取るというルールに従えるけれど、同じ種類の電車のカードを

集めることは見本を見せたり、一緒に探したりしても、ピンとこないようでした。

 

この「ピンとこない」という点で、『だるまちゃんとてんぐちゃん』という絵本を

読んであげていたときも気になることがありました。

 

だるまちゃんが、てんぐちゃんに、「それなあに?」とたずねて、

てんぐちゃんが「これはてんぐのうちわだよ」といい、

だるまちゃんが、「ふーん、いいものだね」というシーンでは、

「だるまちゃんは、それなあにって聞いてるね。それって、どれかな?

ふーん、いいものだねっていってるのは、どれのこと?」とたずねると、

★くんはてんぐのうちわを指さすことができました。

 

でも、だるまちゃんがやつでのはっぱをうちわにしている絵を見た後で、

前のページに戻って、だるまちゃんは「どれを見つけて、うちわにしたのかな?」

とたずねて、

だるまちゃんの手のやつでのはっぱと

庭の木についているやつでのはっぱを見るよううながしても

それらが同じであることや、だるまちゃんのしたことの意味がわからないようでした。

 

その後のシーンでも

お椀を帽子にしただるまちゃんが、

前のページの食卓のお椀を頭にかぶっているということや、

ままごとのまな板を下駄にして履いているということがピンとこないようでした。

 

今後、想像力や相手の伝えようとしていることを理解する力などの育ちを、

ていねいに見守っていく必要があるのかもしれません。

 

 


子どもに将棋を教える時のファーストステップ

2014-01-25 17:23:44 | 教材作り
将棋は能力開発に最適!!と知ってはいても、
ハードルが高い!
教えるのが難しい!と思われている方がいるかと思います。

市販の教材には、進み方が書いてある将棋も販売されていますが、
こうした商品って、補助輪つきの自転車にいつまでも乗ってるみたいに
進み方を覚えてしまったとたん、
邪魔になったり、頼りすぎて覚えない原因にもなってしまいます。

私が子どもに将棋を教えるときは、

★ 駒の進み方をマスターする時期

★ 基本の対戦をする時期

に分けて教えています。
 
 
駒の進み方をマスターする時期には、
2つの駒で「ヨーイドンゲーム」「追いかけっこゲーム」などをして
進み方だけをマスターするように工夫しています。

駒の進み方は、まず、「歩」を教えます。
1ずつ進むのは、簡単です。相手の領地(三段目)まで入ったら、
ひっくり返って「パワーアップ!」(ここでは、パワーアップとしてだけ教えます)。

次に「香車」と「桂馬」を教えます。
香車はピューッと好きなだけ進めます。相手の領地(三段目)まで入ったら、
ひっくり返って「パワーアップ!」。
桂馬の飛び方は、自分の身体を使って飛び方を教えたり、
「次はどこに飛べるかな?」と盤上を指差させたりすると、覚えます。
子どもの好きな飛び方をする駒だと思います。

ここまで教えたら、歩と香車と桂馬を1つずつ持って、
自分ですきな駒を1つ選んでは、子どもと将棋盤の上を競争!
赤く(パワーアップ)なったほうが勝ち!という遊びをしていると、
勝ちたい気持ちから、すぐに動き方をマスターしてしまいます。
 
 
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<3歳から遊べる手作り将棋>
 
 
将棋は知能を高めるのにとても優れたゲームですが
ルールを覚えるまでが大変ですね。
市販の補助的な教材を使っても4~5歳児には難しいかもしれません。

そこで子どもに将棋のルールや楽しさを教えるために
「手作りの簡単将棋」を作ってみました。

まず、折り紙を四角く折ってテープでとめます。
(折り紙の本を見ると、二枚のおりがみを使って四角い
めんこのようなものを作る方法も載っていますよ。)

「歩」と書いた文字の上には、上向きの↑を短く、赤で書きます。
「飛」なら文字の周囲には 長い↑↓→←を、青で書きます。

そのように進み方を書いた大きな将棋の駒を作っていきます。
桂馬は難しいので 次回にでも写真をアップします。

折り紙に合わせた大きな将棋版
(最初は写真にようなマスが少ないもの)を作ります。

遊び方は、駒を2個ずつ、自由な場所に置きます。
駒の進み方に合わせて相手の駒のところに行けたら、
駒を取れます。

こうした簡単なルールで
駒の進み方を学ぶうちに きちんとした将棋対戦や詰め将棋が
できるようになりますよ。
 
 
 
