虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

小学生のつまずきと教え方

2015-03-30 18:02:51 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

診断はくだっていないグレーゾーンの子も含め、

発達障害や知的障害がある子と、障害のない子では、

つまずく原因もできるようになるための手立ても異なるケースが多いです。

ですから、子どもが「わからない」と言っているからと、

どの子にも同じ方法で教えたのではうまくいかないように思います。

発達障害などがない子たちに教える場合、いきなり解き方を教えるよりも、

まず学習に対する主体的な態度やメタ認知力をつけていくことが大事だと

考えています。

文章題が苦手な子にも、やる気がない子にも、学習の力の入れどころがずれている

子にも、他の子と計算時間などを比べて、「計算をもっと練習したらできるように

なるよ」といったアドバイスをするのは、あまり良い教え方とは思えません。

そうした子たちには、大人が、

「遠回りで本質からずれた方法でも、まず練習さえすれば、やってるうちに成績に

結びつくから、それで欲が出て、勉強をするようになるはず……」という

子どもだましな方法で指導をしても、心の底では、「そんなのおかしい」と感じて

反発するので、大人の思惑通りいかないものなのです。

また、本当に計算さえすれば成績が伸びる子だったとしても、その必要性を本人が

自覚しない限り、やらされている作業をただこなすだけでは、成績に結び付けていく

ことは難しいのです。

現実に大阪市では、○○式なる大量に計算訓練をさせる教室をいたるところで見かけるし、

小学生と話をすると、その教室に通っていない子の方がめずらしいほどなのですが、

大量に高速で計算させる学習をする子が増えたから、大阪市の子どもたちの学力が

向上しているという話は、聞いたことがないのです。

主体的な態度やメタ認知力をつけていくとは、つまり、子どもに、

どこがどのようにわからないのか具体的にくわしく説明させたり、自分にはどんな

学習が足りないと思うか、どんなことをすればできるようになりそうか、

分析させたりするのです。

自分のしている学習を、少し高い位置から客観的に眺めさせて、

自分でやることを決めさせるのです。

もちろん子どもにとって最初はどうすればいいかわからないでしょうから、

ヒントをたくさん与えます。

そうしながら、大人もいっしょに、わからない原因と、これから必要な学習を分析

していくと、大人の側もどんなことをどこまで支援すればよいのかわかってきます。

 

虹色教室ではこんなことがありました。

小学4年生の☆さんは、頭は良いのですが、さみしがりやで飽きっぽい性格です。

宿題を始めるやいなや、「わからない、できない」と言うと、お母さんが飛んできて、

手を変え品を変えして説明したり、「どうしたらいいんでしょう?」っと心配したり、

「なら、先生に聞いてみようか?ならこうしたら?」と提案してくれるのにすっかり

味をしめて、『自分で考えてみる』ということは、思いもよらない様子です。

教室でも、すぐさま「わからない、できない」と言うとよそ見を始める☆さんに、

私は、お友だちや年下の子たちに、解き方を教える役をさせたり、

友だちと協力しあって考える機会を与えたりしています。

☆さんには、読書家で、いつも図書室で借りた本を見せてくれるという一面があります。

それで、「本がたくさん読めるということは理解力がある証拠よ。めんどくさいという

心を乗り越えて、がんばってみて。自分で考えるの」と説得していました。

すると、私の前では、「できない、わからない」と騒ぐのはやめて、

課題にきちんと取り組めるようになってきました。

この☆さんのように子どもが「わからない」というとき、

その子の力量を見極める大人の眼力が大切だと感じています。

ていねいな説明が必要な子と、自力で少し考えさせる必要がある子がいるのです。

考えさせるというのは、問題の解き方だけではなく、「自分はなぜ解けないのか」という

理由もです。

「そうだ、学校で先生の話を聞いていなかったからわからないんだ」と

気づくかもしれません。

そんな場合は、先生の話など聞かなくても、いつでも「わからない」と言えばだれか

助けてくれるよと身体に覚えさせるよりも、

「今度から、ちゃんと授業を受けよう」と本人が自覚した方がいい場合があります。

最近では、子どもが「わからない」と言おうものなら、どう教えたらよいか、

誰に教えてもらうよう手配しようかと考えることに忙しくて、

「まず、自分で考えてみた?」とたずねるのを忘れている場合がよくあるのです。

子どもの側も、まだオムツをしている年齢から、

ご機嫌を取りながら手取り足取り教えてくれる習い事や、

何も考えなくてもスローステップで出題されるプリント問題に慣れすぎて、

たった1分かそこらでも、自分の頭を使ってみる体験をしたことがない子も

けっこういるのです。

考える前に、「自分で問題を読んでみた?」と問わなくてはならないケースもあります。



 
小学生が学習につまずくとき、何らかのハンディーキャップが原因で
できていない場合があります。
「努力しないから」とか「先生の説明を聞いていないから」などと
安易に決めつけず、ていねいに原因を探る必要があります。

写真はアスペルガー症候群の女の子に勉強を教えていたとき使っていた
紙です。
この子は、障害特性のせいで、『興味の範囲がとても狭い』です。
動物が大好きで、寝ても覚めても動物の話をしています。
私が「お家では、お姉ちゃんとどんなことをして遊ぶの?」とたずねても、
「この問題の解き方はわかる?」とたずねても、
「今日は、カーコちゃん(うちの鳥です)は何をしているの?」
「どうしてカーコちゃんは、飛んでいってしまうの?」と自分の好きな
動物の話題にすりかえてしまいます。

何とか計算はできるようになっているものの
算数の概念の多くは、難しすぎて理解できない様子です。
いくら説明しても、首をかしげたままなので、
親御さんが困っておられました。

こうした興味の範囲が狭い子には、その子の興味のある事柄で
算数の概念を説明するようにすると、
急に理解が進む場合があります。
この女の子も、「子どもが100人いました……」という話だと、
そわそわしたり、「うーん」と首をかしげて「わからない」と言うだけだった
のですが、子どもをフラミンゴに変えて、「フラミンゴが100羽いてね。
そんなにいっぱいいたらどうする? 困るね~!!
100羽のフラミンゴを同じ数ずつ10の小屋に分けたら、
何羽ずつになるのかな?」という話で説明すると、ずっとわからなかった
大きな数を10分割するときの概念に、理解をしめすようになりました。

興味の範囲が狭い自閉症スペクトラムの子どもたちに教えるとき、
電車とか、昆虫とか、動物とか、その子が興味を持っている分野の内容で
説明すると、学習に集中できる場合がよくあります。
また、学習内容を、できるだけシンプルにして、
理解させる部分だけ抽出して教えることも大事です。

1枚の紙に、1つの内容だけ書く。

といったことが、理解に役立ちます。

同じ診断名だから、同じハンディーを抱えているとは限らないので、
まず、苦手な部分を見つけると同時に、
得意なことや長所も見つけておくと、得意や長所を通して難しい概念の理解が
教えやすくなるときがあります。

苦手は、字が小さかったり、たくさん字が並んでいたりすると、
読むのが困難になる、聞くと見るを同時にできない、注意散漫、筆算が苦手、
文章題が苦手、メタ認知力が極端に弱いなど……。
得意には、色に敏感、位置はよく覚える、数字好き、字を読むのが早い、
褒められるとがんばるといったものがあります。
 
 
 
知的障害を持っている子たちに勉強を教えるときには、
大きく分けて3つの視点が必要だと感じています。

ひとつには、
障害児専門の家庭教師の方々や特別支援教室の先生方が
してくれるようなハンディーに合わせた『教えたい内容の
一部分だけに特化して、スローステップで教える』方法です。
それには学習内容をよりシンプルにして、噛み砕いて提示する
工夫が必要です。
また『目で見えて、手で操作できる』教具を使って教えることも
大切です。
文字を大きくしたり、漢字にふりがなを打ったりして
学習しやすくすることも必要です。

私が会ったことがある知的障害の子に関する印象は、
人が好きで温和で素直ということです。
ですから、できないことは恐がってしないけれど、
できることは何度もやりたがり、褒められるといきいきとして
がんばります。
ルールが易しいトランプやボードゲームなどで遊べるように
なると、お友だちといっしょに遊びを共有できていることを
とても喜びます。

私が知的ゆっくりさんに学習を教えるとき大切にしているのは、
『できることは何度もやりたがる』という性質を最大に
利用することです。

たいていの親御さんは、できることというのを、
学習課題の狭い範囲の中で捉えているので、
ひとつのことができるようになっても、いつまでもそこで足踏み
していて、次の課題に進めない知的障害の子の様子に、じりじりと
しびれを切らしているように見えます。
でも、実際には、何かひとつできるようになって、何度も何度も
同じことを繰り返している期間というのは、親の接し方ひとつで、
さまざまなことを訓練し、
新しいことを学び取ることができるチャンスでもあるのです。

たとえば、知的ゆっくりさんが、折り紙を長方形に半分に折る
作業をはじめたとします。
何枚も何枚も、長方形に半分に折る姿を見た親御さんは、
三角に半分に折る方法や、折り紙で猫や犬を折る方法を教えて、
進歩や新しい展開を求めることでしょう。
それでも、本人は、長方形を折り出したらそればかり……。
いろいろな見本を見せても、声をかけても、知らんふり。
いつまでたってもあまりに進歩がないので、イライラして
くるかもしれません。
そんなときは、「上手に長方形が折れているね。
ちゃんと角と角を合わせているわね。」と、本人の作業を認め
ながら図形の名前や、作業にともなう言葉の表現が覚えられる
ような声かけや会話をするようにします。
また、「どうやって作るのか教えてちょうだい」と作業の手順を
説明させる役をさせるのもいいですね。

「たくさん折ったわね。いくつ折れたか数えよう!」と数の
学習に誘うこともできます。
また、できた長方形を図形パズルにして遊んだり、
長方形の両脇をセロテープで貼って財布にするという
作ったものを生かした工作に誘うこともできます。

折り紙を例にあげましたが、文字の練習でも計算でも、
ひとつ何かできることがあって、それを繰り返している期間は、
さまざまな新しい課題を習得させるチャンスでもあるのです。

 

 


学習していくとき、人が頭の中でする作業には、
次の4種類があげられます。

★わかる……認知する・分類する・意味を理解する
★覚える……保持する・記憶する・想起する

★考える……類推する、推測する、一般化する、抽象化する
★決める……企画する、評価する、判断する、選択する

学習というと、上であげた『わかる』と『覚える』を
子どもに繰り返させることというイメージがあります。
認知させ、分類させ、意味を理解させ、その記憶を保持させて、
思い出させてテストすることを繰り返すことこそ、
学力につながると信じられています。
教材では、
類推する、一般化するといった『考える』作業は、
そのパターンをわからせ、覚えさせて、テストしていくことで
マスターさせるようにできている教材は多いです。
またそういう学習の場では、『決める』は大人がしてあげる
仕事という前提があります。

「読み書き計算は学習の基礎だから、
まず読み書き計算の徹底を!」というスローガンは
もっともだし、その大切さはよくわかるのですが、
子どもの能力を急いで上げようとするあまり、
『考える』体験と、『決める』を体験をする場や機会が
なくなっているのは
どうかなぁ?と感じているのです。

ひと昔前の子であれば、外で子どもだけで群れて遊ぶ時間が
長かったので、自分で選択したり、評価したり、判断したり、
企画したりすることは、しょっちゅうありました。
大人が飛んできて何でも解決してくれるわけではないので、
推測したり類推したりする力を発達させないと危険でしたし、
家のお手伝いは、考え、決める力を使う絶好のチャンスでした。