イラストや進み方がわかる矢印を描くと、もっと遊びやすくなります。


極端にシャイな性格の子。 発達上の問題は? 2

2014-01-24 13:33:04 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

極端にシャイな性格の子。 発達上の問題は? 1 の続きです。

 

★くんは、もじもじして恥しがりだすと、

「これがしたい」「あれがしたい」という意志表示もなくなるし、

行動も非常に幼い印象になります。

また、「何度か会ううちに打ち解けてくる」といった変化はあまり起こらず、

前に緊張したシチュエーションでは、

相手がお母さんであっても、声をかけられると、

何分間も声が出せなくなるようです。

 

ただ、文章上で表現するととても似ているものの、

コミュニケーションのあり方に問題を持っている、

自閉症スペクトラムの子同様の態度とは、少し異なるように感じられました。

 

理由は、★くんにはエコラリアや目の合いにくさがないことと、

自閉症スペクトラムの幼い子たち特有の、自分の周辺の状況が読めていないような

雰囲気がないこと、家では自然な会話が成り立っていることや

幼稚園で口数は少ないけれど上手に適応している姿、

非言語のやり取りの通じ方や模倣の的確さなどです。

 

もちろん、いくら同じ自閉症スペクトラムの子でも

子どもによって特性はずいぶん異なるし、

発達の問題がそれほど深刻でない形で重複している子もいるでしょうから、

あくまで、その時点でそう感じられた、ということです。

 

実際の診断は、専門の機関に任せなくてはならないのは当然なのですが、

問題は、病院選びや診てもらう時期によって

診断名がコロコロ変わってしまうことなのです。

 

素人判断はよくないとはいえ、子どもの状態をできるだけ正確に把握して、

どこに相談するか、どの病院で検査してもらうかを決めていかないと、

正しい診断を受けられて、今後の対応の見通しがつくかどうかわからないのです。

 

もう少し家庭で様子を見るとすればいつまでどのように様子を見るのか、

様子を見ることによって起こるリスクはどのようなものか、

各地域によっての情報が少なすぎます。

 

こんなことを書いたのは★くんの今の状態が、小学生の頃、同じクラスにいた

場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)の女の子の姿と重なるからでもあります。

 

場面緘黙とは、特定の場面でまったく話ができなくなる現象です。

2~5歳の間に発症するけれど、単なる引っ込み思案といった性格的要因と区別しにくいため

小学校に上がるまで診断や治療が行われることはほとんどないようです。

しかし、場面緘黙症は、成長とともに自然に治っていくものではなく、

症状が強化されるケースも多いため、幼い時期の治療が重要とされているのです。

 

★くんが場面緘黙症の初期の状態にあるのかどうか

正確なところはわからないけれど、

正誤を確かめるために、近辺の病院をたずねたらはっきりするのかというと、

よくわからないのです。

 

数年前に「緘黙症」という診断を受けて、病院で勧められた療育施設で体操指導(身体を

動かしてコミュニケーションをうながす療育を実践しているところがあるそうです)を

受けていた子がいたのですが、

今思うと、その子は自閉症スペクトラムの子の症状がすべて出そろっている状態でした。

誤診というより、診断を受けた時期の問題なのかもしれません。

数年前までは、自閉症の診断基準を全て満たしている場合でも

ADHDとかLDとか、緘黙症の診断名がつくことが珍しくなかった気がします。

わたしが関わったことがある子たちの中にも、そうした診断名に首をかしげたくなる子が

結構いましたから。

が、現在は、ちょっと発達の凹凸がある子は、自閉症スペクトラムとか広汎性発達障害の

診断名がついているようでもあります。

病院の診断のあり方が変化したのでしょうか。

 

次回に続きます。


「教える」のではなく「引き出す」教え方

2014-01-23 20:46:04 | 幼児教育の基本

2歳半の●くん。

駅に屋根をつけようとして、うまくいかずに挫折。

●くんのお母さんが教えようとすると、プイッとどこかへ行ってしまいました。

その後、わたしが●くんと駅の屋根作りをしながら、

どのようにすると子どもが集中してお手本を見て、こちらの言うことに耳を傾ける

ようになるのか実演して、●くんのお母さんに見ていただいたのですが、

肝心のコツの部分がうまく伝わらなかったようです。

 

そこで、わたしが教える際に気をつけていることについて、

少しくわしく説明してみることにしました。

 