それが、最近では、学習法がどんどん合理的になり、
系統化されているので、
テストの点としては、短期間に急速に進歩するように
なっているものの、そのせいで、子どもが自分で考える体験も、
決める体験もできないということが起こりがちなのです。

★考える……類推する、推測する、一般化する、抽象化する
★決める……企画する、評価する、判断する、選択する

は、授業内容や教材の中に取り込もうとすると、
複雑になって難しいですが、遊びやお手伝いやものづくりや
会話の中では、大人の関わり方次第で、
自然に伸ばしていけることでもあります。

私が子どもの頃は、学校の規則がそれほど細かくなかったので、
学校でたびたびトラブルが発生していました。
そのたびに、学級会や終わりの会で、子供同士、
活発に意見が交わして、問題を解決しようとしていました。

当時は、『考える』と『決める』が活性化されるような場面が
たくさんあったのです。
授業中に交換日記を回している子がいるとか、
シャーリングなどのおもちゃをどこまで学校に持ってきても
いいかとか、男の子の口が悪いとか、女の子がえらそうだとか、
揉め事にしても、けんかや話し合いにしてもつきることは
ありせんでした。

本当にうだうだと言い合いばかりしていましたが、
そうした真剣な言葉や感情のぶつけ合いを通して、
自分の責任を自覚したり、考えを練ったり、判断力をつけたり
していたのです。
「子どものことは、大人が何でも決めて、大人が勝手に
解決する」という風潮は、最近のものだと思います。

基礎が大事だからと、『わかる』と『覚える』を
訓練していく際の問題は、大人が子どもの能力を伸ばそうと
あせるあまり、視野が狭くなって、

★わかる……認知する、分類する、意味を理解する
★覚える……保持する。記憶する、想起する

の部分で、少しでも先に進ませようと、目に見える成果を
求めるあまり、
『考える』と『決める』を体験する場や機会を奪ってしまうことに
あるように思っています。
忙しくって、子どもたちに話し合いなどさせていられない
……という大人のせかせかした態度をゆるめて、少しリラックスして
子どもたちに接しないと、勉強はたくさんしたけれど、考えたり、
決めたりしたことがないという子が増えてくるかもしれません。


 
話を知的ゆっくりさんへの教え方に戻しますね。
九九を教えると、真似して2の段と3の段が言えるようになったとします。
教えている側が、「はやく4の段を!5の段を!」をあせっても、
知的ゆっくりさんたちは、ゆっくりゆっくりしか覚えていかないでしょうし、
九九を覚えたからといって、九九を使った文章題の理解に移行するのは難しいでしょう。

私は、2の段と3の段が言えるようになったなら、
それをさまざまな場面で活用できるように工夫しています。
写真のように、「2個ずつ人形におやつ(積み木)を配ってね」と言って、
「2いちが2~」と言いながら、配ってもらうこともそうですし、
友だちとの遊びや、お手伝いの場面で、かけ算が役立つようにするのです。
それと同時に、少しずつ次の段をマスターするための練習を進めていきます。

また、10の合成が言えるようになったとすれば、
最初に10個の物を見せてから、いくつか隠して、
「いくつ隠れているでしょう」と推理する遊びをしたり、
その問題を他の人に出題する役をさせたりします。

学ぶときに子どもが、教える役や説明する役、人形劇を演じる役など、
さまざまな役割を体験できるように工夫すると、
学習がなかなか進まず停滞しているように見える時期にも、
企画する、評価する、判断する、選択する、
類推する、推測する、一般化する、抽象化するといった経験を深めていくことができます。
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カテゴリー化、階層化、分類化の能力が伸びる年中、年長さんの時期

2015-03-30 17:58:41 | 幼児教育の基本

 

年中の★ちゃん、年長の☆ちゃん、●ちゃん、○ちゃんのレッスンの様子です。

「今日、何をしてみたいのか」を話し合う時間に、★ちゃんが

棚に飾ってある船を降ろしてもらいたがりました。

「船を浮かべる海や宝島を作って遊ぶ?」とたずねると、

みんな大乗り気で賛成しました。

 

青い布の上に船といっしょに魚やシャチのおもちゃを飾ってから、

ペンギンの人形をどうするかで揉めていました。

「ペンギンは海は海でも、氷のある寒い国の海にいるはず」という子らと

「海ならどこでもいいことにしよう」という子ら。

 

写真のようなブロックのプレートに北極を作ることで意見がまとまりました。

「わたしね、かまくらを作ったことがあるよ」「氷のお家の中はあったかいんだよ」

といった話で盛り上がっていました。

 

みんな北極を作ることにとても満足したようで、

それからはブロックのプレートを出して陸を作る度に、

「どの国にするか」という話をしていました。

 

上の写真はモンゴルだそうです。

「先生、モンゴルにトラはいる?」「モンゴルにはどんな動物がいるの?」と

いう質問があったので、いっしょに図鑑を見ました。

 

☆ちゃんの幼稚園で、モンゴルのゲルを建ててくれるイベントがあったそうです。

「モンゴルのテントの中はとってもあったかいんだよ。

テントの中でモンゴルの音楽を聞いたよ」と☆ちゃん。

「そういえば、★ちゃんと●ちゃんは、民族学博物館でモンゴルのゲルを見たよね。

覚えてる?」と聞くと、「うん」「うん」とうれしそうにうなずいていました。

 

 年少や年中の子らのグループでこうした遊びをする場合、

「お家」や「プール」「幼稚園」「遊園地」といった

自分が実際に体験したことがあるものをテーマにしています。

でも、年長が主のこのグループでは、自分が行ったことがない国について

想像力を膨らませながら遊んでいました。

同じように動物の人形を扱うのにしても、年少や年中グループでしたら

動物園を作るかペットとして飼うことにしたでしょうが、

年長を主とする子らは、草が生えているところにいる動物、山にいる動物、

北極にいる動物など気候や環境で、暮らしている動物を分類しながら遊んでいました。

 

その姿を見て、『よみがえれ思考力』の抽象的思考への移行について

説明している文章を思いだしました。

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◆ 抽象的思考への移行

 

子どもは新しいやり方で考えを組み合わせ始めると、対象のあからさまな

物理的特徴から離れることができるようになり、ピアジェの用語でいう

「具体的操作の段階」に入る。具体的操作期での興味深い特徴は、

子どもたちが「保存」の概念を習得することである。

(省略)

「保存の能力を試すテストは、質量や長さ、面積や質量について

子どもを「騙そう」とひっかける。

(省略)

子どもたちはどのようにしてこの関係を理解する段階へと到達するのであろう。

私は神経の準備性の量が関係していると考える。

しかし、子どもたちには何百という経験や訓練が必要なことも確かである。

(省略)

もう一つの主要な成長の領域は、カテゴリ化、階層化、分類化の能力である。

就学前の子どもに、世界中には動物と犬のどちらが多くいるかとたずねると、

「犬」と答える。それは、その子がより広い動物という分類の中のものとして

犬を見るのではなく、知っている限りの犬という直接の概念に

捕らわれているためである。

その後、七歳くらいになると動物の写真を鳥類、哺乳類、爬虫類といった

カテゴリにうまく分類することができるようになる。

しかし、「もし全ての哺乳類が世界中から絶滅してしまったら哺乳類は

生き残るだろうか」と質問されると答えに躊躇する。

          『よみがえれ思考力』ジェーン・ハーリー 大修館書店

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「より大きな抽象的な論題の中に下位の論題が存在する」ことを

理解していく過程は、子どもの遊びの世界に反映されています。

子どもたちがカテゴリ化、階層化、分類化する能力を洗練させていく上で、

親子の会話やさまざまな体験や遊びの重要さを感じています。

 

 

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【大阪城めぐり】実験は思った通りにいかないもの 企画と準備3

2015-03-29 17:26:00 | 

大きいものは畳36枚分もあるような巨大な石をどうやって運んだのか、

再現中の新4年生たち。

「干潮の時に巨石を舟に乗せて、満潮の時に浮かびあがらせるところ」と、

「干潮時に巨石を先に海に運んで、石の回りに樽をくくりつけて、

その上に船を乗せて、満潮の時にアルキメデスの原理で軽くなった巨石を

運ぶところ」を試す予定でしたが……。

トラブルが続出して、

何とか巨石を船に乗せるところを再現したところで頓挫……。

 

満潮にしようと水を入れ始めたとたん、

ブロックで作った浜辺の土台がプカプカ浮きだしました。

子どもたちは大はしゃぎで悲鳴のような声をあげながら

上からブロックを押さえて、巨石の積み込みを続行。

 

こんなめちゃめちゃな結果になっても、実際にやってみるのは

とても大切だと感じています。

きっとこの場にいた子らが大阪城の巨石を目にしたら、

「あー大きい!」と驚いておわり……にはならないはずですから。

 

こんな大きなものをどうやって運んだのか、

どうして大変な思いをしてこんな大きな石を運びたくなったのか、

どこから石を取ってきたのかなど、疑問がつきないでしょう。

アルキメデスの原理に興味を持つ子がいるかもしれません。

 

それが、舟に石を乗せると、たちまち舟がひっくりかえるのです。

 

仕方なく、ケーキの空き容器を船にすることに。

再現遊びをしてみると、子どもたちは、船に乗っている人が

何をしたのか、危なくはなかったのか、とても気になったようでした。

 

新小5のBくんが作っているのは、『四国攻め』の様子。

合戦パノラマ図鑑で、テレビの歴史番組で目にした

この戦いの模様を思いだしたそうです。

「山の頂上部分は土のような色にしたい」とBくん。

でも、教室には手ごろな素材がありません。

 

そこで鳥のために買い置きしてい塩土の塊をけずって

ボンドでつけることにしました。

 

予想以上に立派なジオラマができて、Bくんはうれしくてたまらないようでした。

お母さんの話では、歴史番組は家族の好みで見ていただけで

Bくんはこれまでほとんど歴史に興味を持ったことはなかたという話でした。

それが、この作品を作り終えたとたん、合戦のパノラマ図鑑を舐めるように読んで、

「(歴史好きの)おじいちゃんと歴史の話をする!」と

目を輝かせて語っていました。ちゃっかり屋のBくんは、

おじいちゃんにミニチュアの兜や家紋入りの旗を買って

もらおうと目論んでいるのだとか。

 

 

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算数記事のまとめです。

2015-03-29 07:30:20 | 記事のまとめ(リンク)

算数に関する記事をまとめました♪

☆現代っ子に共通する算数が苦手になる原因

☆生活体験の多い子と算数   年長さんのレッスンから♪


☆2歳児もわかる算数文章題 『基本の形』

☆2歳児もわかる算数文章題 『基本の形』 2

☆2歳児もわかる算数 『基本の形』 3

☆幼児に2ケタの計算を教えるには? 1

☆幼児に2ケタの計算を教えるには? 2

☆幼児に2ケタの計算を教えるには? 3

☆幼児にくり下がりの引き算を教える方法 1
☆幼児にくり下がりの引き算を教える方法 2


☆お給料の計算~♪

 

☆小1☆くん♪ 中学入試のプチレッスン 1

☆小1☆くん♪ 中学入試のプチレッスン 2

☆たまには大きな子のレッスンも♪ 難関中学入試1

☆たまには大きな子のレッスンも♪ 難関中学入試 2

☆幼児期に体験しておくと、将来算数が得意になること 1

☆幼児期に体験しておくと、将来算数が得意になること 2

☆幼児期に体験しておくと、将来算数が得意になること 3

☆幼児期に体験しておくと、将来算数が得意になること 4

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絵本大好きクラブ (絵本を知的なインプットに使わないで!)