●くんへの教え方については、続きの記事で紹介しますね。

 

わたしが、レッスンで物作りの活動を大切にしているのは、

工作技術の向上や手先の器用さを高める意味もありますが、

 

「お手本をきちんと見る」

 

「大人の話に耳を傾ける」

 

「自分の考えを上手に表現する」

 

「人と協調しながら作業に取り組む」

 

「現在の自分自身に自信を持つ」

 

ということを、一回、一回の場で身体を通して学ばせるために最適だから、

という面が大きいです。

 

そうしたことを子どもに習得させるには、

子どもをサポートする大人が、教え方を洗練させていくことが大切です。

 

 

まずは、過去記事から。

 

4歳8ヶ月の★くん。

教室の棚に飾られていたほかの子の作品(かたつむり)を見つけて、

「これ作りたい!」と言いました。

まず最初に、かたつむりの殻の部分作り。

ピラミッドを作るようにだんだん底が広がるデザインです。

幼稚園や学校のように集団に向かって教えるのでなく、個人か小集団に教えている

虹色教室では、その良さを生かして気をつけている点があります。

それは、手伝い過ぎない、必要以上に教え過ぎないことです。

どんな大人の手伝いも、だんだん必要なくなるように、少しずつ手抜きしていって、

しまいにその部分では「卒業」、「自分ひとりでできる!」ようにしていくことです。

だんだん子どもに仕事を預けていって、製作でしたら最終的に、


目標設定と、それをきちんと言葉にして説明する

材料の準備

製作過程で考えながら進める


新しいアイデアを思いつく

アイデアを生かして取り入れる

わからない点、教えて欲しい技術をたずねて、集中して大人の説明をきく


問題点や改善点に気づく

自分で問題を解決する

製作を振り返り、工夫したポイントなどを説明する

といったことを、子どもがすべて自分でやり遂げ、達成感や自信や満足感を得られる

ようにしています。「ちゃんと聞きなさい」と説明ばかりするのでなくて、

「すごいアイデアね。これはどんなふうに動くの?」

「いいこと思いついたね。どうやって使うのか教えてちょうだい」といった、

子どもの発言を引き出す声かけを増やすのがコツです。




手伝い過ぎない……というのは、この★くんでしたら、

ピラミッド型のブロックの組み方を教えてもらいたがったので、

1段目と2段目だけしてみせて、

「こうしてだんだん下が広くなるように作るのよ」と言いました。

★くんは自分でも真似てみたのですが、

1段目、2段目を作ってから、3段目を作ってみようとしたものの、

うまくいかなくて困っていました。

そこで「ほら、こうして一つだけ、ブロックのポツっとしたところを外に出すのよ」と

最低限の説明をすると、あとは、「わかった!そうか!」と、次の段から自分で

ポイントに気をつけて作って満足そうでした。

 

安易に「こうやってこうやって作るのよ」と、大人が「作れるようになること」ばかりに

重点をおくと、テクニックとしての作り方を学んでも、

自分で問題を解決する方法は少しも身につきません。


非常に多くの子どもが、自分で考えられることまで、

何でもかんでも大人が教えよう、説明しようとするために、目の前の問題に対して、

● 自分でできそうか

● どこまでならできそうで、どこを手伝ってもらえば良さそうか

● すぐにできなくても、じっくり取り組んでみたらできそうか

といった自分の知力を把握することができなくなっています。

赤ちゃんでも解決できることを、する前から、

「お母さん、やって」「どうするの?」とたずねる5,6歳児も後を絶ちません。

 

すぐ教えずに、少し様子を見ていると、「見本をみてごらん」と言わなくても、

(「見本をみてごらん」と言わないのは、できないときは手本や見本を見ることを、

自分で思いつくようになって欲しいからです。いつも指示をしてもらっている子は、

6歳でも、これが考えつきません)

子どもは自分で「よく見本を観察して、どのようになっているのか研究してみよう」

ということを思いつきます。

また、あれこれ触ったり、よく観察して、「こうじゃないかな?」と推理します。

説明は、どうしても困っている最低限で十分です。

 

1~2歳の子に対しても「このおもちゃで遊んでごらん」「お砂を入れて」と、

目の前にあるから、自分で考えられそうなことまですべて言葉で指示を出して、

子どもが「考える」のを邪魔をする方がいます。

子どもと会話をはずませるのはいくらでもいいのですが、

「教える」のに関しては、大人が控えないと、

「考えるのはお母さん」「実行するのは自分」という役割分担を身につけて

しまいますよね。

 