2015-03-29 07:28:22 | 日々思うこと 雑感

今回の絵本大好きクラブで子どもたちがストーリーに夢中になっていた本は、

『ぼくまいごになったんだ』(わたなべしげお作)と

『トイレとっきゅう』(織茂共子作)でした。

まいごのこぐまくんの気持ちに自分を重ねてしっかり聞いていました。

上の写真は、『にんじゃのくらし』というれきし絵本を見た後で、

にんじゃに扮装しているところです。

しゅりけんも飛ばしてみました。

子どもたちは「まきびし」に興味しんしん。

「背後から敵が追いかけてきたらこうやってまきびしを投げるのよ」と

映画村で買ってきたおもちゃのまきびしを投げてみせると、

おっかなびっくり見ていました。

 

今回はフランスから帰宅したばかりの3歳の女の子が参加していたのですが、

日本で育っている子たちはまず選ばない『ジルベルトとかぜ』の絵本を選んで

「これ!」と大事に抱えていました。

とても地味な表紙で、黒人の男の子が表紙に載っていて、

レトロな外国のポスターのような雰囲気なのです。

 

『ジルベルトとかぜの絵本』を見た後で、

「船を作って、水に浮かべてみる?この絵本みたいに、風で動くかやってみる?」

とたずねると、子どもたちは大乗り気。

 

でも残念なことに、前回までふねの材料に使っていたカレー用のトレイが

あと2枚しかなかったのです。

子どもたちはみんな船を作りたいようです。

 

そこでアルミ箔や紙で船を作る方法を教えると、それはそれで満足していました。

見栄えこそ悪いですが、このアルミ箔の船は子どもの手で簡単に作れる上、

うちわで仰ぐとすべるように水の上を移動しました。

 

今回もコップの底の穴を開けるのを面白がっていた子らがいたので、

それに水を入れて、じょうろに見立てて遊びました。

 

子どもたちは、大人からすると本当にくだらないようなことに顔を輝かせます。

『トイレとっきゅう』の絵本で、夜中にトイレにかけつけて、

とびらを少し開いているシーンがあったので、

「ここにもトイレがあるのよ。ちょっとだけのぞくと、トイレがあるのよ。

バイキンがあるから、トイレに入るのはトイレに行く時だけよ。

今は外からそっと見るだけよ」と言ってとびらを少しだけ開けて見せると、

「隙間からのぞいてみる」という状況だけで

遊園地の遊具に乗った並みの感動が表情に浮かんでいました。

 

2歳1ヶ月の★くんなんて、まるで魂を奪われたような表情でのぞきこんでいました。

今回の絵本大好きクラブでは、

★くんだけが通常のレッスンにも通ってきてくれている子でした。

そのため、これまでも絵本の世界で見聞きしたことを現実の体験と

つなげていくような体験や、現実に体験したことをブロックや工作で見立て遊びとして

再体験することになじんできています。

そのためか、観察したこと、気づいたこと、過去に体験したこと、やってみたいことを

現実の場面、場面で言葉で豊かに表現できるようになってきていました。

 

絵本だけを大量に読み聞かせをしていて

流暢におしゃべりができるようになっている子はちょっと注意が必要なのです。

そうした働きかけの結果、現実の世界を五感でしっかり感じとるという力が

弱くなっている子にもよく出会うからです。

 

絵本との出会いはとても素晴らしいものですが、

現実の世界の体験の豊かさとのバランスがとても大事だと感じています。

 

ここでいう体験の豊さというのは、

あちこち人工的な体験施設に連れて行くことでも、

遠出して特別な自然体験をさせることでもありません。

子どもにいろいろなすばらしい体験をさせようとしすぎると、

刺激過多になるためか

感受性が鈍くなったり、

細やかな感情に疎くなったりしているように見えることがあります。

 

子どもの日常には、その子の身の丈にあった興味深い魅力的な体験が

数えきれないほどあります。

 

絵本はそうした子どもの目線と世界の感じ方と子どもの感情の動きを

大人に思い出させてくれます。

知識や言葉を大量にインプットするための教材と捉えることは、

読んであげる大人の心を曇らせて、そうしたものを感じとれなくしていまいがちだと

思っています。

次から次へと忙しく読み聞かせて、

まるでテレビでもボーッと見ているように絵本の話を聞く習慣を身につけさせるのは、

子どもの月齢や生活体験とのバランスによっては、害になる場合だってあるのです。

 

それよりも大人が絵本を通じて、子どもの心に近づいて、

子どもといっしょに現実の世界を眺めなおしてみるといいな、と思っています。

 

子どもの心の世界では、自分で卵を割って目玉焼きを作っただけの体験も、

ぐりとぐらが森の中で卵を見つけて、ホットケーキを焼いて、

森の動物たちといっしょに分けあったのと同じ出来事でもあるのです。

 

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ブロックで考えるおもちゃを作る方法

2015-03-28 17:14:12 | デュプロブロック

 

子どもがおもちゃや身の回りの道具のしかけに興味を持った時、

デュプロブロックで動きのある部分を再現してあげるととても喜びます。

小学生のお姉ちゃんが作ったしかけのある橋が気になってしかたがない

新年長のAくんに、ブロックで跳ね橋を作ってあげました。

 

 

(小学生の子がつくった跳ね橋)

 

ポールとブロックの橋をたこ糸でつなぎます。

(糸をブロックではさむだけでOKです)

こんなふうに糸をはさむだけで、クレーンやケーブルカー、エレベーター、風車など

さまざまな動きを作ることができます。

 

雑誌の付録の自動販売機のしかけに興味を持っていたAくんと

作ったブロックの自動販売機。

 

後ろ。

 

隙間に厚紙で作ったこんなプレートを入れると、

穴が重なると物が下に落ちるしかけをわかりやすく体感できます。

 

左上はAくん作のエレベーター。

Aくんのアイデアで台を少し高くして青い紙を下に敷きました。

 

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スタンプラリー と かにしんぶん

2015-03-27 21:49:58 | 初めてお越しの方

新小1のAちゃんが『スタンプラリー』と

『かにしんぶん』を作ってきてくれました。

 

Aちゃんの弟のBくんといっしょに作った大阪駅。

 

エレベーターつきです。

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巨石と黄金の茶室は必見! 『大阪城めぐり』の企画と準備  2

2015-03-27 19:42:20 | 

大阪城めぐりの日、子どもたちが見たがっているもののひとつは、

城の出入り口付近にある『巨石』です。

『わくわく城めぐり』という本のこんな解説を読んであげると、

ゲラゲラ笑いだす子、「見たい見たい」と身を乗り出す子、

「どうやって運んだの?」と疑問を口にする子など、いろいろです。

 

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第一位の巨石が、桜門桝形にあるタコ石。

「わぁ、大きい!こんな巨石、いったいどうやって運んだの!?」

と無邪気に感動してしまいますが、巨石に限って驚くほど薄っぺらかったりします。

横に寝かせればそんなに苦労せずに運べそう…。

やることがキュートすぎ。

『わくわく城めぐり』萩原さちこ 山と渓谷社

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子どもたちは、現場でどれだけ薄いのか確かめたい模様。

 

巨石を運ぶ時、石の下に丸太を置いて転がしたり、

海藻を使ってぬるぬるさせて滑らせたり、

舟の下にくくりつけて運んだりしたそう。

楊枝の上をひもをつけた石を引っぱっりながら、

後ろの楊枝を手前に置いていくと、子どもたちが大喜び。

どんなことも実際にやってみると面白いですね。

 

図鑑や教材を作るのが大好きな新小3のBちゃん、Cちゃん。

学習漫画を参考にしながら

豊臣秀吉の生涯を紹介するパンフレット作りをしていました。

 

「先生、この本、何年に生まれたかは書いてるけど、生まれた日が書いてないよ。

豊臣秀吉が生まれたのっていつ?」とたずねるので、

 パソコンで、「豊臣秀吉 生まれた日」で検索させることにしました。
 

すると、

天文5年(1536年)1月1日
天文5年(1536年)6月15日
天文6年(1537年)2月6日 の3通りの説があることがわかりました。

この子たち、以前、<月はこうしてできた>という4通りの仮説を

光のショーの形で演じた( 「見えない世界」の栄養 5)ことがあったので、

「漫画の本に誕生日が載ってないと思ったら、実は、3通りの仮説があった」という

状況がすごく心に響いたようで、

「1月1日に生まれたなんて怪しすぎる」等の話題で盛り上がっていました。

 

 

今回も純金と不純物を混ぜて、天正大判作り。

子どもたちの知恵で、

ビー玉も金塊もひとつが5gという設定で、純金75%の割合を調整していました。

 

今回の企画と準備には、お城マニア、歴史マニア、最近は世界史も大好きになったという

新1年のEちゃんが参加してくれました。お城への熱い思いが伝わってきました。

 

女の子たちにとっても人気がある黄金の茶室。

天守閣の3階で見ることができるそうです。

茶室の小物を作っていたDちゃんが、

「どうしても写真みたいな形にならない」と苦戦していた金の台子。

これを完成させるのに何度もやりなおしたため小一時間かかっていました。

 

Dちゃんの努力と時間を無駄にできない……とばかりに、

みんなで立方体の描き方を学習しました。

工作好きの子らは驚くほど上手にサラサラ描くのにびっくりしました。

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石田三成と妖怪ウォッチと、『大阪城めぐり』の企画と準備 1

2015-03-26 21:12:38 | 

ゴールデンウィークに予定している『大阪城めぐり』。

小学生の子たちに企画と準備をゆだねています。

 

上の写真は、大判小判を作っているところです。

純金50パーセント、不純物50パーセントの大判とか、

純金量75パーセントの『天正長大判』など、

注文に応じて、金と不純物(ビー玉)を混ぜて、熱して溶かして、平たくして

大判小判を作る真似。

 

参加しているのは、まだ割合を学んだことがない子らですが、

こうした大判小判を作る遊びを通してだと、ちゃんとパーセントについて理解して

遊んでいました。

 

小学生主催の『大阪城めぐり』は、

それぞれの子の「ここ気になる」「これが好き」「ここが見たい」

「これ面白い」「ここをみんなに教えたい」をクローズアップしながら、

大阪城内を探検しようという企画。

 

新小3のAくん。

大阪城の紙の模型のはじっこにある小さい家のようなものを指して、

「これ何?」とたずねていました。

「何なのか、調査しにいくのを企画に盛り込もうか?」と言うと、

「そうしたい」とのこと。

 

「ブロックで大阪城を作りたい」と言っていたAくんは、

何と大阪城内に入る手前のスペースとこの小さな小屋のようなもの(○○でしょうけど)

を作って、「完成」とのこと。

「えっ、大阪城は?」と突っ込みたくなったけれど、

有名な石垣でも、豪華な天守閣でもなく、

こういう部分に注目するところが子どもならではで面白いなと感じました。

戦国時代の人々と水の関係について、

「飲み水は井戸以外を利用することがあったのか」や

「城内には他にも井戸があるのか」など調べてみたい気もしました。

 

アクセサリー作りが好きなBちゃん。

きれいな着物や兜の制作をしたがるかと思いきや、

今回は「渡ろうとすると、パタンと上がって渡れなくなる橋が作りたい」とのこと。

普段のアクセサリー作りの業を駆使して、

切ったストローを橋の板代わりに貼りつけていってます。

几帳面なBちゃん。石垣はピンセットで貼っていきました。

 