とにかく、必要以上に教えると、子どもの考えるところがなくなってしまうし、

指示ばかりされて作っても本人はちっとも面白くないものです。

こうしたとき、「どこまで教えるか、手伝うか」の微調整ができるのが

1対1で教える良い点です。

ですから家庭で教える場合、ここの線引きに細心の注意を払っていると、

親はどんどん手抜きができて、

子どもは何事もテキパキと自分でできるようになってきます。

 

「どこまで教えるか、手伝うか」の基準は、

子どもがそれを楽しめるかどうかで決まります。

たとえば「こんなものが作ってみたいな」と考えることができる年齢の子に、いつまでも

「今日はこれを作りましょう」「今日はこれを学びましょう」という

集団教育の真似っこのようなことを続けていたら、

子どもの発想力も目標を定める力も自発性も失われていきますよね。

 

「大人が説明して子どもが聞いて理解する」というスタイルも、

それは集団教育で人数上、やむをえなくそうなりがちなだけですから、

家庭では「子どもの側が、大人に理解してもらえるように、自分の考えを整理して、

きちんと説明する」が基本と思っておいて、

そちらに近づく方向に、「教える」のでなく「引き出す」接し方をしていると、

その方がずっと自然でいきいきと学び始めます。

 

子どもが「楽しいな~」とワクワク活動できる範囲で、どんどん子どもに作業や、

考える活動や、言葉での表現をまかせていき、

大人は常に手抜きできる部分を探っていく……

子どもの驚異的な成長する力に、きっと目を見はるはずですよ。



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この文章を書いて、気になっているのが、「教える」ことへの誤解です。

というのは、教えなくてはわからないことや、

子どもが頭で考えられるわけがないこと(危険物の扱い方など)は教えずダメ出しだけで

すませて、

教えなくてもいいこと、ちょっと待っていれば子どもが自分で考えることは、

間を与えず、即座に「教える」、

子どもが自分で選んだり、判断したり、失敗の原因を探ったりする前に、

すべて「教える」、という方が非常に多くて、

「教える」という言葉を使うことに迷いがあるのです。


難しいです

 

 

↑警察署の梯子を上らせているところ。

 

前回の記事で、 「お手本をきちんと見る」「大人の話に耳を傾ける」

「自分の考えを上手に表現する」 「人と協調しながら作業に取り組む」

「現在の自分自身に自信を持つ」ということを、一回一回の場で身体を通して

学ばせるために子どもたちと物作りをしている話を書きました。

 

2歳半の●くんとのやりとりを再現しながら、それについて説明しますね。

●くんは利発なしっかりした子で、自分の考えをとても大切にする子です。

「こうしたい」「ああしたい」という気持ちはたくさん持っているようで、

目ざとく何かを見つけては、自分も試してみようとします。

といっても、まだ2歳半ですから、手先は器用じゃありませんし、

どんな風にしたらうまくいくのかお手本を見る力もありません。

 

この日も、駅の屋根を作ろうと、ブロックを2つはめたところまでは

よかったのですが、ずれた位置にはめた後でうろうろし始めました。

でも、きっとトンネルのような電車をくぐらせる屋根が作りたかったのだろうということは

見て取れました。

 

そこで、●くんのお母さんが、「●くん、●くん。見て。こうやって、作ったら……」と

説明しようとしましたが、●くんは聞こうとしません。

お家でも、プラレールのつなぎ方などで、

うまくできなくて困っている●くんに教えようとすると説明を聞かないので、

そうした場面で、教えるべきか放っておくべきか迷う、とおっしゃいました。

 

わたしは、●くんのお母さんが「●くん、●くん。見て。」と

作るのが嫌になっている●くんを追いかけるようにして教える

姿を見て、それはまずいなぁと感じました。

 

わたしは、子どもの側が

「知りたい」「見たい」「聞きたい」という気持ちの高まりで、前のめりになって

迫ってくるような状態に導きながら、教えるようにしています。

 

工作のワークショップ等でも、どのような態度で接すれば

子どもが「積極的に学びたい」モードになるのか見ていただいくようにしているの

ですが、なかなか伝えるのは難しいです。

 

「知りたい」「見たい」「聞きたい」という気持ちを高めるには、

集団に教えるときと、個人に教えるときでは勝手が違います。

今回は、個人について説明します。

 