 

 

敵が現れるとこの通り。こうした防御の模型のほかに、

他の日ですが)攻める戦法の模型を作っていた子らもいます。

 

『もぐら攻め』土を掘って、下から攻める戦法です。

 

天守閣の各階ごとの見どころパンフレット作り。

 

 

教室に置いている『豊臣秀吉』の学習マンガを夢中になって読みだしたBちゃん。

天守閣の中には、豊臣秀吉の生涯をわかりやすく紹介してくれるコーナーが

たくさんあるので、こうして事前にマンガで豊臣秀吉について知っておくと、

『大阪城めぐり』の日も、

興味をそそられるものがたくさんあるのではないかと思いました。

 

『天下をめざせ!戦国合戦パノラマ大図鑑』という本を購入したところ、

男の子たちに大人気です。

それが、なぜか豊臣秀吉でも徳川家康でもなく

「石田三成が戦った合戦が見たい!」と言う子がいるので、

理由をたずねると、「妖怪ウォッチに石田三成が出てたから」とのこと。

 

その後も、教室に来る大半の子は、「妖怪ウォッチに石田三成が出ていた!」と言い、

子どもたちの間で石田三成が歴史上の人物でダントツの人気になっています。

『関ヶ原の合戦すごろく』を見ても、すぐに石田家の家紋に気づく子どもたち。

徳川家の家紋は、おまんじゅうの模様扱い。

 

それにしても、関ヶ原の合戦では、石田家の旗、元気ないですね。

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学習につまずきのある子のレッスン(人形ごっこで語彙力を伸ばす)

2015-03-25 18:22:08 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

小学2年生の●くんは普通級で学習している、

さまざまな面で少し発達がゆっくりしている男の子です。

個別で細かいサポートをしていると何とか学年相当の問題を理解できるけれど、

学校での授業の進行についていくのは次第に難しくなっているようです。

 

<7時半の時計の絵>から、3時間 たった 時こく

を問う問題のように、

「時計の絵から何時何分かを判断する」ということと、

「その時間から3時間たった時こくが何時何分になるか考える」ということの

2つの作業をする場合、

手も足も出なくなって、「わからない」と投げ出す姿がありました。

 

「まず、何をしたらいいのかな?ほら、時計を読むんだよね。

ここに何時何分か書いておこう」と言って時計の横に枠を作ってあげると、

「7時30分」と書くことができました。

 

また、「次は何をするのかな?問題をよく見てね。時計で時間がわかったら

その次にすることは何かな?」とたずねると、

「何時の方に足すの?何分の方どっち?」とはたずねてきましたが、

意味はそこそこわかっているようで「10時30分?」と自信なげに答えました。

 

そうしてようやくわかっても、同様の次の問題になると、

時計の絵の時間を読むというところから、何をしたらいいのか

わからなくなっていました。

 

●くんは最近まで、ワーキングメモリーが極端に弱い上、

時系列でものごとを考えていくことが苦手でした。

そのため、お家ではお母さんから一度にひとつだけ指示を出してもらって、

それを実行するようにして過ごしてきました。

 

この頃は、ワーキングメモリーにしても、時系列にものごとを考えるのにしても

わずかですが向上しています。

 

レゴの作品作りやピッケの絵本というパソコンソフトで遊ぶ時のように

好きなことをしている時は周囲がびっくりするほど少し前にした作業を記憶しながら

目的を持って新しい作業をこなしていくことができるようになっています。

 

ところが、勉強となると、「問いに答えるためにしなくてはならない手順を考えて、

ひとつひとつ実行していく」という作業がさっぱりできなくなってしまうのです。

 

問題をいっしょに見ながら、

「何をすればいいと思う?ひとつめは何かな?ふたつめは?」

と指を1本ずつ立てて見せながら考えさせても●くんは困惑したまま黙っています。

 

物作りのように好きなことなら

何をすべきか計画したり記憶を保っておいたりできるのに、

勉強だと手も足も出なくなってしまうのは、

嫌なことをやりたくないからではなさそうです。

 

●くんは視覚優位の子なので、ブロックの手順のように

画像だけで予測したり、記憶したりするのはそれほど難しくないようなのです。

けれども言葉を使って、何と何をすべきなのか考えるのは

至難の業なのかもしれません。

 

●くんは教室に着くなり、ドールハウスをいくつか配置して

家の中の家具をていねいに設置していきました。

少し前までドールハウスを出しても、ありったけの人形を部屋に詰め込んで

ふざけて遊ぶだけだったのですが、

今回は「先生、どろぼうのねずみの役して!」と言ってました。

(↑学校を覗く黒いマスクのどろぼうねずみ)

きちんとストーリーを演じて遊びたい気持ちが芽生えてきたようです。

 

遊びというとふざけて追いかけあうとか、

おもちゃを出すだけ出して少し触るとおしまい……という状態で過ごしていた子が、

小学生になってようやくごっこ遊びや

人形遊びや工作に興味を持ち始めることがあります。

 

小学生ともなると、帰宅は遅くなるし、宿題もさせなきゃならないしで、

今さらごっこ遊びやお人形遊びに付き合うのもどうかな……

と感じる親御さんも多いことと思います。

 

でも、「幼児期にごっこ遊びや人形遊びや工作をほとんどしなかった」という子は、

想像を膨らませて見えないものをイメージの中で操作したり、

論理的に物事を考えたり、

そうして考えたことを言葉で表現することがかなり苦手なケースがよくあるのです。

 

子どもの発言に耳を傾けていると、

「うん」「ううん」「いや」「そうする~」以外の言葉をほとんど使っていなかったり、

言葉の使い方が間違っていたり、語彙量が極端に乏しかったりすることが多々あります。

 

また、理由を推測する力や質問にきちんと答える力が育っていなかったりします。

 