ひとりの子どもに教えるときは、まずその子の活動のリズムと

頭の使い方のリズムをつかむことが大切です。

 

たとえば、●くんは、意志が強く、頭脳活動が得意そうな子で、

自分の目的意識がはっきりしています。

活動の様子を見ていると、お友だちのしていることをじっくり観察したり、

何をしようかと注意をめぐらせて、よく考えた上で行動に移しています。

やってみてうまくいかないときは、うまくできないことにちょっと腹を立てている様子で、

プイッとその場を離れて、次のことに取り組もうとします。

常に、「ぼくは、できる!できる!」という気持ちで自分を鼓舞しているようにも見え、

新しいことにチャレンジするときは、それまでの失敗などなかったことのように、

強気で冷静な態度です。

 

そんな●くんですから、「やったけどうまくいかなかった~」という場面は、

一番声をかけられたくないはずで、

教えようとして追いかければ、その場で聞かないだけでなく、

お母さんの話を聞くこと全般を馬鹿にするようになるかもしれません。

 

わたしは、●くんが「やったけどうまくいかなかった~」という場面で、

「あぁ、●くんは、屋根を作りたかったんだな」と気づいた上で、

それを胸にしまっておきました。

なぜかというと、そうした場面を心にとめておくと、次に●くんに教える時に、

「何をテーマにすると夢中になってこちらの話を聞くか」のヒントになるからです。

 

少しすると、お友だちの☆くんの駅に屋根をつけてあげる機会がありました。

案の定、●くんは興味しんしんでこちらを見ています。

わたしはあえて、●くんのことは呼ばすに、

☆くんに、「こうやって、こうやって、高い屋根が作りたいの?」とたずねながら、

作り方がわかるようにゆっくりと作って見せました。

 

2歳や3歳の子にお手本を見せるときは、

大きな子にするように、「ちゃんと見なさい」とか「聞きなさい」とか、

「こうしてごらん」などとは言わず、

「赤いのを、こうして、もうひとつ赤いのを、こうやってこうやって~」と

行動のひとつひとつを言葉にしたり、

「こうやって、高い、高い、高い~ってするのでいいの?」と

躍動感が伝わるようなたずね方をするといいです。

子どもは、自分がどんなふうにしたいのか尋ねられている間は

無我夢中で課題を見つめているものです。

そうして身体で「お手本を見る」ということをマスターしたあとで、

「さぁ、ちゃんと見てちょうだい」と言うと、ポイントをつかんで集中して

みるようになります。

 


極端にシャイな性格の子。 発達上の問題は? 1

2014-01-23 13:49:50 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

「もしお時間があるのなら記事にしていただいて、子どもの姿を客観的に

捉えなおしたいです」と★くんのお母さんの要望を受けて、書いています。

 

3歳半の★くん。

これまで同年代のお友だちとグループレッスンに参加してきましたが、

極端に恥ずかしがり屋のため、お母さんからは

「お家では自然な会話が成り立っている」とお聞きしているのに、

教室で言葉を発することがほとんどありませんでした。

★くんのおっとりした温和な風貌からは、特別な感覚の過敏さは持っていないように

見えるものの、人からの注目(それがお母さんであっても)や、人の声がすると

緊張が高まるようで、身体をくねくねさせてお母さんの服を舐めたり、

電車のおもちゃを前後に動かすだけの幼い遊び方に固執したりします。

 

お母さんは、「シャイな性格なだけと放っておいてもいいものか、

知力や社会性の遅れなどはないのか……」と気を揉んでいらっしゃいました。

そこで、個別のレッスン日を設けて、

★くんひとりとじっくり関わってみることにしました。

 

個別レッスンの日、教室に着いた★くんは、電車のおもちゃを手にして遊び始めました。

「駅を作ってみる?」「トンネルを作ろうか?」などと誘うと、

恥ずかしそうにもじもじして、お母さんの服を舐めたり噛んだりしながら

黙っていました。

しばらくすると、口をパクパクさせて、聞き取れないほどの小声で、

「つーくーる」と言うものの、作ることにも作ってもらうことにも興味はない様子。

再び、電車を前後させる遊びに戻る★くんにやきもきしたお母さんが、

「★くん、今日は何をしにきたんだったかな?」などと声をかけると、

その都度、★くんが極度に照れて、お母さんの服を舐めたり噛んだりしていました。

 

次回に続きます。