学校の勉強がはじまると、計算はできるか、時計は読めるのか、

九九は暗記したか、漢字はかけるのか、といったことが気になりますし、

そうした訓練をたくさんさせると勉強に遅れることはないように錯覚しがちです。

 

でも実際には、使える言葉が極端に少なくて、

論理的に筋道を立てて考えることができないまま授業を理解していくのは困難なのです。

 

想像力を使って頭の中でイメージできず、理由を推理するのが苦手で、

質問されると問いからずれた答えばかり言っているとするとすれば、

それはそれで学習のつまずきの大きな原因となるはずです。

 

発達のでこぼこの凹の部分を絵本で補う 1

発達のでこぼこの凹の部分を絵本で補う 2

という記事でも書きましたが、(この記事の続きは近いうちに書きますね)

「本来、幼児期に通っていく現実を論理的に理解していく過程がスポッと抜けたままに

なっているんじゃないかな?」と推測される状態にある子に

学校の勉強だけを繰り返し訓練していっても、

あるところまで進むと、頭打ちになってしまう可能性があるのです。

 

それなら、どうすればいいのか?というと、

わたしは次のように考えています。

 

小学生になってからも、「絵本読んで!もっと読んで!」と言い始めた子には、

たっぷり読んであげて、いろいろおしゃべりし、

ごっこ遊びや人形ごっこをし始めた子とは、ストーリーを展開させ、

会話をたくさん交わしながらいっしょに遊ぶのです。

工作をしたがるようになった子には、道具と環境と時間と適切な手本を与えてあげます。

そして、工作をしている最中にも、「どんなものが作りたいのか」

「工夫した点はどんなところか」「もっと良い作品にするんはどうすればいいと思うか」など

たくさん会話をするのです。

実際に手や頭を使いながら、大人とたくさん会話をしていると、

間違って覚えていた言葉が修正され、理由について正しく考えるようになり、

想像力が徐々に向上していきます。

 

 

●くんとのごっこ遊びの様子です。

わたしに泥棒役をするように指示する●くん。

●くんは、警察署のドールハウスに犬の警察官2匹を置いて、

それらの役をするつもりのようでした。

わたしが、「そうだ、あの家にどろぼうに入っちゃえ。何を盗もうかな。

そうだ、いっそのこと、お家ごと盗んじゃおうかな。

お家を全部、泥棒しちゃおうかな?」と言うと、

●くんはすかさず、警官の人形で泥棒をポカポカ叩いて、やっつけてしまいました。

 

そんな逮捕劇がひととおり済んだ後で、どろぼう人形とお茶犬の人形に

話をさせました。

「ねぇねぇ、お茶犬くん。泥棒って、どんな格好をしているか知っているかい?」

「知らないよ。教えてよ。どんな服を着ているの?」

「袖が青くて、身体の部分は白くて、ズボンは青。赤いベルトをしているよ」

「それなら、警察の近くで見たことがあるなぁ」

「いっしょに泥棒を捕まえに行こう」と泥棒に誘われたお茶犬が、

警察署に近づくやいなや、

今度もポカポカとやっつけられて、●くんの手でお茶犬も泥棒も牢屋に

閉じ込められてしまいました。

●くんはとにかくこのストーリーの展開に夢中になって遊んでいるのですが、

人形同士の活劇には一生懸命ですが、ほとんど言葉は使いません。

そこで、

「●くん、●くん。どうして、お茶犬まで牢屋に入れられてしまったの?」とか、

「●くん、泥棒が牢屋に入ってしまったら、お話しの続きはどうしたらいいかな?」

など、たずねました。

すると、●くんは、必死で言葉にしようとするのですが、うまく言えなくて、

「あのぅ、あのぅ、あのぅ……それは」と繰り返しています。

しまいに、「ふたりで相談していただろ。だからどっちも悪いんだ!」と言ったり、

「続きは、牢屋から逃げて、また泥棒にくるといい」と言ったりしました。

 

●くんは子ども同士で話ている時は、言葉の大切さを少しも

実感していない時があります。

おふざけしながら、何となく、言葉がないままに時間が過ぎていくのです。

勉強している間も、言葉の大切さを理解していません。

分からない時は、「しらない」「できない」と言ってそのままプイッと

よそ見をして遊びだすし、

分かる問題の時は、答えだけ書きこんで黙っています。

お母さんが話しかける時には、

「うん」「いや」「そうする」「え~」「できない」くらいの言葉で

会話は事足りると思っているふしもあります。

友好的で笑顔が多く、人と関わる力も高いため、そうした語彙の少なさが

それほど周囲に問題として感じられていないふしもあります。

人形遊びをする●くんは、いくら遊んでも遊び足りないほど楽しい様子で、

●くんにしゃべらせるような質問を何度も投げかけても、

楽しそうに必死になって言葉で言おうとしています。

それを補助するように、

「そうなの。お茶犬は、悪者と相談していたから、泥棒の仲間だと思われているのね。

でも、お茶犬はね、泥棒に嘘をつかれて騙されただけかもしれないね」

「牢屋から脱獄するストーリーにしたいのね。

どうやって逃げ出すのか方法を考えてちょうだい。

●くん、脱獄に必要な道具って。何と何がいるのかな?」

など、大人の言葉でできるだけていねいに会話をしていると、

「脱獄するには~」とか「道具が必要だね」など

本人がそれまで使ったことのない言葉も、会話の中で使い始めます。

 

●くんのように発達に少しゆっくりしたところのある子は

言葉が劇的に増える幼児期には、

何らかの理由で語彙力が伸びにくかったのかもしれません。

でも、幼児期にはそうした困難さが目立っていた子も、

小学校に入った後くらいから、ていねいな会話を心がけて、

会話するシーンを増やしていると、言葉がどんどん増え始める子もけっこういます。

もし子どもがごっこ遊びを喜ぶようなら、

ぜひたっぷり付き合ってあげていただきたいです。

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